大河のように雄大な音の芸術 world’s end girlfriend『LAST WALTZ』

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LAST WALYZ(2016)

 約6年ぶりとなる2016年11月リリースの6thフルアルバム。テーマは自身の名でもある「world’s end girlfriend」で、これまでで最もパーソナルな哲学と領域に深く踏み込んだ作品となっているそう。

 確かに電子音と生演奏が摩擦を起こしたり、溶け合ったりして構成されるダイナミックな音像は彼らしい。曲によってはPianaさんや湯川潮音さんが歌声を添え、downyの青木裕氏やabout TessのTakuto氏によるギターが交錯する分、余計にね。

 以前のwegの作品にしても、万物の根源に問いかけてくるような表現で彩られ、その美しさに魅了されてきました。ただ、本作は今まで以上にずっと重い。3.11はもちろんのこと、この6年間には日本だけでなく世界中で様々な出来事があり、多くの悲しみが連結していきました。

 その影響があるのか、本作品は全体から得も言われぬ悲壮感が漂っています。個別で1番にそれを思わせるのが#4「Flowers of Romance」という14分に迫る大曲。歪な電子音とストリングスを交えながら翻弄するように展開を練り上げています。感情を揺さぶる怒涛のスペクタクル、音楽はここまで圧倒的な力を持つことができるのかと思わされるほどです

 重量級のサウンドが残酷に響く#1「LAST WALTZ」、湯川潮音さんの声を楽器のように用いつつ狂気と美が入り混じった#2「Plein Soleil」といった曲においても、心の内を深く鋭くエグってきます。様子見のジャブなんて打たない。全てが核心を突く曲であり、生半可な気持ちでは受け止めきれないほどに重みがある。

 Pianaさんの歌声に赦された気分になる#7「In Silence / In Siren」、祝福のメロディが舞い降りる#9「Girl」と後半には慈しむ曲が登場しますが、張り詰めた空気がゆるむようなことはありません。ラストの#10「Last Blink」に至るまで、試練を課すかのように肉体と精神に迫る音が響いているのです。

 全10曲約70分の本作からは、甘いファンタジーよりも重いリアルを描いた印象が強い。人間の悲喜こもごもよりも、ロマンチックな希望よりも、現実にある生と死が身近に感じられるのです。自身でwegの音楽には特定のメッセージはないと言います。

 ですが、万物の美しさや生命力を容赦のない表現で持って肯定する。そんな大河のように雄大な音の芸術。彼のカタログの中で最も精神的に響く作品でした。

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