DOIMOI ‐‐Review‐‐

2007年のフジロック・ルーキーステージに無所属で出場したことでも話題となった、名古屋のエモーティブ・ナード・メタル・バンド4人組。31KNOTSやMARITIMEなどの海外勢とも共演を果たし、日本の各ミュージシャンの間でも強く支持されている。

レビュー作品

> Materials Science > Dialectic And Apocalypse > The More You Tangle,The More We Heavy Metal


Materials Science

Materials Science(2012)

   スペースシャワーミュージックより発売された約2年半ぶりとなる3rdアルバム。HR/HM~グランジ、ストーナー・ロックにオルタナやエモまでを飲み込んで鍛え上げた強靭なサウンド、胸の内側にじわっと広がる伸びやかな感情的な歌が理想的な邂逅を果たす“DOIMOI流サウンド”。それは様々な人がニヤっとするような瞬間をこれまで生み出してきたと思うが、この作品では彼等なりにひとつの到達点にきたのではないかと感じるほどの好内容となっている。

 鼓膜にずしりと効く重みと破壊力を持つギター・リフ、変拍子を交えた精微なリズムによる練りに練った展開を繰り広げる本作も実に彼等らしい濃い密度。メタラーが喜ぶようなフレーズをぶっこんだり、トリッキーな揺さぶりをかけたり、#6「バベルの祈り」では大胆なデス声を轟かせたりと色々と仕込みを入れつつ、隙のない構成が光る。そのうえでとても真っ直ぐな印象を受けるのは、情緒豊かな歌や美しいメロディが核となっているからだろう。それは迸る情熱とともに1stや2ndの頃よりも存在感を増している。ドゥーミーな序盤から哀愁の旋律が滲む#1「帆影」から、続くリード曲#2「円群」では彼等らしい重さと切なさを共立させたサウンドの中で、蒼く熱い歌が何よりも魅力的に響く。#8「オープンリール」や#9「舞踏室」といった曲でもその傾向は顕著。メンバーが年齢を重ねてきた分の渋みも作品に滲んでいるのかなと個人的には感じたり。

 また1st、2ndから2曲再録されているのも特徴といえるだろう。1stアルバムからは「キレイな女には振り返る事を誓うよ」が#4「誓い」としてかなりメタリックに再録されている。Helmetばりの鋭くヘヴィなリフとエモーショナルな歌を軸にして熱を帯びていくリメイク版は、驚きも大きいのだがとんでもないかっこよさで痺れます。前Versionの面影を少しだけ感じさせるところも良くて、個人的には本作で一番ガツンときた曲である。また2ndアルバムから#7「オリンピック」も再録されており、ゴリゴリの重低音の中でサビを中心にいい意味での抜けの良さを感じさせるあたりは流石だ。全体を通してもヘヴィかつ変則的であるにも関わらず、巧みに配されたキャッチーさがツボ。嵐吹き荒れるラストの#11「遺跡」に至るまでインパクトはとてつもなく大きい。数多の人が納得するであろう傑作である。

 なお、Gtの杉山さん(SCSIDNIKUFESINでお馴染み)による“Materials Science 全曲セルフ解説”が公開されているので、必読。また、特設サイトにてアルバム全曲試聴(一部の曲はフル試聴可)を行っているので、気になった方はまずこちらをチェックして欲しい。


Dialectic And Apocalypse

Dialectic And Apocalypse(2009)

   名古屋で地道な活動を続けるヘヴィ・オルタナロック4人組DOIMOIの3年半ぶりとなる2ndアルバム。某レビューサイトのマスターとしても有名な方がギターとして所属しているバンドである。

 本作で初聴だが、内臓にガシガシと響く重量感が渦巻く中でも、ストレートな熱情が伝わってくる好盤だと思う。特徴としては、ラウド・ヘヴィネスの化身ともいえるぐらいの重くメタリックなリフと、変拍子を激しく使った複雑なリズムによる極太のサウンドを基調としている。グランジ・オルタナ寄りのダウナーな黒い重低音に、いかにもなメタル因子も所々で散りばめられており、圧迫感と破壊力は脳髄にまで強烈に響く。

 ただ、相反するように風通しの良いしなやかなメロディが曲に温かみを、日本詩をエモく歌い上げるヴォーカルが暑苦しい熱情をもたらしており、それが意外なぐらいにストレートに胸に突き刺さってくるのが鮮烈に印象に残る。熱い疾走曲からポストロック風の美麗なフレーズ、低血圧に捻くれたうねりを見せる曲まで多彩なパーツも魅力的で、懐の深さを示しつつ、聴きやすさもしっかりと完備しているのは素直に凄い。曲からもメタル的なダサさは無く、エモい暑苦しさの方が目立っちゃっている所や和の風情が生きているのも実によくて、一時期のlostageを思わせるぐらいの和洋折衷な感覚が非常に好印象。ゴリゴリの重低音にやるせない感情や蒼いメロディが乗る#1「オリンピック」は本作でも随一のかっこよさを誇っている。

 10曲30分弱で1600円というコストパフォーマンスに優れまくっているところもオススメしたい要因の一つで、コンパクトな設計ながら演奏時間の2倍以上の濃度・密度を感じさせる。ヘヴィメタルからグランジ・オルタナを主成分とし、エモ・ポストロックにそのほか周辺ジャンルまで咀嚼し血肉としている強靭な1枚であり、堂々とした風格と力強い主張が音から伝わってくるのも凄く良い。


themore

The More You Tangle,The More We Heavy Metal(2006)

   この翌年にフジロックの”Rookie a Go-Go”に出演という快挙を果たす、名古屋のオルタナ・ロック4人組の1stアルバム。個人的に聴いてる順番は2nd→1stという形なんだけれども、この頃からバンドに一本芯が通っているなあと感心する内容です。

 スタートの#1「郷愁YEAH」から他のバンドとは一線を画す強さを感じ、鋭角的で骨太のリフがぶったぎり、エモーショナルな叫びが魂にぶつかってくる。ヘヴィメタル、オルタナ、グランジ、ストーナー・ロックなどなどを絶妙に配分して構築したサウンドにガツンとやられることだろう。鍛え抜かれたアンサンブルが生む重厚さと爆発力。そこにブッチャーズやイースタン・ユース辺りも思い浮かべてしまうような感情のこもった歌(日本詩というのも特徴)が重なり、どんどんと心の内側から体温をあげていく。例えるなら、軽快なフットワークから鋭いジャブ、体重の乗ったストレートを次々と繰り出してくるかのよう。さらに一筋縄ではいかない複雑な展開をどの曲も持っているのだが、それを力強くしなやかな進行で真っ直ぐに響かせる技量もあり。メタル、グランジ方面からインディ、ポストロック方面に繊細に舵切れる巧さには唸る。ところどころで思いっきりマニアックな嗜好を発揮してる中で、ここまで曲として昇華している点は素直にすごいと思います。

 入り組んだ展開の中で歌と演奏の絶妙なコンビネーションが急所を何度も鋭くつくような#4「1535」、熱っぽい中で清々しさすら感じさせる#5「キレイな女には振り返る事を誓うよ」は特に本作で好みの曲。スクリームも交えつつ、より重厚なアンサンブルが冴える#7、焦燥感に駆られてリフで切りまくっては思いっきり突っ走る#10も良し。それと#6「映画」は、青春のいちページを思い出から引っ張ってくるような切なさがあるけれども、重く仕上げている点は彼等らしいなと。全体を通すと、何より日本語ロックの新たな形を1stアルバムとはいえ、提唱している点が素晴らしい。まさにDOIMOIでしか成し得ない音がここには広がっている。

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