イギリス・オックスフォード出身のインディーロック/マスロック・バンド。初期はThis Town Needs Gunsと名乗っていましたが、後にTTNGに改名。幾度かのメンバーチェンジを繰り返すものの、USエモ勢からマスロックの影響下にあるサウンドで支持されています。
本記事は3作品について書いています。
アルバム紹介
This Town Needs Guns(2008)
1st EP。全8曲約35分収録。キンセラ兄弟の影響化にありそうなエモ要素、それとUKロックにマスロックが混合したような感じで、引き合いに出されるFoalsと共振するインディー系も音色に含まれます。
流麗なギター・フレーズにオルガンや鉄琴が交わり、ホーンやアコースティック楽器も取り入れて豊かな曲調を実現。それでいてヴォーカルがナイーヴに歌い上げる。
ダンサブルなリズムも導入し、複雑な構成を取ろうとポップに突き進んでいる印象を受けます。バトルスとUKロックを上手く掛け合わせた印象の#8はなかなかのインパクト。
でも本作において、それはあくまでスパイスのひとつ。ユニークな展開と多彩な音色が弾ける#2やじっくりと聴き浸りたい#3を聴いていると、丁寧な歌とメロディがTTNGの根幹にあることがわかる。
USエモ勢やインディーロックに影響を受けつつも、煌びやかさとキャッチーさが上手く配合されている辺り、若手有望株という言葉を添えたくなります。
Animals(2009)
1stフルアルバム。全13曲約43分収録。国内盤が残響レコードから発売されています。タイトル通りに曲名が全て動物の名前で、内容も動物のことを歌っているようです。
前作よりテクニカル&マスロック化が進んでおり、toeやGhosts & Vodkaがさらにユニークな展開を持ち、エモーショナルな歌声を発するようになった感じ。
USインディー・エモやマスロックから受け継いだサウンドに、英国っぽい情緒をほんのり乗せ、前作同様にホーンやグロッケンやピアノ等を用いた多彩な音色が華やかなインパクトを与えています。
職人気質のギタリストから放たれるアルペジオやタッピングはユニークな構成を司る上で、重要な核として機能。また、作品に一本の芯を通すヴォーカルは、小奇麗な印象を受けた前作よりも感情を出しいている。
蒼い熱気を内に秘めて小気味よく走りながら、裏を取るようにひとひねり加えた展開は他にはない味。それでいて瑞々しいポップさ、叙情性と清涼感が心地よい。
Minus The Bearの1st『Highly Refined Pirates』のUK版正統進化とでも評すべき、実力を示しています。
13.0.0.0.0(2013)
2ndフルアルバム。全12曲約40分収録。本作よりSergent Houseへと移籍。またThis Town Needs Gunsから”TTNG”と名乗るようになりました。
メンバー変更があり、新ヴォーカリストとしてHenry Tremainを迎えた4人編成で制作。それでも期待は裏切らない。アルペジオやタッピングを駆使するギターがマジカルな音色を弾き出し、艶やかなヴォーカリゼーションが感傷を誘う。
作品全体をビシッとタイトに引き締めるリズム隊もまた良く、複雑な展開をものともせずに突き進む。これまで通りのTTNG節は、随所に効きまくっていて自然とニヤっと笑顔を浮かべる人も多いだろう。
Minus The Bearやtoeに通ずる清涼感とエモーションを感じさせる#1「Cat Fantastic」を筆頭に、充実の楽曲が並んでいます。
前任者よりもナイーヴな歌を聴かせるHenryくんの存在感も大きく、アコースティックな優しい唄ものでゆったりと心の内を哀愁で満たしていく#6にはかなり驚かされました。
グロッケンやピアノも顔を出すし、波の音のサンプリングも取り入れている。相変わらず歌やメロディへの力の入れ具合が絶妙で、的確にツボを押さえた曲構成にも感心。不安を払しょくする作品に仕上がっています。
Disappointment Island(2016)
3rdアルバム。全10曲約41分収録。Electrical AudioでGreg Normanでの録音、マスタリングはBob Weston。