ウェールズの5人組ポストハードコア/スクリーモ・バンド、フューネラル・フォー・ア・フレンド。
03年のデビュー作『Casually Dressed~』でいきなりヒットを飛ばし、メタル色の強さと端正なメロディを操るサウンドでスクリーモ・シーンの筆頭格に躍り出ます。
2002年から2016年まで活動し、7枚のオリジナル・アルバムを残します。2019年に再結成して定期的にライヴを行っています。
本記事は初期3作品について書いています。
アルバム紹介
Casually Dressed & Deep in Conversation(2003)
1stアルバム。全12曲約49分収録。バンドを世界認知させた名曲#3「Jeneau」を収録したデビュー作です。アートワークは、ベルギーの芸術家のルネ・マグリットによる”恋人たち”にインスパイアされている。
クラウチングスタートを決める#1「Rookie of the Year」から聴き手のボルテージを一気に上げてきます。
日本だとスクリーモに分類されるFFAFはハードロック/メタル寄りに振れるツインギター、小気味よい疾走感と柔らかなメロディ、爽快な歌に定評あり。
激しさや重み、スクリーム・パート(なんとドラマーが担当)はあれど、くどさを感じさせないすっきりさとキャッチーな構成で”軽快に聴ける”のが特徴です。
ハード&メロディアスのバランス感覚に優れ、前述の「Jeneau」を始め、#5「Escape Artists Never Die」や#9「Reds In The New Black」が心をわしづかみ。
またアコギやピアノを効果的に取り入れており、バラード#10「Your Revolution Is a Joke」も堂に入っています。
本作は全英チャート初登場12位を記録し、その後に年間10万枚を売り上げてゴールド認定。また発表直後にアイアン・メイデンのヨーロッパ・ツアーのサポート・アクトに抜擢されます。
Hours(2005)
2ndアルバム。全11曲約43分収録。大幅にスタイルが変わったわけではないのですが、スクリーム・パートを削りまくり(#9だけ入っている)、代わりにツインギター隊の仕事ぶりが目立ちます。
メタリックな要素が増し、リフはアイアン・メイデン感が強くなった曲が多い。それでいてメロディーラインは端正で美しく、軽快な聴き心地を引き続き楽しめます。
アルバムの頭3曲選手権をやれば上位に食い込むだろう#1「All The Rage」~#3「Roses For The Dead」は素晴らしく、特にツインギターが牽引する#3はサブスク再生回数でFFAFの楽曲でトップを誇ります(Spotifyで1,400万回)。
ただそれだけでは終わりません。合唱コーラスを取り入れたメロディックかつパワーのあるバラード#7「Histroy」、エレクトリック+ストリングスを取り入れた静謐な歌もの#11「Sonny」と叙情性に長けた楽曲も進化を遂げる。
初期2作品はどうしても肩入れしてしまうほどの魅力があるのですが、本作の方がより幅広いアプローチができる作品となっています。
Tales Don’t Tell Themselves(2007)
3rdアルバム。全12曲約48分収録。初のコンセプトアルバムで、”嵐によって海で難破した漁師が故郷へ戻るまでの物語”を描きます。
他のエモ/スクリーモ・バンドと比べると文学/芸術的な要素を感じさせるバンドでしたが、ついに踏み切りました。
音楽的にも普遍的なロックバンドとしての訴求力が高まり、コンセプト作とはいえ構えて聴く必要はなく、磨きのかかったメロディとソフトさを増した歌声で物語へ引き込んでくれます。
ただ、ギター隊を中心に感じられたメタル要素の減退やスクリーム・パートの放棄と既存ファンが納得いかない部分はあります。
電子音やピアノにストリングスの使用、時折の女性ヴォーカルの起用など装備は多彩化。楽曲にしても#1「Into Oblivion」は壮大さとドラマティックさがこれまでの比ではなく、#5「All Hands on Deck, Pt.1」ではスピーディかつラウドなサウンドを基盤にオーケストラと異種格闘技を繰り広げる。
消化不良に感じる部分はありますが、それでも新たなファンを獲得しようと切り拓いた意欲作です。
Memory and Humanity(2008)
4thアルバム。
Welcome Home Armageddon (2011)
5thアルバム。
Conduit(2013)
6thアルバム。
Chapter and Verse(2015)
7thアルバムにして最終作。