Tokyo Jupiter Recordsの核心に迫るインタビュー

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 2011年もいよいよ残りわずか。わたしが過去最高に音源を購入したこともあり、今年はいつも以上に充実した音楽ライフを送らせていただいた。その上で2011年を総括していく中で絶対に取り上げたいことがあります。それがTokyo Jupiter Recordsについてです。小さいレーベルであり、ご存知ない方も多いでしょう。ですが、幣サイトを訪れる人には、絶対に知ってもらいたいので、特集いたしました。以下からスタートしていきます。

※ 本記事は2011年12月に制作したものです。

目次

Tokyo Jupiterとの出会い

 そもそものレーベルとの出会いのきっかけは某オンライン・ショップにて、ドイツのポストメタル・バンド Radareの『Infinite Regress』という作品を購入したことである。そして、前述の作品のレビューを書いたことから、Twitter上でTokyo Jupiterのオーナー・西田 皇之氏(以下:キミさん)と繋がりが生まれるに至った。その後もリリース商品を買ったり、ディストロ入荷商品を購入したりして、Tokyo Jupiterの世界にひたすら引き込まれ続けていく事になる。

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 このTokyo Jupiter Recordsは、世界各地に散りばめられたまだ光の当たっていない激情ハードコア/ポストロック系バンドを中心に探り当て、リリースを手掛けているレーベルである。ほぼオーナーの個人運営で規模は小さいながらも、想像もつかないぐらいに世界での貢献を果たしている日本の誇れるレーベルのひとつ。2007年12月から始まった音楽発信は2011年12月の現在までに20作品以上を数え、どれもが夜空の星のようにそれぞれが違う輝きを放っている。

 リリース内容はポストハードコア、ポストロック、スラッジ/ポストメタルまでわたる内容となっているのだが、その激しく感情に訴えかける音楽はハードコア愛好家だけでなく、マニアックな音楽フリークの心を動かし続けている。初々しいアーティスト達の煌きを国境を越えて感じる歓び。個人的にもTokyo Jupiterから発売される音源はいつも新しい発見に驚かされ、新鮮な感動で満たされる。

 また、ディストロも行っており、レーベル・リリース以外の仕入れ商品にしても目から鱗。聴き手に対して新しい視野を拡げ、新しい音楽体験を常にもたらしてくれる。その発送業務は海外にまでおよび、日本のみならず世界でもTokyo Jupiter Recordsの名は轟いているほど。もちろん、所属アーティストの来日公演も手掛けていて、2009年11月にはThe Black Heart RebellionとThe Caution Childrenを招聘して日本ツアーを敢行している。

 2011年には欧州にてTokyo Jupiter Festivalを成功させた。そして東北地方太平洋沖地震における被災支援にも積極的に取り組んできた。そういった真摯な姿勢もTokyo Jupiterが支持される要因といえるだろう。もちろん、所属アーティストからの信頼も厚く、まだ見ぬ原石からの売り込みも絶えないと聞く。そんな大いなる可能性を秘めたレーベルなのだ。


Tokyo Jupiter オーナー インタビュー

 今回は”Tokyo Jupiter Recordsを深く知ってもらいたい!”という想いが特に強かったので、レーベル・オーナーの西田 皇之氏に幣サイト初めてとなるインタビュー(メール・インタビュー)を試みた。この件に関してはまずは、インタビューに快く応じて下さったことに感謝の意を述べたい。まだレーベルを知って1年未満の初心者の自分だけど、Tokyo Jupiter Recordsの一ファンとして前々から伺ってみたい事が多々あって、今さら恥ずかしくて聞けないような質問も含めてこの機会にいろいろとぶつけてみた。

 Tokyo Jupiter Recordsの生い立ち、意義と共にレーベル・オーナーの人物像にも迫る内容にもなってると思います。是非ともご一読下さい。

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―― まずはTokyo Jupiter Recordsを始めたきっかけをお答えいただけますか?

 現在手がけているような類の音楽が元々好きで、多種多様な音楽を聴くことのできる環境が備わった豊かな日本に生まれた人間として、アーティストやシーンに何かしらの形で貢献したいというテーマは常日頃から抱えていました。

 ネットの発達によって音楽プレーヤーのボタンをクリックするだけで未知の音楽を容易に耳にすることができるようになった現代。そんな時代においても、聴いてオシマイの消費音楽としてではなく、ユーザーの興味や関心といったものを異文化間の音楽コミュニケーションの継続的な手段として昇華していく機会を窺っていました。

 きっかけとなったのは海外のレコードレーベルやアーティストと直にレコードを購入・取引をするようになり、アンダーグラウンドで活動するアーティスト達がどのような形でサポートされ、次世代へと引き継がれていくのか知ってからですね。欧米・他諸外国ではアーティスト・レーベル間の共同リリースや情報交換が頻繁に行われ、各国に点在する音楽愛好家達が自国内でそのアーティスト達が活動できるような環境づくり(レコードの制作や流通・ライヴ企画)を自主的に行なっています。

 もちろん日本でも実力や実績のある海外アーティストに対し、こういった試みを行い来日を実現させてきた背景がありますが、ノンブランドでもレコードレーベル未所属でもいい、諸外国のアンダーグラウンドで精力的な活動をする良質な若手アーティスト達をもっとミクロな視点からサポート出来ないかと思い、現在のレーベルを立ち上げました。また海外のアーティストをリリースすることで日本のアーティストとの接点、ツアーやリリースの機会を作ることもできますし、将来的にはレーベルを介してどんどん日本のアーティスト達に外へ出ていって欲しいという願望もありますね。

