【アルバム紹介】BleakHeart『Silver Pulse』

 アメリカ・コロラド州デンバーの5人組。メランコリックなゴシックドゥームを主体に、2人のヴォーカリストと弦楽四重奏をフィーチャしながら虚ろな感情に光を灯すような美しい貢献を果たす。

 本記事は2ndアルバム『Silver Pulse』について書いています。

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アルバム紹介

Silver Pulse(2024)

 2ndアルバム。全6曲約36分収録。1stアルバムからの変化としては、ヴォーカル兼キーボードを担当するKiki GaNunが加わった5人体制となったこと。

 音楽的にはドゥームを拠り所にしてポストロック、シューゲイザー、ゴシックといった要素が混成したもの。スロウペースを堅実に守り、シンセサイザーやキーボードが70年代と未来を行ったり来たりする感覚をもたらし、時おりドゥームに端を発した分厚い質感が溢れ出す。

 またヴァイオリン、チェロ、ヴィオラを含む弦楽四重奏がゲスト参加。上品でメランコリックな色調を拡げることで映画にも通ずる詩的さ、暗闇に入り浸るような哀しみを作品に与えています。

 作詞やコンセプト等の中核を担うのが2人の女性ヴォーカリストであり、#2「Sinking Sea」のような透明感と甘さを持つ歌声から#5「Weeping Willow」後半の力強い絶唱まで披露。その詞や声をもってして”病気や喪失感、未知の世界を前にして感じる痛みを表現していると同時に、その力に身を委ねることも表現している“という作品のテーマを支えます。

 実際にMVが公開されている#5「Weeping Willow」は”自殺で誰かを失ったときの後悔、それを防ぐことができたらよかったのに”という想いを反映している。

 本作はドゥーム”メタル”ではなく、”ゴシック”ドゥーム的な要素が明らかに優勢ではありますが、Bandcampのタグを見てみるとdoomgaze、dreamgaze、gothgaze、shoegazeと並々ならぬgaze信仰も気になるところ。そのゲイズ的な空間性への意識はあるにせよ、ポストロックや古めかしいプログレが持つ叙情性や間の方を重視しているように感じられます。

 ヘヴィネスをデリケートなタッチで希釈することで、ソフトな聴き心地と幽玄的な雰囲気を作り上げている。子守歌のような穏やかさから荘厳なクライマックスを迎える終曲#6「Falling Softly」に至るまで、BleakHeartはこの36分を通じて虚ろな感情に光を灯すような美しい貢献を果たしています。

メインアーティスト:BleakHeart
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MUSIC VIDEO

BleakHeart “Weeping Willow” OFFICIAL VIDEO
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