【ライブ感想】2023/12/05 deathcrash @ 鶴舞K.D.Japon

 UKの新世代スロウコア・バンド、deathcrashのライブへ。辺境地・名古屋を飛ばさない良心バンドだったことがポイント高いですが、最近は意外と飛ばさない人たちが多くて感謝しております。

 都合によって遅れたため、着いた時には水中スピカは終わって観られず。こればっかりは仕方がない。

 自らセッティングを行い、20時過ぎからdeathcrashの演奏が始まります。見た目は朴訥とした青年たちでメンバー全員細身で下手側のギタリストとドラマーが丸刈り、ベーシストと上手のギタリストが黒ぶちメガネ。また音楽も着飾ろうとはせず、”そっけなさ”が彼等の特徴のひとつだと感じています。

 一音一音を追いかけるように聴く静寂から、Mogwaiを思わせる轟音までの往復運動は肝のひとつ。ですが、ライヴを体感してみると静パートの味わいが深まりました。最小限の演奏とつぶやくような歌をたしなみ、緊張と静けさを共有する。高架下にあるK.D.JaponではJR中央本線の列車の音が演奏に重なってくるのですが、そのローカル感がまた名古屋公演ならではの味でした。

 轟音はあくまで流れの中のパーツ。必要以上に力まず大音量で押してやろうという感じもない。若いながらも玄人スタイルであり、孤独な空間にでも放り出されているようなわびしい旋律が効いてくる。

 引きの美学を追い求めつつも「Empty Heavy」や「Wrestle With Jimmy」では激情を撒き散らす熱量高いパートが登場。何が驚いたかって叫んでるのがドラマーだったこと。軟体動物のようなドラム捌きといい、動きや表情で目を引いたのは彼でしたね。

 セットリストはこれまでに発表されている1st『Return』、2nd『Less』から半々。「Slowed」がさらに昔の曲。中盤で演奏された「Giant」は過去曲か新曲か調べてもわからないのですが、美しいハーモニクスの音から轟音系ポストロックの系譜をたどる曲でめちゃくちゃ好みでした。

 終盤にMC。「わたしたちはデスクラッシュです。ロンドンからきました。きょうはきてくれてありがとう。グッズ売ります」と日本語で話す。音楽は全然サービス精神ないし、ひょうひょうとしている。でも話す方はなんでこんな優しいんだと感心しました。

 ラスト2曲は圧巻でした。「American Metal」は『Come on Die Young』のモグワイを彷彿とさせる昇り詰めていくような轟音化。「Doomcrash」は最後の最後で弦楽器隊がアンプの前で座り込んでのノイズ狂騒と化し、ライブは終焉。

 華やかさと無縁だろうと貫いていくストイックさ。ウケるを追わず、ただ自分たちの音楽に没頭する。緊張と緩和。それをじっくりと体感したようなdeathcrashのライブでした。

—setlist—
01. Sundown
02. Empty Heavy
03. Duffy’s
04. Wrestle With Jimmy
05. And Now I Am Lit
06. Giant
07. Unwind
08. Slowed
09. American Metal
10. Doomcrash

下記を参照してます。PAのとこに貼ってありました。

メインアーティスト:deathcrash
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