
”Blackened Post-Metal”を自称するノースダコタ州ファーゴを拠点に活動する7人組。本記事は2024年11月にリリースされた1stアルバム『Oriska』について書いています。
作品紹介
Oriska(2024)

1stアルバム。全5曲約33分収録。INIT RecordsとMind Over Matter Recordsの共同リリース。オフィシャルサイトでは”Blackened Post-Metal”と書かれており、Doomed NationのインタビューによるとFall of Efrafa、Respire、Thou、Cult of Lunaらに影響を受けたと語っています。
音楽的には前2バンドに近く、リアル・スクリーモの気質が強いポストメタルのような感じで、場面によってはネオクラストやポストブラックの色も帯びている。そこにピアノやストリングスを絡ませ、陰のトーンを彩っています。光に向かっていくRespireと比べ、Oriskaは絶望サイドでずっともがき叫んでいるようなイメージでしょうか。
それは”すべては無になる かすかな希望も消え失せる(#2)”、”物事を手放すのはとても難しい 何の希望もない 私は罪悪感を感じ、ひざまずいている(#5)”といった歌詞からも伺えます。
ピアノとチェロによる厳かな立ち上がりからブラストビートを交えた激烈なハイライトを生み出す#1「Sulfer」、終盤のシンガロンガが印象的な#2「Helium」の前半はまだ少し陽の気があり。しかしながら#3「Boron」からどす黒さに拍車がかかり、ドゥームメタルの重圧とクラストの爆発力を相互に作用させながら、疎外感と絶望を深めています。闇がパートナーを務めているようでもあり、まるで向かい風にずっとさらされている感覚。
ラスト曲#5「Bismuth」は10分超の大曲。暗闇の中に美を見いだそうと、絶叫と旋律を重ねます。No Clean Singingの記事にて”この10分間のポストメタルの旅は、絶望、悲嘆、自責の念の深淵に分け入り、人間の精神の最も暗い部分を生々しく探求している“と解説しており、強烈な一撃です。
ポスト系でOriska “Collective”と名乗っている辺りにも謎の信頼感がありますが、このデビュー作でバンドの実力は示しています。
