毎月10冊以上は読むわたくしですが、全てを個別で記事作っていくのは難しいとなり、気になったものは単発で書く。あとは月末にまとめて書くことにしました。
ということで第1弾。2021年9~10月から選別して今回は10冊紹介(10冊とは決めてませんが)。とりあえず今月と来月はこの書き方をしてみます。読む際の参考になれば幸いです。
ひかりぼっち
2020年11月刊行。GEZANのフロントマン、マヒトさんのエッセイ集。8月に彼の小説『銀河で一番静かな革命』を読んだのでこちらも読みたくなったので手に取りました。
2018年2月~2020年8月までの2年半。間にあるのは、アメリカ西海岸ツアーのこと、そこでみた差別と多様性の話。主催している全感覚祭。終わっていく平成、初小説『銀河で一番静かな革命』、2019年フジロック出演、2020年コロナ禍、そして映画『破壊の日』出演について。その中でちょっと驚いたのが、マヒトさんが中学生でボアアダムズとメルヴィンズを聴いていることだったり。
彼の放つ言葉にはいつもハッとさせられる。このエッセイは彼が光を求めてもがいてきた産物。時代と共振する言葉でもあるし、時代を貫く言葉でもある。2021年6月の「森、道、市場」で彼のソロステージを観ましたが、ソロだけに静かに紡がれる音と言葉をこちら側が迎えにいって感じ取るようでした。
ミュージシャンのためのお金のセミナー
2008年からずっと聴き続けているマスロック・バンド、LITEのリーダー武田さんの初書籍。LITEの活動と並行してテレアポのバイトを続けていたそうですが、このままではいけないと30歳を超えてから行政書士試験に挑み、2度目で合格。独立開業。以降は、ミュージシャンに近い立場での行政書士として活躍しています。
これを読むまで知らなかったのですけど、不動産投資もされていて現在は3つの複業で生計を立てている。それが武田先生自身のオリジナリティになっている。著書のポイントは副業ではなく”複業”ということで、どれもが本職であるという自負がある。3つを抱えていても今はお金も時間もコントロールできているといいます。
ミュージシャンに限らず、複数の収入源を持つという事は、現代人なら必要なことだと思います。直系の先輩であるtoeだって本業を別に持っていながらずっとあの活動を続けていますからね。
印象的だったのはあとがき。「高校生の時に聴いていたLITEとこうして対バンできるなんて夢のようだよ!」と海外ツアーで地球の裏側に住む若者から言われた時、言葉では言い表せない感動とバンドを続けてきてよかったという想いがこみ上げたと武田さんは語っています。そこで成功の考え方が以下のように変わったそうです。
ちなみにLITEのほぼ全作品については以下で書いています。
ITの音楽史
摩天楼オペラのキーボーディストにして、京都コンピュータ学院・京都情報大学院大学客員教授である彩雨さんの著書。電子書籍のみのリリース。音楽の変遷とテクノロジーの関わり。正直言うと、おもしろくはなかった。教科書的な内容で、音楽のこれまでやLPやCDとか、オーディオ関係が説明されてる感じ。彩雨教授の経験談がもっと入っている方が良かったと思う。
ライティングの哲学
千葉雅也氏を始めとした4名による「書けない」についての座談会。アウトライナーを使った執筆法については、自分が使ってないからわからず。わたしはこのwordpress以外は使ってないので・・・と思ったらスマホのメモ機能や手書きメモを使ったり、いろいろと思い浮かんだことは書き留めたりしています。
著名な作家であっても書くことの苦労はつきない。みんな苦しみながら書いている。こんな末端で書いているわたしだって同じです。復活して以降はモチベーションを保ってこのブログをやれている。でも、書くことはやっぱり大変ですよ。何時間もかけて日々やり続けて。苦だけど、変な使命感のもとで勝手にやってる(笑)。
ちなみにこれは文章術の本ではありません。みんなの書けないを共有する、苦しみを分かち合うような本です。でも、みなさん結局は書くしかないと思ってやり続けることを選択しているわけです。
