スコットランドのポストメタル系バンド5人組。”Bruising post-metal(おそらく痛切なポストメタルといった意)”を掲げて活動。本記事は2024年11月にリリースされた2ndアルバム『Scavenger』について書いています。
作品紹介
Scavenger(2024)
2ndアルバム。全8曲約45分収録。Facebookページに掲載されたリリースコメントには”1stアルバムには怒りと同時に、人間の経験に対する温かさと驚きがあった。『Scavenger』にはそのような温かさはない。本作は権力構造の欠点と、その矛先を向ける人々の闘いに焦点を当て、真の代替手段がないことを嘆いている。無力な人々への頌歌(しょうか)であり、この時代にふさわしいテーマだ“と述べています。
クセではなく圧がスゴい。CodespeakerはCult of Lunaの流れを汲むポストメタルを特徴に持ちますが、より硬質でモノトーンの色調が目立ちます。現存する中で近い存在はBosskなんですけれども、音の質感的にはヴォーカルを入れたOmega Massifみたいな印象を受ける。その昔にDenovali Recordsが出してたポストメタルのライン。こう言うと伝わる人には伝わると思います。
重量感で破滅を運ぶリフを持ち、アンビエントと時に同盟を結び、スラッジメタル由来の野獣系咆哮が延々と続く(多少のクリーンVoはある)。ひたすらに威圧的で険しい。絶望感の強いThinking Man’s Metalと化していく#3「Rescission」を始め、終末的なトーンが全面を覆っています。
それでもメロウな瞬間も溶け込ませており、Explosions in the Sky系のポストロックの配合比が高い#7「Karst」のような曲も存在。また#1「USUD」では生得権、#8「Verte」は犠牲による概念を見つめているとのことですが、ダイナミックな音像と共に社会的な問題に踏み込んでいる。畏怖を覚える重低音と理念の建造。