  ―― レーベル設立から現在に至るまでの経緯を大まかで構いませんのでお答えください。

 2007年の夏頃に海外レーベルとの取引の際に若手アーティストが自主制作した音源を聴く機会があって、それからすぐにコンタクトを取り、その年の12月にスタートさせました。最初にコンタクトを取ったのはベルギーのThe Black Heart RebellionとUSのThe Caution Childrenですね。彼らもまさかまともにデビューもしていない・作品も出していない自分達が遙か海の向こうの日本のレーベルに声をかけられたとは到底信じがたい雰囲気でして。

 The Black Heart Rebellionに関しては、Daitro/Heaven In Her Armsのユーロツアー(ベルギーで共演)に同伴したkillie/This Time We Will Not Promise And Forgive/OTO RECORDSの吉武氏が実際に彼らと会って、彼らの日本デビューを後押ししてくれたという話も聞いています。(その縁もあってThe Black Heart Rebellionの1stフルレングス「Monologue Japan limited edition」では吉武氏が歌詞翻訳を手がけてくれています。)

 その後の流れに関しては以下の通りです。

■ 2007年にUSのThe Caution ChildrenとUKスコットランドで精力的なライヴ活動をしていたArchivesのデモ音源をリリース。

■ 2008年にはレーベルのナンバリング第一弾となるThe Black Heart Rebellionの初期音源集「S/T」と、第二弾にあたるThe Caution Childrenの1stフルレングス「Vacations」をリリース。その後、フランス・リヨンのフレンチ/アラビア系激情ハードコアバンドOrfevreとその内3人のメンバーが在籍しているポストハードコアバンドSeila Chiaraのデモ音源をリリース。

■ 2009年にはリリースの幅を拡げ、The Black Heart Rebellionの1stフルレングス「Monologue Japan limited edition」、カナダ・モントリオールのアンダーグラウンドを支える有力なバンドメンバーが一同に集ったMilanKuのデビュー作、惜しくも解散を表明したArchivesのラスト作、The Black Heart Rebellionの同期であるベルギーのLoathusと、当時全員が10代だったスウェーデンの若手ポストロックバンドCome Across Trachimbrodのデビュー作をリリース。その年の11月にThe Black Heart RebellionとThe Caution Childrenのジャパンツアーを国内有数の若手激情ハードコアバンドbirthサポートの元、実現。

■ 2010年はSeila ChiaraとOrfevreのSPLIT作、ドイツのポストメタル界の新星Radareのデビュー作、The Black Heart Rebellionの来日をきっかけに繋がったベルギーのAmenraメンバーによるサイドプロジェクトバンドKingdomの音源集をリリース。

■ 2011年は9ヶ国のアーティスト達が参加した2枚組コンピレーション「TOKYO JUPITER Compilation II」をリリースした後、国内参加組である東京の激情ハードコアバンドNonremと共に渡欧し、ベルギーとフランスの2ヶ所で計4日間に渡るライヴフェス「TOKYO JUPITER FEST」を開催。ベルギーからはThe Black Heart Rebellion、Kingdom、Syndrome、フランスからはSeila Chiara、Orfevre、TotorRo、イタリアからはUp There: The CloudsとGottesmorder、ポルトガルからはAdornoのメンバー擁するI Had Plansが参加。

 ベルギーでは東北地方太平洋沖地震における被災支援のためのベネフィットフェスを行い、ベルギー・ドイツ・フランス間をSeila Chiara、Nonremらと共にツアー。帰国後には2008年以来となるThe Caution Childrenの2ndフルレングス「Unknown Lands」、デモ音源以来初の単独作となるSeila Chiaraの「Rive」、傍ら「exclusive CDR series」という名のCDRシリーズではスウェーデンのVia Fondo、ロシアのReka、イタリアのGottesmorderの作品集をリリースし、年内最後にヨーロッパ最高峰のポストメタルバンドAmenraの音源集「Mass III-IIII Japan limited edition」、フランスの新鋭激情・ポストロックバンドTotorRoの1stフルレングス「All Glory To John Baltor」をリリースし、現在に至る。

  ―― 僕を含めて気になっている方は多いと思うので、Tokyo Jupiter Recordsという名前の由来と意味を教えてください。

 一時期SF小説にハマっていた時期があって、日本SF大賞や星雲賞を受賞された神林長平氏の小説をきっかけに知った、とある作品の一節から名づけましたね。音や歌を用いて人の心や世界を調律して一つにしていくというテーマにシンパシーを感じて、です。

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―― 所属されているバンドは、聴き手の心を動かす感情的な音楽を奏でるバンドがほとんどです。そんなバンドをリリースするにあたって基準や重点を置いているところはどこですか?

 リリース作品によっては複雑な音作りによる世界観への理解、ストーリー性やそこに込められたメッセージを感じ取るための感受性が要求されることもあるかとは思いますが、音楽性についていえばフィーリングがモノをいう世界なので私の中では「こうでなければならない」という正確な基準というものは存在しません。

 ですので共通する部分としてあえて挙げるとすればやはり感情表現や思考の部分です。言葉にはできない繊細な部分にあたるのですが、社会性・建前・処世術が要求される現代社会においても、決して取り繕うことのない、剥き出しのハートの部分を包み隠さず投げかけることのできるアーティストは、表現者と受け手の相互理解の実現においてこれ以上とない可能性を秘めていると思いますし、そういった部分をそれぞれの音楽性の中で表現できる・大切にしているアーティスト達を率先してサポートしていきたいと考えています。

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―― リリースされたどの作品にも思い入れはあると思います。その中でも特に思い入れの強い作品ってのはありますか? また、Tokyo Jupiter Recordsを全く知らないリスナーに対して、キミさんが一番にオススメするとしたら、一体どの作品になるでしょうか?

