全てを焼き払うかのような業火のサウンドでシーンに火をつけたドイツのネオクラストの急先鋒、Alpinist。
2007~2012年の活動で2枚のアルバムとMasakariとのスプリットを残し、通算ライヴ数は約230本。惜しくも活動休止となったが、彼等がネオクラスト・シーンに残した物はとても大きい。
本記事は編集盤『Lichtlaerm / Minus.Mensch』について書いています。
アルバム紹介
Lichtlaerm / Minus.Mensch(2011)
2009年に発表した1stアルバム『Lichtlaerm』、2010年に発表の2ndアルバム『Minus.Mensch』を完全コンパイルした編集盤。Southern Lordから2000枚限定でリリースされました。
全てを焼き払うかのような業火のサウンド、息もつかせぬ怒涛の展開、混沌の向こう側に潜む美しさ。これがネオクラスト・シーンに大火を灯したバンドの実力。
His Hero Is Gone~Tradegyなどの先人達の影響を感じますが、Alpinistは喜怒哀楽を燃料に変え、さらに破壊力を研ぎ澄ませています。
マスコアのごとき変則的なギア・チャンジを用い、一気呵成の畳みかけからドゥーミーな遅攻でじわじわと痛めつけるような展開もある。
1st(#1~#10)と2nd(#11~#21)で大きな違いはありません。2ndの方がより緩急の落差が付いたことで、烈火の如き攻撃性がさらに際立ったように思います。自国の社会的・政治的メッセージを乗せたという歌詞も彼等の評価を押し上げる要因になっており、人の心や魂を突き動かす並々ならぬ気迫と初期衝動にやられる。
2011年にはアメリカ・クリーブランドのネオクラスト・バンド、Masakariとの悶絶もののスプリットをリリースしましたが、Alpinistは2012年に活動休止を発表。