Deafheaven ‐‐Review‐‐

アメリカ・サンフランシスコで結成されたポストハードコア/ポストブラックメタル・バンド。2010年の結成からわずか1年足らずでDeathwishとの契約を交わすと、同年発表の1stアルバム『Roads To Judah』を発売。ハードコア、ブラックメタルをベースにシューゲイザーをも巻き込んだサウンドは、近年のポスト・ブラックメタル界隈の盛り上がりと呼応するように世界中で評価され、一躍話題になる。そして、ここ日本へもGodfleshやSUNN O)))をヘッドライナーに迎えて開催された「leave them all behind 2012」にて初来日公演を果たした。2013年には待望の2ndアルバム『Sunbather』を発表。Pitchforkにて8.9の高評価を獲得したことをきっかけに、世界中でさらなる飛躍が期待される。

レビュー作品

> New Bermuda > Sunbather > Roads to Judah


deafheaven2015

New Bermuda(2015)

 全世界で旋風を巻き起こした『Sunbather』より2年ぶりとなる3rdアルバム。お洒落ぶったピンクのジャケの前作が売れちゃったからか、Wilco等の在籍するAnti Recordsへと移籍したようですが、作品はデフヘヴンらしさで貫かれています。丸くなってないし、尖ってるし。

 無駄なインタールードは挟まずに、収録された5曲全てが8分超え。前作ではポストロック/シューゲイザー要素の比重を高めることで、美しく眩惑的なサウンド・テクスチャーの構築に成功。十分な攻撃性能を発揮しつつ、ドリーミーな心地よさとドラマティックな盛り上がりに長けた逸品でありました。本作に置いて言えば原点への揺り戻しなのか。ポストハードコアやブラックメタルといった鋭利でアグレッシヴなサウンドを強化し、かと思えばシューゲイザーしてないわけでもなく、1st-2ndの中間地点のようなバランスの取れた作風という印象がある。それが美醜の極端な対比に繋がっているかな。リフを押し出しているし、以前よりもダークになっているしでジョージ氏の刹那感のあるシャウトもますますキレています。

 アグレッシヴに畳み掛けながらもクリーントーンの美しさが際立つ#1「Brought to the Water」を皮切りに、”最高のデフヘヴンをあなたに”お送りする全5曲。違う明日を見つめていたわけではない叙情性の強し#3「BABY BLUE」、天国と地獄を見境なく行き交うめくるめく展開に痺れる#4「Come Back」などやはり強烈な楽曲が揃う。有無を言わせない一流の味。各方面からはなにかとやっかみをうける彼等だけど、時代を読みながら硬派に自分たちを表現し続けているバンドなんだと改めて思う。

 Pitchforkで9.0を獲得してのBest New Musicに選ばれたのを始め、本作も音楽サイトではやはり軒並み高評価が連なるが、それだけの説得力を持った作品には違いない。


 

Sunbather

Sunbather(2013)

 1stアルバム『Roads To Judah』で話題を集め、昨年にはleave them all behindで初来日を果たし、翌々日の名古屋公演では観客20人強というスカスカのフロアを見事なパフォーマンスで熱くしたデフヘヴンの2年ぶりとなる2作目。

 既に所属のDeathwishの看板バンドのひとつとなった感のある彼等だが、Pitchforkを始めとした海外メディアで高く評価されるのも頷ける、キャリアでもターニング・ポイントとなる作品を2作目で早くも送り出してきた。焦燥感を煽り立てる激速とトレモロ、Vo.ジョージの切迫とした叫喚等のブラックメタルをベースとしたサウンドの中核は健在。それに激情系ハードコアが持つ胸を掻き毟る様な感情の迸りがあり、蒼い初期衝動が走り、ポストロック/シューゲイザーを巻き込んだ繊細で甘美なメロディまでもが響きわたる。