 やはり最初の2作品、「The Black Heart Rebellion – S/T」と「The Caution Children – Vacations」でしょうか。このリリースが実際、来日に繋がったので思い出補正は強いですね。何も知らない方にどれかオススメするとしたら「The Black Heart Rebellion – Monologue Japan limited edition」もしくは「V/A – TOKYO JUPITER Compilation II」でしょうか。これらの作品に存在している音楽的要素がレーベルのアイデンティティになっていると思います。

  ―― 今の厳しすぎる音楽業界の中で、売れる保証の全く無い無名のアーティストをリリースすることには、凄く勇気がいりますよね?リリースするペースにしてもかなり早くて驚かされます。

 セールス云々というより、サポートできる環境内で良質の作品を出していくというのはレーベルのテーマに繋がりますし、商業的判断については勇気というよりは覚悟に近いものがあると思います。  ペースに関しては今年は特に早かったですね。昨年企画していたものが予算的な問題で翌年に繰り越したこと、ツアーやライヴフェスの経験で得たアーティストとの繋がりが関係しているとは思いますが、3/11の大地震の際に多くの所属アーティスト達に助けられたことへの感謝、奮起、国内外の情勢の不安定さに対するカウンター的意味合いが最も大きかったように思えます。

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―― 作品を手に取ると丁寧なパッケージにいつも惚れ惚れとしますし、さらに価格の安さにも毎回毎回びっくりしてしまいます。その点からオーナー自身の作品への愛情はもちろんのこと、ユーザーに手にとってもらうことへのこだわりを凄く感じます。先着予約特典も積極的に行っていらっしゃいますし。この辺りはどのように考えていますか?

 シンプルかつ美しい装丁、デザインを作ることを目標としています。理想は色々とありますが、限りある予算の中で出来ることを考えた結果が現在のスタイルへと繋がっています。価格に関しては、流通にかかるコストや粗利率を抑えることで何とかこの価格帯で提供させていただいています。  また海外におけるレコードの価格は日本とは比べ物にならないぐらい安価なので、所属しているアーティストにとってのメインのレーベル(他にレーベルを持たない)になっているケースを踏まえれば、海外流通のための金銭バランスを考えて、将来的にはもう少し安価に設定していきたいです。今は極度の円高ですからね。

 特典については「客寄せ」という意味合いより、マイナーなレコードレーベル・アーティストに注目してくださっている意欲的なユーザーに何かしらのギフトを送りたいという気持ちで作っています。いつの時代もこういった音楽ユーザーが支えてくれたことでアンダーグラウンド・シーンが開拓されてきたと思いますし、CDやレコードが売れない、データ化された音源で十分だと言われる時代に何か少しでも記念になるようなものを、と思っています。

  ―― 海外のお客さんも多いですよね?商品の発送はもちろんのこと、所属アーティストもほとんど海外ですし、Tokyo Jupiter Festも海外で行われました。グローバルな活動をされているという印象を強く受けます。

 シェアでいえば海外のユーザーがほぼ半数を占めています。現在運営しているfacebookのファンページ(http://www.facebook.com/tokyojupiter)では95%近く海外在住の方が登録してくださっていますね。先に挙げたレーベルのテーマや目標を踏まえれば、文化の違いに囚われることなく外へと活動の幅を拡げていく必要がありますし、リリースに関しても国籍人種の壁・リリース条件に左右されることのない大きなキャパシティを持つよう常日頃から意識しています。

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―― Twitterを拝見していると運営のお手伝いをされてる方もいらっしゃるようですが、運営は基本的にキミさん一人で行っているのでしょうか?

 基本的な運営は全て一人で行なっています。主には企画・制作・広報・マネージメント・流通販売・発送といった部分ですね。無論ご飯を食べるための活動ではないので余裕のない運営になっているのですが。ここだけの話、広報はあまり得意な分野ではないので、どなたか手伝って下さる方を募集中です。他にはアートワークなどを手がけるデザイナーが海外に3人、歌詞翻訳やインタビューなど踏み入った部分の表現をサポートしてくれているトランスレーターが1人在籍しています。

  ―― こちらの質問も気になってる方は多いと思います。キミさん自身はどのような音楽に影響されてきましたか?大まかな音楽遍歴を教えてください。また、人生を変えるような衝撃を受けた作品もあれば合わせてお答えいただけると嬉しいです。

 高校生ぐらいの頃にはもう洋楽ばかり聴いていました。輸入作品を取り扱う大型レコード店に毎週のように通っては、海外アーティストのCDを購入したり、UKの音楽大衆紙「NME」や「ROCK SOUND」「KERRANG!」、時には「METAL HAMMER」まで購入して、新譜やニュースを随時チェックしていました。

 英語もできないのに辞書を用いて単語を調べては、レコード店のPOSにないCDなどを取り寄せてもらったりと、海外の音楽メディアに対するアンテナは若い頃から張っていたと思います。

 オルタナティヴロックで名盤と言われるものは一通り聴いていたと思いますし、探究心がよりマイナーな方向へ向いてからは、ここ10年の間に隆盛を極めたポストロックと並行して海外や日本のパンクやハードコア、エモ、カオティック、スラッジへと掘り下げていきました。

 感受性が最も豊かだった時期にはEnvyやRaein、Daitro、Funeral Dinerなど90’s激情を体現するアーティストのライヴ、ISIS等に代表されるアートメタル勢の来日にも立ち会って、音だけではなく音楽に対する姿勢といったものまで吸収していきましたね。それから一時的にレコード店に勤めてその他のジャンルや提供側の姿勢を勉んだ後に、現在のレーベルを立ち上げてます。

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―― 最初からある程度のヴィジョンは持って運営されていたと思いますが、今の現実とはかけ離れていますか?

