激しく妖艶に。生ける伝説、DEAD ENDについて

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 80年代に活躍した伝説の4人組ロックバンド。もろジャパメタな激しい演奏と妖艶な世界観を融合させ、確固たる地位を築き、人気を博していました。彼等の作品が当時、海外でも発売されていたのがその実力を物語ります。バリバリにメイクを施した容姿と世界観から、後のヴィジュアル系にも多大なる影響を与え、ラルクや清春、Janne Da Arcを始めとして数々のフォロワーを生み出しています。

 2009年に20年の眠りから醒め、再びの復活を果たします。20年ぶりの5thアルバム『METAMORPHOSIS』を発表し、活動も活発化。2015年にはLUNATIC FESTへも参加しました。しかしながら、2020年6月にギタリストのYOU氏が死去したため、事実上の活動休止。

 本記事はオリジナルアルバム6作品について書いています。

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目次

DEAD LINE(1986)

  当時インディーズで1万枚限定で発売され、瞬く間に市場から姿を消した傑作の1stアルバム。長らく廃盤となっており、ずっとオークションで高額取引されていましたが、2009年の復活劇に伴ってリマスター再発されました。なんでも、Xの『VANISHING VISION』に抜かれるまでインディーズ売上の記録を持っていたとか。

 刺々しく荒々しい、凄まじい殺気と緊張感に満ちた作品。耳に刺さるような、胸を突き破る様な激しいサウンドがこの頃の核となっています。若さゆえのギラギラとした感情と猛烈なアグレッションもさることながら、十分なスピード感とメタリックな硬質さが加わる。骨格はもろにHR/HMのそれで、モトリー・クルーっぽい印象もあるし、80’sパンク/ハードコアとも近しい表情を見せたりもします。

 過激な印象を受けますが、緩急はしっかりつけられており、YOU氏のギター・プレイも静と動の押し引きが巧み。攻撃的な部分が際立ってますが、メロディアスな質感も十分に感じさせます。うねるベースラインもこの頃からで、湊氏加入前のドラマーも十分な存在感。それでもMORRIE御大はこの頃からDEAD ENDの核となっています(ただ、数々のインタビューで本作は聴きたくないとよく仰っている)。

 哲学的で美意識のある詩。刺々しいシャウト、ビブラートで人々を魅了。彼等が他のバンドと一線を画す一番の要因はやはりMORRIE氏にあります。破滅の美学、それを体現したかのように現世から黄泉を突っ走る本作はデビュー作にして、DEAD ENDのカリスマ性を決定づけています。本作を最高傑作に挙げる人も多い。

GHOST OF ROMANCE(1987)

  メジャーへ移籍して発売された2ndアルバム。本作からドラムに元SABLE TIGERの湊氏が加入。不動のラインナップが確立されました。本作は前作の荒々しさとHR/HM色を残しつつ、妖艶でカルト的な面が確立されてきたことを伺わせます。

 メジャーから発売ということで、洗練された印象を残します。それでも奇妙な輝きを放ち、闇の濃淡を力強く生彩に描き出している。#1からして魔性の耽美さを感じさせ、ヘヴィメタルを下地にしながらも大きく可能性を広げています。MORRIE氏の異界浪漫譚的な詩が世界を縁取り、タイトさを増したアンサンブルが形どっていく。

 後のヴィジュアル系に通ずる耽美、禍々しさ、闇と光といったキーワードを見事にくみ取った作品です。疾走感や刺々しさは減退していますが、4人それぞれが激しくぶつかりあっていたものから、もっと一体感あるグルーヴを生み出そうという姿勢を感じます。

 湊氏のドラムがタイトな質感を与えていて、バンド・サウンドに一層の引き締まりをもたらしており、#5のうねるベースラインと特徴的なドラミングは特に印象的です。

 YOU氏のギターが稲光のように一閃する#3、#8も非常にかっこいい。また、本作で顕著になったの脳みそをかき乱すような中毒性がたまらない。なお、本作はあのメタルブレイド・レコーズから全米リリースもされていたりします

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SHAMBARA(1988)

  プロデューサーに岡野ハジメ氏を初めて迎えて制作された3rdアルバム。前作『GHOST OF ROMANCE』で高まったミステリアスなダーク性、妖艶でカルト的な世界観は一層の深まりを見せる。同時に、本作において特徴的になったのはそのしなやかさや麗しさ。加えて中毒性も。美しい狂気、それを全編にわたって感じる内容です。