 音の強度・疾走感を保ちながらもモグワイ系の轟音系ポストロックへと雪崩込む#1「Dream House」を皮切りに、ハードコア~メタルから現代のインディ・シーンまでもを俯瞰した上で、わかりやすくトレンドを抑えたモダンな音響構築でまとめられている。フックの効いた展開、静と動による見事な塗り分けによるロマンチシズムはさも当然と言わんばかりのレベルであり、近年のenvyばりの激情系ハードコアと怒涛のブラスト・ビート~疾走の応酬が壮絶な表題曲#3「Sunbather」にもまた圧倒されてしまう。自らの音楽に十分に磨きをかけ、より大きくスケール・アップしたことが伺える。

 その上で本作で飛躍的に向上したのは、Wolves In The Throne Roomと比肩するぐらいの全体を通しての構築美だろうか。7曲中10分弱/超の曲が4曲あるのは1stもそうであるが、インタールード的な#2, #4, #6といった楽曲がもたらす安らぎや緊張感、荘厳さがまた見事。なかでも作家ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』をAlcestのネージュが朗読する#4「Please Remember」は、アコースティックからインダストリアル・ノイズまでの振り幅で驚きを与えてくれる(この小説は、ジョージの敬愛する小説のひとつだとか)。作品にはまるで抜け目が無く、攻撃性と叙情性のバランスも不思議と感じるぐらいに良い。

 その後に続く14分半の大曲「Vertigo」もまた非常に印象的な楽曲で、カミソリのような切れ味と哀愁の旋律が交錯し、ドラマティックに展開していく。またラストの#7「The Pecan Tree」では本作でも最も苛烈なブラックメタルを轟かせる前半を経て、後半ではExplosions In The Skyのような多幸感と美しさを持って全7曲約60分を壮麗に締めくくる。確実な成長と深化を示す作品であり、AlcestやLiturgy、Krallice等が示したポスト・ブラックメタルを代表する一枚としてこれからも評価されていきそうだ。

 また、Daymareから発売された国内盤にはBosse-De-NageとのスプリットLPに収録された、モグワイのカバー「Punk Rock / Cody」を収録。来日公演でも最後に演奏されたこの楽曲では、モグワイに倣った美しい轟音と悲痛な絶叫から残り1分になろうかというところで、ブラスト~疾走で駆けあがる爆発的なクライマックスが素晴らしい。

 


 

ROADS TO JUDAH +bonus tracks (ローズ・トゥ・ユダ +ボーナス・トラック)

Roads to Judah(2011)

   あのDeathwishが送り出したサンフランシスコ出身バンドの1stフルアルバム。巷で言われてるようにこれが、激情ハードコア、ポスト・ブラックメタルが手を繋いで立ち向かう胸を掻き毟る一枚に仕上がっている全4曲約38分。

 冒頭の#1「Violet」からポストロック好きに捧げるような美しい拡がりを見せるインストが・・・と思ったら4分を過ぎた辺りでドラムを合図に急加速して、一気に世界が反転。トレモロ&ブラストビート&痛々しい絶叫が虚空を勢いよく切り裂いていく。その恐ろしく猛烈な勢いと感情の奔流に身も心もあっという間にズタズタにされている。シューゲイジング・ブラックメタルを手本にした空間意匠と神秘性、またそこにWolves In The Throne Room的な突進力が加わり、激性と叙情の深遠なる調和が10分近い楽曲の中でドラマティックに繰り返される。さらにはheaven in her armsやCeleste辺りを思わせる激情・悲哀・ドラマティックさが交錯。Deathwishが惹かれたであろうハードコアの強さやエモーショナルが所々で感じられる。

 それに加速・減速の極端な緩急の妙がまた昂揚と緊迫感を上手く高めているし、アトモスフェリックなパートも挟んだ叙情美の練り上げ方といい、この手のファンに訴えかけるポイントは多いように思う。特に#4はこのバンドの全部発揮されたかのような楽曲で、10分近い時間の中で凄まじい起伏と緩急が激ドラマティックな展開を演出して、聴き手を圧倒する。各地で話題になっている事も納得の強烈な作品だ。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!

スポンサーリンク


▼ フォローする