 理想と現実のギャップついては元から覚悟を決めて取り掛かったので、現在の状況についてはある程度想定内です。ただ金銭的な部分でいえば運営継続は非常に難しいところですね。ただ提供側だけでなく全ての人間が大変な時代を生きていると思います。レコードが売れなくなった~などの愚痴は決して言いたくないですよね。

  ―― 最後に今後の予定や展望など、あればお聞かせください。

 2012年は活動スタートから5年目を迎える節目の年になります。共に歩み育んできたアーティスト達の成長の証を、これまでサポートしてくださった皆さんにお届けできるようなタイトルを用意したいと思っているのと、これは常に頭の中に在ることですが、ジャパンツアーをどこかのタイミングでやりたいなと思っています。理想を追い求める反面、このタイミングで来ても果たしてお客さんが見に来てくれるだろうかという企画側としての現実的な不安はやはり存在していますが、ベターなタイミングを見計らって動いていきたいと思っています。


Tokyo Jupiter Records DISC GUIDE

 このセクションではこれまで発売されたTokyo Jupiterリリース商品のうち、わたくしが個人的に重要だと思う13作品(購入できる商品を中心にセレクト)を取り上げたい。いわゆる激情ハードコア、そしてポストロックの要素を備えた美しくて激しくてエモーショナルな音楽、そしてドラマ性を兼ね備えたのがTokyo Jupiter Recordsのレーベル・カラーと表現できると思う。

 ハードコアからヘヴィミュージック、インストゥルメンタルまで飛び火するが、作品のリリースにあたっては前述した要素に着聴してセレクトしており、それが国境を越えて真摯に響くのである。プレス数も少ないので一部の商品は入手困難になっているが、現在でも半分以上の商品は購入することが可能なので、気になった方は是非ともレーベルのディストロ・ページから注文していただければ、オーナーも感激する事でしょう。

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The Black Heart Rebellion 『s.t.』

2008/05/21
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Tokyo Jupiter Recordsの看板アーティストという称号にふさわしい、ベルギーのポストハードコア・バンドの初期音源集全6曲入り。母国ベルギーでその名を轟かすのも納得の蒼く激しき衝動が詰まっていて、燃えたぎる激情ハードコアと美しきポストロックの両軸の中で育まれていくドラマティックな楽曲に圧倒される。近年のenvyに代表されるようなポストロックへ通ずる独特の透明感や美麗さを湛えた激情ハードコア、それにExplosions In The Skyにまで肉迫するほどのクリーンさを持ったインストゥルメンタルが絡み、壮大な世界観が刻まれていく。TBHRの音楽性を早くも示した納得の作品である。

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 The Caution Children 『Vacations』

2008/07/23
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早くも第2弾となるリリースは、フロリダの激情系ハードコアバンドの1stフルアルバム。音楽的には初期衝動に任せた激情系ハードコアをベースに、ポストロックやシューゲイザーを取り入れたアプローチが多く、耽美性や浮遊感といったものを突き詰めた作風が特徴となるだろう。envy やフレンチ激情系ハードコア等のバンド達を想起させる音像をさらに叙情的に落とし込み、もっとエモくてナイーヴに。そんな堂々たるデビュー作。

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The Black Heart Rebellion 『Monologue』

2009/04/22
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激情ハードコア/ポストロックの新機軸を打ち出すTBHRの1stフルアルバム。前作からのスタイルはそのままに熟し、順当な成長をみせる一枚で激情の渦の中で奏でられるメランコリーが磨かれ、蒼く熱いエモーションと共に表出する。静と動の両軸が磨かれ、さらに壮大さを伴った作品に悶絶。ソリッドな切れ味、強靭なグルーヴに巻き込まれ轟音が炸裂し、そして悲哀のメロディ等が火花を散らしながら連鎖していく様は、激情ファンを引きつけてやまない。大きなインパクトへと力強く推進していく本作は、前作同様に熱いロマンが詰まっている。リリース後の2009年11月には、The Caution Childrenと共に初来日ツアーも行い、成功を収めた。

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Loathus 『s.t.』

2009/05/13
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一部のメディアより、”ベルギーにおいて最も期待されるハードコアバンド”として高い評価を受けたLoathusの30枚のみ自主制作された作品の正式リリース盤。”社会の腐敗、不信用、および偏執病の時代に対処するべく記録された全5曲”を収録し、コープス・ペイントを施すなど攻撃性に満ちながらもコンセプトを重視した作風と異端な存在感を放つ。ポストロック的なメロディを重ねたり、悲壮と退廃で覆われたムードの中で光を見出していくように進んだりするが、それらを巻きあげながら激情的にバースト。悲痛な絶叫、轟音を響かせるギターが鳴り響き、さらには社会への憎悪を存分に込める事でサウンドに迫真性をもたせている。5曲23分とやや短いが、意気込み十分の作品。