 エッジの立ったギターやタイトで重心の低いボトムは健在だし、MORRIE氏のカリスマ的ヴォーカルは言わずもがな個性の塊。彼等らしい卓越した演奏技術と比類なきセンスで唯一無二といえる存在感を示します。軸足をHR/HMに置いていますが、ミステリアスかつメロディアスな性質を増したことで世界観は妖しく拡がっています。

 東洋的な旋律が瞬いたり、壮大なバラードナンバーを入れたり、一部ではプログレ~フュージョンの要素を感じさせたりと引き出しの多さはさすが。幻想的かつおどろおどろしい異界をいとも生彩かつ大胆に汲みあげています。猟奇性、きな臭さはあるけけれど、耽美な精神を重んじる。そ本作はヘヴィメタルのカテゴリーを超え、歌がキャッチーさを増したことからもヴィジュアル系の雛形というイメージもつく。

 #1「Embryo Burning」のイントロから度肝を抜かれることは確かで、様々な音色が果てぬ闇から妖しく響く全10曲が形どる世界は余りにも濃密。1stアルバムと並んで最高傑作に挙げる人が多い作品でもあるし、彼等の濃厚さが一時のピークに達したともいえます。

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ZERO(1989)

  約1年ぶりとなる4thアルバム。前作に引き続いて岡野ハジメ氏がプロデュースを務めたこの作品は、これまでとは様変わりするような内容になっています。本質は揺らいでないのかもしれないけれど、当時”これはメタルなのか?”と議論の的となった異色作。

 随分と風通しが良いものになっており、妖艶や闇という彼等のキーワードを自ら脱ぎ捨て、解放と自由を謳歌。”HR/HMの領域からビートロックへ、ダークからメロディアスへ、激しいから聴かせるへ”と大胆な転換を遂げています。アルペジオを多用してこれまでにない透明感ある音色を奏でるギター、じっくりとうねりを醸成するリズム隊、ストレートな表現で勝負しているMORRIE氏のヴォーカル。どれもが重たい鎧を脱いだような感じ

 退廃的な闇を表現してきた彼等だからできる、透き通った光の世界観と艶やかなロマンを地で鳴らしています。上品にアップデートされたことにより、生と陽の躍動感がなんとも不思議な引力につながっていて、間口は拡がっています。例えるなら90年代末期のラルクような感じでしょうか。流麗でメロディアスな本作は後世に与えた影響は大きいはず。

 空を優雅に飛翔する伸びやかなギターとまっすぐな歌声が印象的な#1、彼等らしい妖艶なイメージを残しつつもそれを陽のフィールドで活かすことに成功した#2、限りなく純化されたバラード・ナンバー#4などを収録。自らの世界をより自由に開放的に広げた意欲作です。バンドの代表曲#10「Serafine」は後世に語り継ぐべき名曲で、SUGIZO氏も永遠のフェイバリット・ソングというほど

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METAMORPHOSIS(2009)

 ジャパメタにもヴィジュアル系にも多大なる影響を与えた大御所は黄泉の国より再覚醒。20年の眠りから目覚めた奇跡の復活となる5thアルバム。JACK IN THE BOXでも披露された#2を含む全10曲から姿を成すこの新作は、ブレることない強烈な個性と新境地が同居するDEAD ENDにしかできない作品となっています。

 アルバムごとに表情が異なる事でも知られる彼等ですが、本作においては現代シーンと共振するようにヘヴィ&ダークに武装。それが元々の妖しく奇妙な世界観と有機的に交錯し、さらなる魅力の増幅へとつなげています。悪魔が微笑む衝撃性、どこか屈折したダークさを伴ったメロディ、耽美かつ妖艶たる絶対的世界。ジャパメタ・ヴィジュアル系に多大な影響を及ぼしたそのカリスマ的威光は全く衰え知らずに帰還。

 当時を遥かの凌ぐ濃厚な闇を召喚し、重たい鉈で刻むリフと深みと妖気を増したMORRIE氏のヴォーカルが随所に炸裂。YOU氏の流麗なギターもJOE氏の濃厚なベースライン、湊氏のパワフルなドラムも相変わらずの存在感。独特の緊張感と不穏なムードがひしひしと背中をさすり、毒々しいリリックと重厚でタイトなアンサンブルがバッチリと絡み合って彼等の音楽は、力強く妖しく深化を遂げています。

 #1「摩天楼ゲーム」、#2「Dress Burning」、#4「Devil Sweep」を始めとして佳曲は多数。ラストはMORRIE御大がDEAD ENDで最も思い入れがあるという壮大な#10「冥合」で締めくくる。”殺戮の雪”や”天心散乱”、”皆殺し夢物語”といった言葉もインパクトがあり、アートのような芸術性、ミステリアスな魅力を引き出しながら魍魎たる異界を創作。冥土から持ってきた”METAMORPHOSIS”という兵器、夢は決して終わらない

