尾張激情戦線 Heliostrope ‐ インタビュー

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 昨年11月に見に行った 『共瞑 Vol.2』というイベントに出演してるライヴを見て驚かされたのが、今回取り上げる「Heliostrope」というバンドである。その時は1番手で出演していたのだが、名古屋でほぼ未確認ジャンル指定であった激情系ポストハードコアをぶちかましていて、僕はかなり新鮮な衝撃を受けた。そんな彼等は2013年4月の結成からゆっくりと活動を続けていて、様々なバンドとの共演を経ながら、少しずつシーンにその名を浸透させている。そして、年明け早々には遂に初音源となる6曲入りの1st EP『Configuration EP』をリリース。5月には本作のリリースに伴った自主企画を予定しており、飛躍を予感させる。

 このタイミングに合わせて、是非ともお話を聞いてみたいとメール・インタビューを敢行。バンドの結成メンバーで中心的支柱を担う2人、宮下大輝(Key,Vo)と山口脩平(Gt,Vo)にお話を伺うことができた。結成からこれまで、また1st EPについてをじっくりと語っていただいたことで、「Heliostrope入門書」として機能する内容となったと思う。弊サイトの主な取扱ジャンルとリンクするバンドであるし、親しくさせていただいているTokyo Jupiter Recordsさんのリスナーにも訴えかけるものがあるはず。是非ともご閲覧いただければ幸いである。


Heliostrope – interview

―― まずはHeliostropeの結成のいきさつを教えて下さい。

山口:僕と宮下、西部(Gt)は大学時代の同級生で、卒業後も休日によくお酒を飲んだり、ライブに行ったりと交友関係を続けていました。また、学生時代に音楽サークルをやっていたこともあり、その延長で遊びの感じでスタジオに入ることになったのがきっかけですね。

― ポストハードコア or 激情系ハードコアと呼ばれる音楽性ですが、なぜこういったスタイルになったのでしょうか?

山口:自分の言葉(歌詞)が音に乗るにあたって、一番最適なものを考えた結果、このようなスタイルになりました。根底にはコピー&ペーストのような消化されるだけの音楽ではなく、聴く方々の中に長く残るものを作りたいという意識を常に持っています。

― 名古屋ではこういったタイプのバンドってほぼいないですよね。去年の11月に初めてライヴ(11/8 共瞑 vol.2)を見た時は本当に驚きました。

山口:ライブ活動を始めて1年半ほどですが、まだ名古屋で同じタイプのバンドに出会ったことは無いですね(笑)。逆にいろいろなシーンのライブに呼んで頂けることはとても刺激になります。

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―― 昨年のライヴで拝見した時は、envyやheaven in her arms等に近いバンドだなと単純に感じました。いわゆる”激情系”と表現される日本のハードコアのトップの存在ですが、そういった先人達の影響は大きいのでしょうか?

山口:そうですね。影響が無いと言えば嘘になりますね(笑)。envy、heaven in her armsは特に国内シーンを代表するバンドということもあり、影響を強く受けています。個人的な話ですが、2011年から2012年の間は精神的に辛い時期があり、その中でよく聴いていたのがこの2バンドでした。解釈は人それぞれですが、そのおかげで僕は自分の周りの物事を肯定的に捉えることができたのだと思います。ですので、両者は音楽性・スタンスともに間違いなく最もリスペクトする存在ですね。

― メンバーのみなさんはどういった音楽に強く影響を受けましたか?

山口:僕自身は先の2バンドのほかにDeftones、ISIS(the band)、NEUROSISなどのポストメタル、Glassjaw、Thursdayなどのポストハードコア。国内ですと、くるり、The Back Hornなどが好きですね。最近はTokyo Jupiter Records関連のバンドや、対バンしたバンドの音源をよく聴いています。

宮下:僕はDream Theaterなどのプログレッシブ・メタルがきっかけでキーボードを始めました。なので、音色はストリングスの多幸感など、多少なりともHeliostropeでも影響していると思います。他にはDeftonesやPleymoなども好きで良く聴いています。他メンバーも元々好きな音楽は何かしら共通する部分がありますね。

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―― ここからは、1st EP「Configuration EP」について伺います。まずは実際にEPという形で世に送り出すということについての手応えをお聞きしたいです。

山口:今回のリリース後、本件のインタビューのお話を頂けたことを始め、これまであまり関わることのなかった地域のバンドや関係者の方から反応を頂けたことに純粋に喜びを感じています。また、これまでの活動の中で出会い、支えて頂いた方へもようやくしっかりとした形で音源をお届けできたことで、少しでも感謝の気持ちを伝えることができたかと思います。

― 名刺代わりという表現が当てはまる、Heliostropeの音楽性がしっかりとパッケージされていると感じます。作品としては、どういった点にこだわって制作しましたか?

山口:全6曲を1曲として感じて頂けることを念頭に、選曲や曲順を考えました。僕個人としては、映画を見終えた後、小説を読み終えた後の「無心から我に返る感覚」をこの作品で感じて頂ければと考えていましたね。

― いずれも長い時間をかけて壮大な物語を奏でていく楽曲が中心となっています。そのストーリーを表現する上で、サウンド面ではどういった意識を持っていますか?