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Milanku 『Convalescence』

2009/05/13
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カナダ・モントリオールのポストハードコア4人組の1stフルアルバム。新アートワーク +07年のEPより3曲をボーナストラックとして収録した日本限定仕様でのリリース。いわゆる轟音ポストロック~激情ハードコアの系譜に連なるバンドだが、静謐と轟音を行き交うことでの豪快な景色の塗り替えと凄まじく重厚な音の響きが見事なもの。感傷的なアルペジオと憂いを含んだメロディを駆使した静パート、絶叫と生楽器の合致が強大な力を発揮する動パートを軸にしながら、それらを時間をかけて組み合わせていくことで十分すぎるほどに胸を打つリリカルかつ激しい物語を力強く織り上げている。100枚限定生産のため、現在入手困難。

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 Archives 『Decline』

2009/07/01
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スコットランド・ダンディーの5人組激情ハードコアバンドArchivesによる解散直前にレコーディングしていたラスト音源。叙情派ポストロックが鳴らす透き通るような美しいメロディ、それとRaeinのような突進力と激情性が興奮の坩堝へと放り投げる。炸裂する絶叫、脳天をぶち抜く轟音ギター、大地のようなどっしりとした重みから性急に畳みかけるリズム、そして白熱のエモーション。それは穏やかな凪と猛烈な嵐が交互にやってくるかのようで静動、速遅の対比を目まぐるしく行いながらしっかりと起承転結のドラマで巻き上げる。充実のラスト作品。

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 Trachimbrod 『Eating People Is Easy』

2009/11/25
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まだ”Come Across Trachimbrod”名義であった2009年に発表した7曲入りEP(+この頃はまだ4人編成)。メンバー全員が1990年代生まれという期待の若手による本作は、激情のエッセンスを細かく塗しながらも、Explosions in the Skyのような叙事的で物語性の高いサウンドスケープがキラリと光る。前述したEITSやEfといった面々が思い浮かぶ端正で綺麗な音使いを効果的に盛り込んだポストロックに、屈強なドラムの殴打と数多の修羅場を潜り抜けてきた感のある激情型の絶叫ヴォーカルを伴ってenvyが見せる様な荒涼とした風景へと発展していく様は壮観。スウェーデンから登場した大いなる可能性を秘めた新鋭だ。

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 Radare 『Infinite Regress』

2010/06/22
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前述したようにわたしとTokyo Jupiter Recordsを繋げた、ドイツ発のポストメタル4人組の1stアルバム。まさしく深遠という言葉がぴったりと当てはまるポストメタルで、ISISとGYBE!の知性を噛み砕き、ダイナミックな静と動の衝突を生かしながら創造するサウンドが強烈である。その音色は時に暗闇の中に映像を生みだし、時に涅槃の色をも描き、聴き手の感情を激しく揺さぶり倒す。管楽器も取り入れているのも個性のひとつ。彼等の音楽は、轟音ポストロック~ポストメタルを好むリスナーのみならず多くの人間の感性を動かすことだろう。

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 Kingdom 『s.t.』

2010/07/07
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ベルギーの2つの激情ハードコア・バンド、AmenraとThe Black Heart Rebellionによるサイド・プロジェクト。母体であるバンドから受け継がれる激情のエッセンスも所々で顔見せするが、とにかく低い重心とスピリチュアルな精神性を持った独自の世界観を打ち立てていく。ドゥーム/スラッジばりの激重厚なリフの轟きと屈強なリズムがひたすら低地を這うようにゆっくりと進むのが主たる特徴。ミックス&マスタリングを手掛けたBilly Andersonと共に底知れぬ作品の深度、ヘヴィネスの黒い海に飲み込まれるような混沌渦巻く作品を作り上げた。サイドプロジェクトに留まらない重みと深みを追求した強烈な作品である。

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The Caution Children 『Unknown Lands』

2011/06/29
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アメリカ・フロリダの4人組激情ポストハードコアバンドの2ndアルバム。The Black Heart Rebellionと並ぶレーベルの看板アーティストで、09年に来日ツアーを敢行している。一筋の光が差していくようなメロディや展開、静と動のコントラストの生み出し方、全身から魂削って絞り出す絶叫などenvyを思わせる作風だが、より蒼い焦燥感や初期衝動を感じる内容。激情と叙情を湛えながら勇ましく推進していくポストハードコア、この美しく感情的な作品はダイレクトにストレートに胸を熱くなる。必然のエモーショナルが詰め込められた逸品。

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Seila Chiara 『Rive』

2011/08/24
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今、最も急成長を遂げているフランスの5人組若手激情・エモ・ポストハードコアバンドの1st EP(7曲入り26分)。 エモ/ポストハードコアからポストロック寄りにした繊細なメロディラインと拡がりのある音使いを主軸に、情念を振りまく細く枯れた絶唱が乗る。ギターのフレーズからはPeleやtoe的なニュアンスを感じるし、クリーン・フレーズやトレモロの多用からもポストロック要素強めの印象。しかし、ヴォーカルのエモーティヴな絶叫が鼓膜からヒリヒリとした熱を全身に伝える。美しい旋律を奏でながら歌・メロディのエモさに揺れ動き、さらにピアノも効果的に用いた本作からは感情的な表現が痛いほど伝わってくるぐらいに豊かで、若さと透明感も随所で滲み出る。これからの成長が楽しみな若手。

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TotorRo 『All Glory To John Baltor』

