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90’s EMOの軌跡は続く、American Football

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American Football :LP1 (1999)

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 1stフルアルバム。マイク・キンセラがもともとやっていたCap’n Jazzは、御存知の通りに奇天烈で爆発力のある激エモ/パンクと言った感じで、10代の初期衝動を大いに感じる作風でした。対してこのAmerican Footballは、凪いだ海のように穏やかなサウンドと染みわたるような歌心が特徴です。

 美しいアルペジオと柔らかなマイクの歌声、さらには長閑な空気を持ち込むトランペットの音色が切ない哀愁を漂わせていく。決して激しさを売りにしたものではなく、ポストロックにも連なっていく流麗なサウンドが心を惹きつけます。冒頭を飾る#1「Never Meant」はまさしく彼等の特徴が表れた名曲として君臨しています。

 優しいメロディやトランペットとともに感傷的に夏の終わりを迎える#2「The Summer Ends」、Peleやtoeといったインスト・ポストロック勢にも影響を及ぼしたであろう#3「Honestly?」といった曲も軽やかで清涼感に溢れたもの。どこまでも広がる草原の上で夕陽を眺めるかのような#8「Stay Home」もまたセンチメンタルな気分にさせられます。

 90年代エモ特有の枯れた味わいに加え、滑らかな展開と美しいメロディが最上の説得力を持っています。そんな全9曲で綴られた本作は、90年代エモを語る上で欠かせない名盤のひとつ。2014年に再発された2枚組デラックス・エディションでは、未発表のデモ音源やライヴ音源を収録。本作をまた一段と輝かせています。

Amrican Football :LP2 (2016)

 まさかの復活を果たし、約17年ぶりとなる2ndフルアルバム。昨年には奇跡の初来日公演がありましたが、作品まで届けてくれるとは。ただ、作品名が1stと一緒のセルフタイトルだから、野村萬斎に「ややこしや」と言われそうですがね。

 発売に伴って前作を聴き直しましたが、時代を感じさせない音楽であるなと改めて感じたものです。アルペジオを中心にゆったりと紡がれる美しい音色、柔らかい歌声。それらがひたすらに蒼くきらめいており、聴いていると田舎の田園風景が広がるかのようです。

 イントロからグッと引き込まれる#1「Where Are We Now?」から込み上げるものがありますが、本作においても約束されたアメフト節は変わらず。寄り添うような音とのどかな時間の流れ。まあ、前作ほど蒼さを感じはしませんが、Owenの活動も踏まえて円熟した楽曲を届けており、年齢を重ねてきたことがいい枯れ具合につながっています。

 所々でトランペットの登場はあるものの(前作と比べて頻度は減っている)、シンプルに良い歌とメロディを多くの人々の胸に響かせます。一段と切ない哀愁を帯びた#3「Home Is Where the Haunt Is」、クリーンなギターと軽やかなリズムに乗せられる#5「I’ve Been So Lost for So Long」など収録。

 熱量の押し売りはせず、力むことなく自然体で。良い言い方ではないかもしれませんが、素朴が最上の味みたいなね。全9曲約38分、17年後も色褪せない音楽として語られるだろう作品です。

American Football :LP3 (2019)

 約3年ぶりとなるフルアルバム。本作リリース後の2019年に凄まじい雨に打たれる中でフジロック出演。

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