批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く
書店でいろいろと吟味している中で気になって購入した本。発売直後だったらしく、翌週ぐらいに宇多丸さんのラジオ「アフター6ジャンクション」に出演されていました。
批評を「精読する」「分析する」「書く」の3つのステップに分けて、そのやり方を解説した本書。考えるヒントであったり、切り口の見つけ方だったりが紹介されています。特に精読と分析の部分が難しいなと思って読んでみたのですが、自分には足りてないところだらけですよ。弊ブログが批評かというとそのレベルにはないわけですけど、本書の内容を上手く取り入れられるのかどうなのか。
教科書のようですが、面白く読めます。映画『ミッドサマー』や『燃ゆる女の肖像』など、わたくしが最近鑑賞したところからの記述もあって、すごく内容が入ってきやすかった。なにより、批判を恐れずにすることか。でも、難しいんですよねそれ(汗)。
安いニッポン
日本経済新聞や日経電子版に掲載した「安いニッポン」をさらに増強した新書。今の日本の知らなければいけない現実を知れる最適書。
安い日本を象徴するとあげられているのがダイソーで、100円均一なのは日本だけ。アメリカは約160円、ニュージーランドは270円、タイは210円。100円の地域なんか日本以外に存在しない。ディズニーランドの入場料だって8200円の日本が最安。アメリカは16000円と倍近い価格。
そういった物価を始めとして、あがらない賃金であったり、それに付随した若者搾取であったり、外国に買われていくニッポンだったり、インバウンド需要だったり。向き合わなければならない問題、ニッポンの安さを直視できる内容です。本当に読むべき新書。
これからの生き方
人生は常に迷うもの。様々な登場人物の様々な価値観と生き方の提唱、ダーバーシティ的な考え。ヒントになることが書かれています。マンガなので読みやすいと思います。
あなたの24時間はどこへ消えるのか
2021年に入って私生活をいろいろと変えようと模索する中で、時間の使い方の見直しをしました。書籍とYouTubeから取り入れられるものは取り入れてきました。
何よりもやめることを決めるのが大事。自分はテレビを観るのをやめたし(今年の4月にテレビ線を抜いてから観てない)、家事の時間を減らすためにお金をかけて時短家電を導入しました。そして家の物を少なくして管理する時間を減らしました。
そういった実践を重ねていって10月下旬に読んだ本。スワンさんは、全然知らなくてこの本を読んでからYouTubeやnoteを少し観ました。本書は、「知る、減らす、整える」の3編で構成されていて、24時間をあなたらしく再編集するように促します。主にはセルフノートとNotionを使った自己管理法。そして、スマホや他人や仕事との向き合い方を再考させる。
ちなみにこの書籍で参考文献に挙げられている『時間術大全』はオススメ。無限の泉と言われているスマホのSNSアプリへの立ち向かい方が役立ちます。
人生の短さについて
参考にしているサムの本解説chさんで数日前に取り上げられたので読みました(書籍紹介系だと学識サロンさんもよく観てる)。2000年読み継がれてきた古代ローマの哲学者セネカの“人生の処方箋”ともいえる一冊。岩波書店からも出てますね。
表題作は、「ひとの生の短さを嘆く人々を批判し、人生は過ごし方次第でいくらでも長くなる」と説いています。2000年前から同じような悩みを人間は持ち続けている。時間が無い、人生は短い。でも、それは自分自身で無くし、短くしているとセネカは言います。他人に支配された人生になってないかと。
今を失わないために過去ときちんと向き合い、時に哲人たちの優れた英知と交わり、現在という時間に集中して生きる。人生の教訓として刻んでおきたい言葉の数々が並んでいて、タメになる一冊です。
人を心から愛したことがないのだと気づいてしまっても
戸田真琴さんが2020年3月刊行のエッセイ集第2作。これは単独で記事にしています。戸田さんの文章が好きなのは、わたしも同じように孤独感を大切にしている人間だからだろうか。