2011/10/26
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Caspianから大きな称賛を送られたフランス・レンヌの若手轟音ポストロック4人組による1stアルバム。08年のEPで聴かせた彼等の根幹である壮麗なる轟音叙事詩を遥かにパワーアップさせた本作は鳥肌ものである。リリカルな旋律が舞い踊り、美しいトレモロが飛翔へ。さらに激情ハードコアの要素を大々的に取り入れ、バイオレンスな激情性と美麗なインストゥルメンタルの交錯によって深遠に綴ることで、あまりにも豊かな起伏と驚異的なスケールを生みだすことに成功。圧倒的な力で描かれていく音風景の広大さに衝撃を受ける傑作。ちなみに2ndフルアルバムは、音楽性をシフトさせてマスロック化。

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Amenra 『Mass III-II + Mass IIII』

2011/10/26
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Tokyo Jupiterのレーベル史上最大のビッグネームであるベルギーのヘヴィロック・バンド。スロウテンポで激しいまでのヘヴィネスを必然であるがごとく叩きつけるも、極めて深遠でアーティスティックな作風。このジャンルの先駆者ともいえる存在のNeurosisの影響下にあるのは間違いなく、地鳴りの如しスラッジ・リフと背徳の絶叫が痛烈に空間を歪ませていく化け物染みた重低音がダイナミックに轟いている。負の情念が渦巻く重厚なサウンドはどす黒い炎へと変わり、身も心も焼きつくす。まるでISISのアート性の高さや思慮深さ、BotchやConvergeばりの猛烈な感情の奔流と混沌、GY!BEのような終末の世界観と物語性を内包しているかのようだ。人間の核に非常なる重みをもって迫る壮絶な音の群れ、あまりにも壮大な絶望と混沌を打ち鳴らす最重要作品。深層意識を巡る激重の旅路。

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KYOTY 『Undiscovered Country Of Old Death And Strange Years In The Frightful Past』

2012/03/21
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USニューハンプシャー州発のインストゥルメンタル・メタル・トリオのデビュー作。ここでは轟音系ポストロックからポストメタル、スラッジ~ドゥーム勢にも親和する重く強い音が鳴る。時に繊細に、時に凶暴に吹き荒れるサウンドは、激情ハードコアへの憧憬も重なって壮大なものへと発展。彼等の本国アメリカでは、HydraheadとThe Mylene Sheath、その両方から作品が出てもおかしくない精度の高さを誇る。本作の出来を確信へと変えていく圧倒的な力をもった10分超のラスト#8「15」はその証明。Pelicanの1stアルバムを聴いた時と同様にまだ粗削りな部分も感じるが、それ以上に”期待”を抱かせる。 地響きを巻き起こすヘヴィネス、オリエンタルで艶やかなメロディの波、ドラマ性に長けた展開力、”Next Pelican”とも評されたその実力を肌で感じるはずだ。

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Trachimbrod 『A Collection Of Hidden Sketches

2012/06/06
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5人編成となり、新名義”Trachimbrod”へと変貌を遂げたスウェーデンの激情エモ/ポストロック・バンドの1stフル。EITS系の壮大な轟音ポストロックをソリッドに激情化。同郷のSuis La Luneを思わせる哀切メロディと蒼き感情が迸る絶叫の応酬が胸に刺さる。繊細なアルペジオを中心とした美旋律で引き込む辺りは、前作から通じているものだが、鼓膜をぶち抜くような荒々しいパートが表面化してきたのは頼もしい。メロディアスな印象は変わらずに強いが、中核を成すようになった魂のこもった絶叫と叙情的なサウンドのエモーショナルな合算は胸を焦がすことだろう。緩急や強弱を上手くコントロールしながら、豊かな情緒の振れ幅を楽曲に落とし込んでいる。

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Milanku 『Pris a` la gorge』

2012/09/05
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カナダ・モントリオールのポストハードコア・バンドの2ndアルバム。前作でたどり着いた境地を経て、突き詰められた激しさと美しさをまとい、力強く織り上げるストーリーに心を衝き動かされる力作だ。繊細なアルペジオ、哀切のトレモロ・ギター、それに鼓膜を圧する凄まじいまでの轟音の洪水。さらにはレーベル史上最も美しいと表現されるに至る珠玉のメロディが光となり、希望の灯となる。さらに身を削るような激情の咆哮には興奮が体中を駆け巡ることだろう。ここでは、Explosions In The SkyやMONOのような静から動への過剰なまでにドラマティック展開に、激情を駆り立てるハードコアの魂が宿っている。特に#1「La Chute」は屈指の名曲。

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The Black Heart Rebellion 『Har Nevo』

2012/12/12
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11月末の奇跡的な再来日で新たなスタートを切った、ベルギーの激情ハードコア/エクスペリメンタル・ロック・バンドの2ndフル。これまでの音楽性に民族/宗教/現代音楽をミックスしたことで、以前までの枠組を明らかに飛び出したのが本作だ。東洋風のメロディ、トライヴァルなリズム、読経風ヴォーカルなどが醸し出す妖しいまでの幽玄さに驚かされる。ハードコアやポストロックの要素がベースにあることは確かだが、前作との感触の違いは明らか。あのOMやGrailsを彷彿とさせるような異国情緒や淡い煙たさに視界が歪む。進化/深化を長きにわたって追求した果てにこぎつけた、ハードコア通過型のエクスペリメンタル・ミュージックの真髄を大いにみせつけた作品。

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Trachimbrod + Sore Eyelids – 『SPLIT』

2013/05/15
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Trachimbrod、Sore Eyelidsのスウェーデンの同郷同志による、胸熱スプリット作品。まずは先手のTrachimbrodが、ソリッドなサウンドと美メロを掻き鳴らす2ndアルバムから、妙に情感をつつくフックとより明快な歌を獲得し、不思議な爽快感をもらたしてくれる。後攻となるSore EyelidsはSuis La LuneのHenningとKarlを擁すバンドだが、本隊で携えるメロディセンスはそのままに、轟音シューゲイズ方面へと舵切った音楽性が魅力的。今後の展望を知る上でもチェックしておきたいスプリット作品である。

