Lifelover ‐‐Review‐‐

2005年に結成されたスウェーデンのアヴァンギャルド/ ディプレシッブ・ブラックメタルバンド。


Konkurs

Konkurs(2008)

 スウェーデンのディプレッシブ・ブラックメタルバンドの2008年発表の3rdアルバム。2011年に入ってAlcestも所属しているProphecy Productionsから再発された。

 Alcestと同じく、既存のブラックメタルとは一線を画す存在感を示しているバンドであることは改めて言うまでもないかもしれないが、本作をじっくり聴いてみるとその音楽性ゆえに個性の塊であることは十二分に理解できた。陰湿に闇を押し広げるがギターリフ、哀切としたトレモロ、精神イッチャッてる感ありありのヴォーカルとブラックメタルらしい基盤を持ちつつ、実験的な作風で聴き手に迫る。ピアノの旋律が優しくも悲劇的にも奏でられ、意外とダンディなクリーン・ヴォーカルに心を許し、エレクトリカルパレードがよぎる様なSEや不穏な効果音で数々の場面を煽り、波のサンプリングや女性コーラスを用いたりすることで、楽曲面での幅と奥行きを出しつつ個性を示している印象。そういった独特のユーモアを差し色として効果的に使用しつつ、ミドル~スロウと結構遅めのリズムを主体にして不可解なほどに凝った展開をみせる。

 暗欝としながらもメランコリックな表情が零れるのは、孤独感から来る崩壊ギリギリの狂気を示しつつも負を湛えたメロディに気品があるからだろう。やはりピアノがここぞという場面でセンチメンタルに琴線を揺さぶり、静と動でじっくりと練り上がっていく展開の妙が本作では味わい深い。ポストロック/シューゲイザーとの親和性も高く、全体的にブラックメタルを現代の流儀に個性的ユーモアを発揮しながら再構築したような印象さえ受ける。このバンドを評する時に”アヴァンギャルド”なんて表現をよく見かけたが、その形容が当てはまる前衛性/先進性を示しているといえるだろう。悲哀と狂気の狭間で掻き鳴らす精神崩壊の序曲#1から、これまたイカれた個性が発揮される#2や#4、血が噴き出すかのようなグロテスクなVoの表現力に圧倒される#6、しめやかでダンディな#9、悲痛なドラマが繰り広げられる#13等、粒ぞろいの楽曲でネガティヴな藍闇へと誘ってくれる。

 ちなみにDISC2の方では、背筋を凍らすような空間系のSEと物静かなギターで綴られる奈落のアンビエント・ドローン。死霊のすすり泣きそのものが表現された約28分の#1、約25分の#2とひたすら内省に影を落とし続けるおぞましい時間があなたを襲います。

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