Caina、独りポストブラック。シネマティック仕立て。

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Temporary Antennae(2008)

   イギリス・マンチェスター出身のAndrew Curtis-Brignell氏にポスト・ブラックメタル独りプロジェクト。本作は3rdアルバム。基本はブラックメタル的な激しさと重みを所々で仕掛けとして残しつつ、大枠はポストロック/ポストメタルで埋めているような印象。精神の病みとたおやかな美しさとメランコリーが交錯しあいます。この美しく気品溢れる感じと闇の混成具合にどこか夢中夢を思い出したり。郷愁を駆り立てる繊細なメロディとアコースティックな調べなんかは、Alcestに影響受けてるのではないかとも感じます。暗さや悲壮感を漂わせているが、絶望に堕ちるまではいかず。後半はシガーロスのような明るさが垣間見れるのもおもしろい。それでも#4ではブラックメタルの業火を聴き手にアピールしてくれる辺りは嬉しいところ。こういった楽曲の間口の広さもこの作品の多彩さを物語っています。amazon.comでは”mix of Burzum, Mogwai and The Red House Painters”とか表現されてたり。

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Hands That Pluck(2011)

   4thアルバム。本作はブラックメタルとしての狂性と苛烈さを引き出したもので、表層から受ける叙情的な色合いは薄まりました。#1の禍々しい疾走とプリミティヴな狂気をさらけ出したサウンドには別のバンドかと焦ったぐらい。邪気のこもったロウな絶叫や凄まじいブラストビートを駆使した暴虐パートはかなり振りきれています。それでも神秘的なキーボードによる演出やトレモロやメロディの挟み方はこれまでの叙情感は示しており、#2における美と醜が壮絶に渦巻く展開力には舌を巻く。ミステリアスな2分台のインタールードもコンセプチュアルな作風を高めており、Ulverのような創造性も持っているのではないかと感じたり。哀しみの底を漂っているような儚いポストロックを奏でている#4は印象的な1曲。ちなみに本作は2枚組で、DISC-2の方には新曲や過去曲のリマスター音源やNICOのカヴァーを収録しており、こちらではメロウな作風が楽しめる。

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