Dream Demon Analyzer(2012)

    夢の続き。2年半ぶりとなる6thアルバム。ドラムは湊氏ではなく、サポート・ドラマーの山崎慶氏が参加。昨年11~今年1月にかけて発売されたバンド史上初の3ヶ月連続シングル#2『Conception』、#9『Final Feast』、#8『夢鬼歌』で聴かせた方向性どおりに、前作『METAMORPHOSIS』をダークに妖艶にメロディアスに深めてきた作品

 所々では『Shambara』期の感性が輝く瞬間もある。HR/HM要素を軸にしてゴシックかつシアトリカルに染められていく。泣く子も黙るカリスマ性、独創的な詩と音で作り上げるディープな世界観は風格が違います。序曲の#1「水晶獣」から現在のDEAD ENDが凝縮。重厚に轟き、メロディアスに靡く。鋭いギターリフに泣きのソロ、そしてリズム隊による骨太のグルーヴが根底を支えています。

 また、圧倒的な個を体現するMORRIE御大の歌唱は、バンドの核そのもの。魔性の頬笑みのようなミステリアスな感覚・物語性は、彼の魔法によるところが大きい。御年48にしてこの美貌と声、恐れ入ります。讃美歌のような壮大なバラード#10「No Man’s Dream」の懐の深さを感じる彼の歌唱は、あまりにも情感豊か。

 ギターの妖しいメロディに乗せて語りかける様な歌が添えられていく#11「Deep -流星白書-」は、余韻が残る締めくくり。楽曲毎に個性を持たせつつ、全体として大きな流れを作り上げる上手さも流石。その中でも個人的には三部作最後を飾ったシングル#8「夢鬼歌」がベスト。この不思議な毒気と独創性のある世界観にやはり惹かれます。

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DEAD END Tribute -SONG OF LUNATICS-(2013)

 DEAD ENDのメジャー・デビュー25周年を記念してのトリビュート・アルバム。「本当に好きな人だけにトリビュートへの参加をお願いする」というコンセプトが基(こちらのインタビュー参照)。DEAD ENDの遺伝子を受け継いで、大輪の花を咲かせた総勢50人を超える豪華メンバーがここに集結しています。※以下、長くなりすぎるので敬称略で記述。

 本作の特徴はトリビュートでは珍しい形式で、個人単位の招集によってオールスター・バンドを形成していること。出足の#1「Embryo Burning」からHYDE、HIRO(La’cryma Christi)、岡野ハジメ、Shinya(DIR EN GREY)という布陣に驚かされます。その後も夢のような組み合わせが、9曲・9バンド実現(cali≠gari、Borisはバンド単位の参加。清春のみ単独で1曲を担当)。

 選曲は、『Dream Demon Analyzer』を除く5枚の作品からバランスよく行われた全12曲。基本的に演奏に関しては、プレイヤーの個性が出ている部分もあるによせ、個人参加という形式を取ったためにオリジナルに忠実。その分、ヴォーカリスト達が自らのカラーへと染めていく形です。

 MORRIEが憑依したような完コピぶりのHYDEの#1「Embryo Burning」、問答無用のRYUICHI節が貫かれる#2「I Can Hear The Rain」、清春らしい妖艶さや陰りが伝わってくる#3「The Godsend」、この序盤の3曲の流れだけでも満足度は高い。

 意表を突かれたのが、ALI PROJECTの宝野アリカが歌う#5「Serafine」 。唯一の女性ヴォーカリストとなり、楽曲の持つ耽美さや幻想性が丁寧な演奏陣(SUGIZO、TOKIE、ササブチヒロシ)と共に引き出されています。また、GASTUNKのBAKIが参加し、異色なまでのパワフルさを感じさせる#9「Perfume Of Violence」もインパクト強し。各ヴォーカリストが自らにあった曲を選んでいるのも重要なポイント。

 cali≠gariらしいNW色を強めて再構築された#10「Blind Boy Project」、しんみりとした哀愁や美しい轟音を織り交ぜながらドラマティックに駆けあがっていくBorisの#12「冥合」とバンド単位での参加となった2組の楽曲は、特に素晴らしいです。この2組に関しては本作品の発売前のDEAD END主催『四鬼夜行 -五喰-』において、印象的なパフォーマンスをしているので全く心配はいらなかったが、こうしてパッケージされたものを聴くと期待以上の仕上がりといえる。また、錚々たるメンツが揃う中で、Borisが最後を飾っている点も感慨深い。

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