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Viva Belgrado『s.t.』

2013/07/10
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スペイン・コルドバ発の若き激情ハードコア・ポストロックバンドの初のフィジカル・リリース作品となる編集盤。Tokyo Jupiterらしいエモーションとメロディの美しさを備えたバンドだなあという印象もあれど、スペイン語の独特の語感が鼓膜にこびりつく感覚に、今までにない新鮮さを覚える。キレイめで清涼感あるポストロックから、Touche Amoreっぽい激情系ハードコア等をベースに置いていると感じるが、その激情が渦を巻くサウンドに熱くさせられる。

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Errata『L’Autre Hemisphere』

2013/09/18
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フランス・リール出身の激情ハードコア・バンドの1stフルアルバム。フランスらしい激情系ハードコアのクオリティの高さをまざまざと思い知らされる一枚で、切迫とした状況下に置かれた様な中での悲痛な絶叫、そしてバイオレンスな薫り立つ鋭いギターリフとリズムによる攻撃的なサウンドは、確かな破壊力を持つ。 さらには、悲壮感に満ちたトレモロ・リフ、ポストロック風のオーガニックな温かみや哀切としたメロディを効果的に組み合わせている。静と動を自在に行き来するダイナミズムも強みだ。

The Caution Children『And Baby / Safe Crusades / No Judgements』

2014/02/19
TJP-030

記念すべき第30弾リリースは、レーベル設立当初から共に歩んできたTCCの3rdフルアルバム。レコーディングに、Deafheavenを手掛けるComadreのJack Shirleyを起用した本作は、新たにギタリストを迎えて5人体制でつくられている。ラフで荒削りな感触は健在のまま、音像の厚みや空間的なアプローチはさらに説得力は増し、Deafheaven『Sunbather』のように激情系のアグレッシヴさを保ちながら、甘美さと光への推進を強く感じさせる力作。繊細でいて壮絶なハードコアの結晶。

rebirths

thisquietarmy 『Rebirths』

2014/04/16
TJP-031

カナダのギタリストであるEric Quachによる、アンビエント/エクスペリメンタル音楽系を中心に据えたソロプロジェクト。2005年のプロジェクト始動以来、発表された20タイトルに及ぶスタジオ音源から4曲を厳選し、全編再レコーディングを敢行して収録(+ボーナストラック1曲)。眩惑のアンビエント、瞑想的なドローン、吹雪のような轟音と移り変わる。そんな実験的な作品であり、加えて退廃的な雰囲気と厳粛な冷たさは、彼の特徴としてあげられる。Nadja好きには抑えておいてほしい存在。

efter

Via Fondo 『Efter, Utan Under』

2014/12/24
TJP-034

スウェーデンの激情系ハードコア・バンドの待望の1stフルアルバム。どこを切り取ってもVia Fondo節が炸裂。カオティック・ハードコアに肉迫するテクニカルな変則猛烈進行、ユングベリを思わせる爆発力と切れ味のある激情系ハードコアという体はそのままに、ロマンティックな響きを強化。とはいえ、この初期衝動はたまらない。北欧激情系ハードコアの美点を拾いあげて磨きあげた全8曲約28分。同郷の先輩であるSuis La Luneからも称賛を集める。

florescarne

Viva Belgrado 『Flores, Carne』

2014/12/24
TJP-036

スペイン・コルドバ発の若きハードコア・バンドの1stフルアルバム。ポストハードコアを根幹にし、静と動のコンビネーションを生かした構成、スペイン語による独特の語感を武器にコルドバから少しずつ世界を進撃。本作では一層強まったポストロック/シューゲイザーの要素が、ジャケットの花のように彼等の音楽に彩りを与えている。コンパクトな尺で統一しながらも、スペインのリトルenvyとしての存在感を放つ。

migrationlight

threestepstotheocean 『Migration Light』

2015/04/08
TJP-038

イタリア・ミラノのポストメタル・バンドの4thアルバム。この手のバンドでいうと、静から動への爆発力は控えめ。アンビエンスなギターやキーボードによるスペーシーな音響、幻想性などを加味してドラマティック仕立てにしており、メロディも耳馴染みしやすい。また、ポスト系バンドは長尺の曲が多いと思うが、3~4分台の曲が半分を占めているため聴きやすいのも特徴のひとつだ。

Tengil 『Six』

2015/07/08
TJP-037

Tokyo Jupiter所属にスウェーデン多いなとそろそろお思いの方、まだいますよこの新人が。「Quasi-symphonic post-hardcore (準交響的ポストハードコア) 」と自らのスタイルを称し、実際にミュージカルや古典交響曲から大きな影響を受けて楽曲制作。骨格は轟音ポストロック静動型に準拠し、空間・奥行きの捉え方にRosettaの影響がありそうだ。このようにハードコアやシューゲイザーにミュージカルまでの要素を馴染ませていく手法はなかなかに心憎い。ある種の暑苦しさを過剰に感じさせずに、スマートにまとめている点も良い。

tokyojupiter2

V.A. 『TOKYO JUPITER Compilation II』 

2011/02/16
TJP-015

コンピレーション・アルバム第2弾。未来への可能性を存分に示す14アーティスト14曲のCD2枚組96分にも及ぶ激情の宴、過剰なまでに心身を突き動かす音塊の表出は、その手のファンにとって非常にたまらない内容。収録曲は、レーベル所属アーティストを中心にセレクトし、全新曲/未発表曲のみで構成。コンピのための書き下ろしの曲や次作品の一手としている曲も多くあって、聴き応えは満点だ。以下は、オーナーの発言より。

