Coaltar of the Deepers、Boris、明日の叙景が共演するツアーに足を運びました。90年代から活躍するベテラン両巨頭に新世代・明日の叙景を加えた3バンドは人によってはよだれものでしょう。COTDは文脈ならぬ音脈的に横にも縦にもつながる音楽性の広さやフォロワーの多さがありますしね。
会場の新栄Shangri-Laは2022年9月にできた新しい・・・じゃありませんでした。旧アポロベイスの跡地にできたライブハウス。その前のアポロシアター時代を含めて、行った事はあるので記憶をさかのぼるとつくりは変わっていない。老朽化で撤退したとかいうのは何じゃらほいというデマ話だそう。
わたしはアポロベイス時代に来た記憶がないとX(旧Twitter)に書いちゃいましたが、D.A.Nとかゆるめるモ!をここでみていました。アポロベイス前のアポロシアター時代はKTL、Asobi Seksu、Akron Familyなどの来日公演を体感。お隣のダイモンドホール以上ってことはないにしても意外と来ていた。
ライブ感想
明日の叙景
7月の大阪ワンマン『アイランド』フル公演以来、2度目。音源は聴きまくってるし、なんなら『アイランド』は昨年のベストアルバムに選ぶほど気に入っている1枚です。
静かに語り掛ける”こんにちは、こんにちは”の「遠雷と君」からスタートし、国産ポストブラックメタル最右翼の実力を発揮するライブでした。高速トレモロリフとリズムは体感的なスピード感と苛烈さをもたらす一方で、日本人に特に効くメロディが親しみやすい土壌をつくっています。布氏のヴォーカルは以前にも増して堂々たるもの。激情的でもありクールでもあるバンドの姿勢を彼が体現しているようにも感じられました。
驚いたのは2nd EP『すべてか弱い願い』からの楽曲が披露されていたこと。Deafheavenの3rdアルバムに似たシャープな切れ味の「私はもう祈らない」はぶちあがり、柔らかいメロウさでつづる「青い果実」がスクリームするとはいえ心地よく包む。そして「土踏まず」を挟み、ラストはこれしかないアンセム「キメラ」で締め。不満? 持ち時間が30分だったことぐらいです。受付でお目当ては誰ですかと聞かれ、”明日の叙景です”って言ってよかった。
—setlist—
01. 遠雷と君
02. 私はもう祈らない
03. 青い果実
04. 土踏まず
05. キメラ
Boris
約1年ぶりのBoris。その1年前がBoris with TOKIEのスペシャル4人編成でバンドの紋所である『HEAVY ROCKS(2002)』を再現するもの。初期の名残と30年の歴史を凝縮したドローンとロックンロールがせめぎあうステージは本当に見事でした。
本日のBorisも4人編成。ただドラマーのAtsuoさんがヴォーカルに専念し、代わりにMUCHIO氏がドラムを務めます。この4人体制は去年や今年春の国外ツアーは同編成だった模様。10回ぐらいみていると思うのですが、こんなBorisは初めてです。ついでに言うと昨日のライブでスモークが2台壊れたらしく、ずっと姿を確認できたことも珍しかった。
いきなりCOTDのカバー「To The Beach」から入ったものの全体を通してハードコアなライブでした。なんならクラストじゃないかと思える場面もあります。『NO』や『HEAVY ROCKS(2022)』を主体に、Dビートやエグいリフを主体に速いテンポで攻める攻める。ここまでアスリート気質で汗臭いライブとは。いつものドローン轟音浴みたいなのとはまじで違います。代表曲「決別」やってませんしね。
サプライスもあり、中盤で布氏がゲスト参加して「Kikinoue」を披露。そしてCOTDとのスプリット作からの3曲。「Quicksilver」の終わりなき爆走からCOTDのカバーとは感じれないほどのヘヴィに進化した「Serial Tear」へ突き進む。ラストの「LOVELESS」でもスタイルを曲げず走り切り、新鮮なBorisを体感できた50分になりました。
—setlist—
01. To The Beach(Coaltar of the Deepers Cover)
02. Anti-Gone
03. She is Burning
04. Question 1
05. Kikinoue(with 布 from 明日の叙景
06. Luna
07. Quicksilver
08. Serial Tear(Coaltar of the Deepers Cover)
09. LOVELESS
Coaltar of the Deepers
4年半ぶりのディーパーズ。その時は『THE VISITORS FROM DEEPSPACE』の発売25周年を記念した再現ライブを体感しに大阪まで行きました。今回のスプリット・ツアーも演奏陣は同じくビジターズチームが帯同。
ライブは「Wipe Out」からスタートし、三味線のエディットと切れ味鋭いヘヴィネスが大いに盛り上げます。この曲を含め再録曲は多少違うぐらいのようには感じましたが、音源だとどうなのか(未購入)。Borisカバーとなる「黒猫メロディ」は原曲に忠実な感じだったと思いますが、シューゲイズ風味の轟音と軽やかな歌メロの混合がディーパーズでもハマっていましたね。終始クールな感じのNARASAKI氏とは逆にビジターズチームの演奏は熱気がある。
突如発表された新曲「SHIOSAI」や初期曲もありましたが、印象的だったのはラスト前の「Deepless」。アニメチックなテクノポップ風の親しみやすさから、コーラス・パートがあんな武闘派なのかとライブだからこそ感じれる熱気とエモーションが良かったですね。
BLINK演奏後にアンコールを求める拍手3~4分ほど鳴りやみませんでしたが、カーテンが閉められて結局はアナウンスと共に終わりました。Borisと同じく50分。やはり短かった。でも久々のディーパーズのライブを体感できて感謝。
—setlist—
01. Wipe Out(New Version)
02. Waterbird(New Version)
03. 黒猫メロディ(Boris Cover)
04. SHIOSAI(New Song)
05. LANGSAM BLUT
06. Light of the World
07. AMETHYST
08. Deepless
09. BLINK