英国のポストメタル系バンド5人組。初期はNeurosisやISIS、Cult of Luna等に影響を受けた音楽性でしたが、スラッジメタル、アトモスフェリックなブラックメタル、シューゲイザー、フォーク、プログレッシヴ・ロックを融合させたスタイルへと移行。
4thアルバム『Part Island』ではヴォーカリストが正式加入し、歌ものの側面を強めている。
本記事ではフルアルバム1作とEP1作について書いています。
アルバム紹介
Bleak Epiphanies in Slow Motion(2007)
1st EP。全5曲約30分収録。暗黒感を湛えた鈍行なリフワークと力強くうねるリズム隊による重厚なグルーヴ。それを主体に、潤いのあるアルペジオや寂寥感のあるメロディがのってくる感じはいかにもポストメタルらしい構成。
緊迫感のあるストーリー展開に意識の深層をたやすく網にかけられ、それでも全身から昂揚感がわきあがる。近しいバンドはRed Sparowesでしょうか。一種独特の深みを持っており、絶望へと牽引しているようで希望も意識の中に瞬かせている。
轟音リフで攻め込みながらクライマックスに叙情の花びらを咲かせる#1、激しくドラマティックに開けていく#2という冒頭で、もはやこの手の音楽好きはメロメロになってしまうもの。
それにひたすらNeurosisばりのスラッジ暗黒景観を叩きつける#3もねっとりとしたインパクトがあるし、ブラックホールに堕ちていくかのような#4を導入部に、10分という時間軸の元に雄大な風景を描ききる#5もバンドの力量をはっきりと感じさせるつくり。
繊細な美しさと終末を見るような絶望がマッチするこの世界観は一度耳にしてもらいたい作品です。
Agonist(2009)
1stフルアルバム。全7曲約41分収録。新たにキーボーディストが加入。ed Sparowesを思わせる美しくも荒涼としたポストメタルという様式に変わりないですが、動と静を行き来するサウンドスケープは一層の高みへと登り詰めている。
叙情的なフレーズはメロウネスと透明感を、黒い濁流の如き轟音はさらなる破壊力を増す。それに伴ってダイナミズムが大きなものへと発展。全体的に徹底された妖気を帯びたヘヴィネスと耽美性は特色といえます。
Neurosisから受け継いだと思しき儀式的なニュアンスの反映。また本作で導入してきた#2や#6等で披露される、やたらと虚無感を覚えるファルセットのヴォーカルは、こ背筋を差すような冷たさをプラスしています。
先人達のDNAを受け継いでいることを随所に伺わせながら、正のうねりと負のうねりが交じり合う強固な個性を発揮。流麗な美しさや虚無感を湛えながら、邪悪な色合いの爆音がもたらす衝撃は期待以上のものがあります。
希望も絶望も闇も光も全部ひっくるめた美意識や思慮深さが感じられる本作。ポストメタルという界隈に独自の地位を築きそうな予感を漂わせます。
Individuation(2012)
2ndアルバム。全8曲約58分収録。
70年代のプログレッシブ・ロックの精神とブラック、デス、アトモスフェリック・ドゥーム・メタルをシームレスに融合させ、奇妙なメランコリーと原始的な怒りに満ちた深い野心作を作り上げた
公式Bandcampより
Old Sunlight(2016)
3rdアルバム。全7曲約44分収録。
ジャンルを超えたコンテンポラリーメタルの素晴らしい作品を作り上げた。純粋な音楽性とプログレッシブな音楽性、そしてインストゥルメンタル・メタルの大気圏や映画的な側面を楽しみたい人は、このアルバムをじっくりと聴いてみてほしい。
公式Bandcampより
Part Island(2019)
4thアルバム。全6曲約43分収録。
バンド結成12年目にして初めて全曲にヴォーカルを起用した『Part Island』は、恥ずかしげもなく悲しみと後悔に満ち溢れたダイナミックなコレクションです。
公式Bandcampより