2024年に鑑賞した映画一覧

 2024年に映画館で鑑賞した作品の簡易的な感想置き場です。去年は全然、観れてないので2024年はきっちりと観ていこうと決意して記事にしました。しかし、鑑賞スタートがGWからなのでだいぶ出遅れ気味ですが。

 ※ 鑑賞したのが新→旧の順に並んでいます。

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2024年に観た映画一覧①

蒲団

 明治の文豪・田山花袋の私小説『蒲団』を現代風にアレンジした作品。山嵜監督が映画化した背景にはコロナ禍でたまたまこの小説を手に取り、その後に群馬県館林市にある田山花袋記念館を訪れたことがきっかけ。監督は奈良出身で田舎から都会への憧れみたいなシンパシーを同じ境遇の花袋に抱いたとか(舞台挨拶で語っていた)

 内容は、40代後半の脚本家が弟子入り志願した娘ほどの若い女性に恋心を抱く。しかしながら見事に翻弄され、やがて女性は彼のもとを立ち去る。最後にはその女性の残り香がある蒲団の匂いを嗅いで泣く。そんなお話。現代風になっているとはいえ、原作に準拠していました(一応読んでから鑑賞した)。

 ”この恋は、ハラスメントか、純愛なのか”というコピーがつけられていますが、おじさんが若い女性に恋したらハラスメント扱いの危険があることを突き付けてくるかのようでした。哀れで情けなく嫉妬深い主人公がキモくもあり、愛おしくも感じる。でも、こうはなりたくないと思った40手前のわたくし・・・。それにしても女性はしたたかだ。

 監督初の恋愛映画だそうです(舞台挨拶最後のコメントより)

 上映後に舞台挨拶。山嵜晋平監督と主演の斉藤陽一郎さんが登壇。先述した田山花袋『蒲団』を選んだ理由、斉藤さんを主演にしたのは気持ち悪くなり過ぎないちょうどいい塩梅だったから、片岡礼子さんの役作りなど。20分ほどでしたが、貴重なお話が聞けました。

監督:山嵜晋平, Writer:中野太, 出演:斉藤陽一郎, 出演:秋谷百音, 出演:兵頭功海, 出演:永岡佑, 出演:片岡礼子
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サウンド・オブ・フリーダム

 児童人身売買をテーマにした社会派サスペンス。実話ベースで実際の映像も使用している(あんな簡単に子どもをさらっていくのかと驚いてしまう)。完成から5年もの間、公開できなかったところに闇を感じます。

 音楽が謎にフリーダムでシーンと合ってないことが多かったですが、作品には重さと緊迫感がずっとある。ただし性暴力の直接的な描写は避けており、抑制が効いた中でヒーローものとしての見やすさがあります。主演のジム・カヴィーゼルによるエンディングのメッセージからもこの問題に対しての並々ならぬ熱意が伝わる(これについては別の問題も指摘されていますが)。

 それでも映画で描かれているのは氷山の一角。児童売買の最大消費国であるアメリカで本作がつくられているのが皮肉である。

ナミビアの砂漠

 今を時めく河合優実さんが演じる21歳のカナの日常を追った物語。刹那的で自由に生きる彼女がだんだんと壊れていく?様子が2時間映し出されますが、これが現代を生きる若者のリアルなのかとは単純に思った。自分には難しいなと。とはいえ、観ると何か残るものがある映画だとは思います。

 95%近く河合優実のターン(要するにほぼ彼女視点)で引き込まれる演技はさすが。どこか他人行儀の空虚な目が印象に残る。あと謎の隣人役の唐田えりかさん、ああいうセリフを言わせると説得力ある。

 ”日本は少子化と貧困で終わっていくので、今後の目標は生存です“というカナのセリフが刺さった。

Mommy/マミー

 26年前の和歌山毒物カレー事件のドキュメンタリー作。なぜこんな映画がつくられたのか?それは犯人とされた死刑囚・林眞須美氏が実は冤罪だったのでは、という疑問から。

 私は事件当時に中1だったので報道の過熱ぶりは覚えてます。林眞須美氏がマスコミ相手に水をぶっかける姿を覚えてる人の方が多いでしょう。それぐらいテレビで放送されていました。映画を観ていても報道関係者が林家の周りを百人以上が取り囲んでいて異常としか言いようがない。

 逮捕以降は関心を持つことはなかったですが、現在進行形でこんな状況だとは全く知りませんでした。だからといって本作を観てただちに無罪となるわけではないですが、観終わった後にいろいろと関連情報を見たり読んだりという行動に移させる映画だとは思います。

 それにしても保険金詐欺の手口をあっけらかんと武勇伝のように語る夫氏のキャラが強すぎて強すぎて。

ある一生


 1900年前後に生まれ、オーストリアの山岳地帯で生活の大半を過ごした男の一生。孤児であった幼少期から事あるごとに不条理のデスマーチに心身が折られる。引き取られた農場主からの奴隷労働、大自然が完全に引き離してしまった妻、戦争捕虜など。自分ではどうにもならない出来事の連続。

 それでも男は泰然と生き続けた。過酷な運命を受け入れ、人生にある程度の満足を得て80歳でひっそりと土の中に還る。雄大かつ明媚なアルプスが人生を翻弄しますが、それでもひとりの男の大河浪漫にグッとくるものがありましたね。心に残る生き様だったといいますか。

 『傷は積み重なる。その全てが人を作る』という作中のセリフが響きました。

こちらが原作小説。全世界で160万部を記録するベストセラーになっています。

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