『8ヶ国から生まれも環境も宗派も異なる14組のアーティストが参加してくれましたが、どこを切り取っても『TOKYO JUPITERらしい音と感情表現』を形成してくれてます。コンピにはスポットを当てなければ一生出会うこともなかったような小さな、そして若いアーティスト達が収録されていますが、その知名度の大小に限らず世界のどこかでこういう音楽を掻き鳴らしている人達が存在していて、将来的なサポートを求めているということをCDを通して感じて頂ければ幸いです。』

Tokyo Jupiter Recordsの想いの結晶、また若きアーティスト達の素晴らしい可能性を伝える本作を”Tokyo Jupiter入門盤”としてお勧めしたい。

———— TOKYO JUPITER exclusive CDR series ————

 また”TOKYO JUPITER exclusive CDR series”も紹介しておこう。こちらは毎回25セット限定で販売され、瞬く間に完売してしまうので現在は購入できないが、これからも積極的にTokyo Jupiterが関わっていくアーティストなので試聴等でチェックしていただければ幸いだ。

tar

Via Fondo 『Tar -Limited Edition-』

2011/09/07
TJP-018

シリーズ第一弾(といっても次のRekaの方が先に発売になっている)は30分も経たぬうちに完売。スウェーデンの激情系ポストハードコア・バンドの7inch + CD-R仕様の作品である。エモ~ポストロック寄りの叙情的なメロディと感傷的なツインギターが精妙に絡み合い、シャープながらもタフなリズムセクションが勢いを与え、全身全霊の情熱を叩きつけるような絶叫が入り込む。そんな蒼さと哀愁を湛えつつも程よいドライヴ感が冴える激情ポストハードコアが矜持。時に小気味良いフックを盛り込み、畳みかけるような爆発力もみせつつコンパクトな楽曲に振り幅と起伏を持たせ、ドラマティックに迫ってくる。5曲約16分という短い収録内容は、その時間を軽々と凌駕するインパクトを備えている。

reka123

Reka 『I + II + III -Limited Edition-』

2011/07/27
TJP-019

シリーズ第2弾。 ロシアのポストメタル・バンドRekaの完全ディスコグラフィー盤でタイトル通りの1st~3rdまでの音源にボーナスとしてライヴ音源まで収録した4枚組CD-R仕様。ペンタグラム(五芒星)のコンセプトを元に制作されており、激情ハードコア~スラッジ~ポストメタルを経由した音楽性は確かに強烈に響く。地から天まで蹂躙してくようなリフ、負の感情を吐露する痛々しい絶叫をメインに暗く重く激しいサウンドが牽引。ミッドテンポながら眼前の景色を豪快に切り替えていく退廃的なヘヴィネス、カオティックな音の渦には神経が痺れること間違いなし。

gottesmorder

Gottesmorder 『Gottesmorder -Limited Edition-』

2011/10/26
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シリーズ第3弾。イタリアン・ポストブラックメタル・トリオによる1st EP。ミックス・マスタリングは同じイタリアの最重激音バンド、Lentoのメンバーが手掛けている。Sourthen Lord系列に影響が顕著なブラックメタルからポスト・ブラックメタルへの羽化した印象を受ける作風で、寒々しいリフで切り裂いては疾走、その隙間では憂いだメロディやアンビエントも盛り込まれる。構成力の高い楽曲は、それこそWolves in the Throne Roomを髣髴とさせる。


あとがき

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 上の画像は、今年に入って購入したTokyo Jupiter Recordsの作品一覧である。写真に写って無いディストロ商品も含めるともう少し多い。これらの作品を購入して聴いてるうちに僕自身の中で湧き上がってくるものがあって、是非ともTokyo Jupiter Recordsを特集できないだろうかと考えたのが今回の記事のきっかけであった。加えて、作品のレビューにとどまらないさらに大きなものを残したいという想いもあった。それを踏まえて未熟な部分はあるけれども、しっかりとした記事として表現できたことは満足している。読者の皆様には、これが新しい音楽体験のきっかけとなれば幸いだ。

 今回の特集を組むにあたって、Tokyo Jupiter Recordsの西田皇之氏には最大限の感謝を示したい。当然ながら、彼がいなければもちろんレーベル自体も存在してなかったわけで。今回の特集が成立することはなかったし、海外の原石たちを知ることも無かったかもしれない。

 さらに忙しい合間を縫ってインタビューにご返答いただいた。隅々までびっしりと書かれた内容の濃さには本当に驚き。将来のあるバンドの丁寧なサポートを通じて、真摯に音楽と向き合い、音楽業界の発展を願っている人間の一人。過去の再発では無く、現行のアーティストをサポートすることでそのアーティストの可能性を大きく拡げていくことに全力を尽くしている。特集の完成度がグッと高まったのはほかならぬ、このインタビューに尽きる。本当に感謝の言葉しか出てこない。


Tokyo Jupiter Records Links

tokyojupiter

Official site    : https://tokyojupiterrecords.com/

store(Japan)   : https://jstore.tokyojupiterrecords.com/

Facebook   : https://www.facebook.com/tokyojupiter

twitter     : https://twitter.com/TokyoJupiter_KM

Bandcamp   : https://tokyojupiter.bandcamp.com/ 

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