山口:曲の中の静と動、明と暗を意識しています。僕らは基本的にオーディエンスが歌を口ずさむこともなければ、モッシュやダイブが起こることもありません(笑)。ですので、いかに「オーディエンスの意識をステージに引き付けることができるか」というところを常に強く意識しています。僕個人ではサウンド面ではへヴィなフレーズよりも「星を詠む人」や「Struggle a Flow of Red River」のようなクリーンのフレーズが好きですね。

宮下:キーボードに関しては、 山口の曲のイメージを解釈して擦り合わせた上で、 音に彩りや広がりを与えるよう意識してフレーズを作っています。また、曲全体での音の数の足し算、引き算を常に考えて曲のパンチラインが明確になるよう調整しています。そして、何よりHeliostropeは、このパートのこのフレーズが際立っているというより「Heliostrope そのもの」を聴いてもらうバンドであると僕自身認識しています。

― 全6曲で約30分(インスト2曲を含む)という構成についてはいかがでしょうか。

山口:ちょうど良いボリュームに収まったのではないかと思います。どうしても1曲が長尺になりがちなのですが、この曲数と時間であれば、最初から最後まで流して聴いてもらってもあまりダレることなく聴いて頂けるのではないでしょうか。

―― 1曲目の『星を詠む人』がyoutubeでフル試聴可となっていますが、こちらをリード曲に選んだ理由をお聞かせ下さい。

山口:「星を詠む人」はこのEPを作成する話が出た後に書いた曲です。作品タイトルである“Configuration:輪郭”というタイトル、コンセプトは当初から決まっていましたので、そのコンセプトを象徴する形でこの曲をリードトラックとして書き下ろしました。

― クレジットは宮下さん作曲の3曲目「翠玉」を除いて、作詞/作曲:山口さん、編曲はHeliostropeで統一されています。曲の制作は、山口さんが原曲を持ち込み、そこからバンドで仕上げるという形を取られているのでしょうか?

山口:そうですね。基本的にギターフレーズ、ベースラインを僕が持ってきてそこに宮下のキーボード、ドラムがフレーズを重ねていく形です。しかし、最近の作曲はスタジオのセッションで重ねていく形にシフトしており、次回の作品からはそういった作曲方法がメインになっていくと思います。

― 山口さんが全ての曲の歌詞(今回のEPはインストを除くと4曲)を担当されていますが、ほぼ日本語詩で書かれています。こだわりは強いですか?

山口:英語は読めませんし、書けませんからね(笑)。日本語詞は訳す手間がない分、純粋に伝わりやすいと思います。あとは言葉の選択の多さと、響きの美しさが理由です。

― それぞれの楽曲ごとに詩のテーマは設けているのでしょうか?

山口:当然、アプローチは曲ごとに異なりますが、歌詞については一貫してポジティブなメッセージを込めています。普段の生活の中では、物事が思い通りに行くことは少なく、大抵のことには困難がついてくると思います。そういった状況と向き合い、理解し、乗り越える、ということを僕自身の経験に基づいて書き下ろしています。実際の言葉の選択は、演奏に最も馴染み美しく響く言葉をイメージして選んでいます。

―― ちなみに本作で一番古い曲ってのは、audioleafで以前から試聴できた6曲目「The Bottom of White Sphere」になるのでしょうか?

宮下:当初に#2「Heart Auscultation」、#5「Sloughs Lost into Shower of White」、#6「The Bottom of White Sphere」が全て同時進行で作られていて、この3曲は一番古い曲です。5~6曲目は2曲で一つというイメージで作り上げられていて、これは現在のライヴでのセットリスト構成の基になっています。

― アートワークは愛知県在住のデザイナーであるコルカロリさんが担当されています。彼女のことは、溶けない名前(名古屋を拠点に活動する歌謡シューゲイザー・バンド)が昨年にspazio ritaで行った自主企画の時に、ライヴペイントで参加していたのを僕は覚えているのですが、彼女を起用したのはなぜでしょうか?

山口:東京のkanina(絵本を演奏するというコンセプトを基に、映像とサウンドを通して美しい空間を作るポストロック・ユニット)が2013年12月の名古屋でのレコ発イベントを行った際に、コルカロリさんが担当されたフライヤーがとても美しく、印象的でした。ですので、当初から正式な作品を作る際には、アートワークの作成をお願いしたいと思い、依頼させていただきました。

― 歌詞カードのクレジット下部のThanks forに記述されている 「私達の音楽が、あなたの背中を押す力になることを祈ります。」という言葉が印象的ですね。この言葉の実現が、Heliostropeの一番の明確なコンセプトであり、メッセージなのでしょうか?

山口:僕自身これまで何度も音楽に救われてきましたし、音楽にはそういった力があると信じています。僕らの作品が手に取って頂けた方の力になるのであれば、それ以上にうれしいことは無いですね。

―― 最後に今後の予定や目標があれば教えて下さい。

宮下:5月に本作品のリリースに伴った自主企画を行います。今後は名古屋以外の様々な場所にも足を運ぶつもりです。より多くの方に僕らの音楽に触れて頂ければと思います。


Heliostrope – Disc Guide

 

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Configuration EP (2015/01/17)

名古屋発のポストハードコア・バンドの初流通音源となる6曲入りEP。envyやheaven in her armsの影響下にある激と美で綴る壮大な楽曲を揃え、いずれも困難に向き合うポジティヴなメッセージを込めて、聴き手を後押しする。音楽の力を信じるという彼等の真摯な表現がもたらす光と希望。リードトラックとなった#1「星を詠む人」は、まさしくHeliostropeを象徴する曲だ。


Heliostrope – Live Information

◆2015/3/01(日) TBA
◆2015/3/22(日) 鶴舞DAY TRIP
◆2015/3/29(日) TBA
◆2015/5/02(土) Configuration EP レコ発自主企画


Heliostrope – Links

 

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  twitter    : http://twitter.com/Heliostrope_phc
  audioleaf  : http://www.audioleaf.com/heliostrope/

 

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