Via Fondo、北欧激情系ハードコアの美点と初期衝動

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元Anemone, Medviliaのメンバーによるスウェーデンの激情系ポストハードコア・バンド。同郷のSuis La Luneとも比肩する激しくも儚いハードコアを掻き鳴らし、確かな支持を集めます。国内盤はTokyo Jupiter Recordsよりリリースされていました。本記事では3作品を紹介しています。

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Tar(2011)

   スウェーデンの激情ポストハードコア4人組による”7inch+CD-R”仕様の限定盤。Tokyo Jupiter Recordsより25セット限定販売されました(発売30分もせずに瞬殺し、完全ソールドアウトとなっている)。

 彼等もTokyo Jupiterコンピへの参加組。そちらでは哀愁あるメロディと迸る激情サウンドが合致した楽曲を提示していて印象に残っています。この限定盤でも様々な作品からの寄せ集めにも関わらず、自分達の鳴らす音楽を明確に提示。エモ~ポストロック寄りの叙情的なメロディと感傷的なツインギターが精妙に絡み合い、シャープながらもタフなリズムセクションが勢いを与えていく。

 そこに全身全霊の情熱を叩きつけるような絶叫が入り込み、聴き手の心身を一気に熱くさせます。そんな蒼さと哀愁を湛えつつも程よいドライヴ感が冴える激情系ポストハードコアが矜持。時に小気味良いフックを盛り込み、畳みかけるような爆発力もみせつつコンパクトな楽曲に振り幅と起伏を持たせ、ドラマティックに迫ってきます。

 物悲しい旋律が緊張感を走らせたかと思うと分厚い絶叫コーラスと共に盛り上がっていく#1が大きな存在感を放ったかと思えば、#2では単音ギターがここぞという所で切れ込み、凄まじい絶叫と共に胸を掻き毟る様な場面を生む。若さゆえの蒼いフィーリングを迸らせながら、哀愁と激情が鬩ぎ合っているといえます。

 彼等の良さがコンパクトに凝縮したTJPコンピ提供曲#3を挟んでからの後半ではさらなる熱量と初期衝動が表出。猛々しい勢いと激しく掻き鳴らされるサウンドに気圧される#4、蔵出しの未発表曲の#5における134秒におけるスリリングな展開には血が騒ぐ結果となりました。激しい感情表現と共に叩きつける5曲約16分という短い収録内容は、その時間を軽々と凌駕するインパクトを備えています。

Fast(2014)

 スウェーデンの激情系ハードコア/スクリーモ・バンドの3曲入りEP。元々は、SPLITとしてリリースされる予定で未発表となっていた3曲を単独作としてカナダとドイツのレーベルが共同リリースしたものです。久々の音源発表とはいえ、その眩い才能に一片の曇りも無し。同郷の先輩であるSuis La Luneに触発された激しくも儚いハードコア・スタイルに磨きをかけ、感情が迸る瞬間が何度も訪れます。

 特にオープニング曲である#1「Not Yet」がその成長を垣間みせるもの。これまでに無かった7分近いこの曲では、タイトで力強いリズムと轟音シューゲイズ・ギターを基調に怒りのスクリームが幾重にも折り重なる。まさしく彼等が今まで培ってきたスタイルですが、蒼いエモーションと初期衝動は変わりない。特に3分過ぎからの展開は悶絶もので、ここまでドラマティックな演出で胸を熱くさせてくれるのは、タイプは違えどenvyに通ずるものがあったり。

 そして、前作に収録されていそうなコンパクトながらも胸掻き毟る様な激情系ハードコアで攻める#2「Rovaniemi」、Enemiesを想起させる様なポストロック調の美しいギターから、まさに壁のような轟音と絶叫の嵐が暑苦しすぎる#3「Secrets」も強力。次代を担うバンドとして、そろそろ発表されるであろうフルアルバムに大きな期待を寄せたくなるEPに仕上がっています。

Efter, Utan Under(2014)

  スウェーデンの激情系ハードコア・バンドの待望の1stフルアルバム。同郷の先輩であるSuis La Luneからの称賛を集める彼等の作品は、お馴染みのTokyo Jupiter Recordsから国内盤リリース。補足すると、2014年初頭に『Fast』という3曲入り12inchもリリースしているのだが、そちらの楽曲は収録されていません。

 レコーディングからマスタリング、アートワークに至るまでを徹底したセルフ・プロデュースで制作されたという本作。どこを切り取ってもVia Fondo節が炸裂している旨味たっぷりの逸品。#3「Jag Vill Ändå Vakna」において女性ヴォーカルのゲスト参加(多分)があるとはいえ、カオティック・ハードコアに肉迫するテクニカルな変則猛烈進行、ユングベリを思わせる爆発力と切れ味のある激情系ハードコアという体はそのまま。

 『Fast』を経たことで、シューゲイズ風の空間的アプローチや美麗アルペジオなどの手の込んだロマンティックな響きを強めたギターが良い仕事ぶり(特に#4「Januari」)。また、ヴォーカルは常にトップにギアを置いたままの状態で悲痛な叫びを続けているし、遅いパートに入っても体感的なスピード感と焦燥感が全く損なわれないドラムも凄い。

 何だかんだリリースやライヴを重ねたとはいえ、本作で肝となっているのは変わらぬ初期衝動。緻密な構成であるが、綺麗にまとまる事を良しとしないってことは、作品を通せば十二分に伝わるはず。#2「Var Inte Rädd, Min Vän」や#5「Vita Staket」、#7「Mörkert」などを中心に目まぐるしい展開と異様なまでのバイタリティで、そよぐ風にもたれることなくぶっ飛ばす。北欧激情系ハードコアの美点を拾いあげて磨きあげた全8曲約28分、シーンの最前線に彼等はもう降り立ったのかもしれない。

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