Lights Out Asia ‐‐Review‐‐

アメリカ・ウィスコンシン発のスリーピースバンドアメリカ。2004年に「Garmonia」を発表(当時は2人によるユニットだった)。現代的にエレクトロニカを昇華したサウンドにシューゲイザーを取り入れたサウンドを武器にし“エレクトロニカ・シューゲイザー”などと評されている。2007年に「Tanks and Recognizers」を発表。美しい空間美はあまりにも感動的な世界を創造している。

レビュー作品

> In The Days Of Jupiter > Eyes Like Brontide > Tanks and Recognizers


In the Days of Jupiter

In The Days Of Jupiter(2010)

    ウィスコンシンの3人組ライツ・アウト・エイジアの2年ぶりとなる4thフルアルバム。本作は以前と比べてだいぶ抑性された作風で、ドリーミーで浮遊感のあるサウンドはお馴染みであれど、アンビエント寄りの作品というのがまず第一印象。とても優美で幻想的で、その音像からはHelios辺りをちらちらと思い浮かべてしまうほどだ。

 淡々としたビートの上を宝石のように輝く電子音を散りばめ、エモーショナルなギターが時々顔を出し、まろやかな歌声が乗るその手法は健在であるが、静かに儚い幻想の天地を描いている。ゆるやかに眩惑する音楽への変貌、そこからはアンビエントロニカ、ポストクラシカルといったジャンルがまで頭に浮かぶほど新境地へ踏み込んでいるといえるはず。期待してたほど上下動はあまり多くなく、薄靄のように広がるギターのレイヤーと厳かな鍵盤の調べ、淡いエレクトロニクスが主導権を握り、とても落ち着いた上品で綺麗な世界を演出。まるで宇宙のようなパノラマである。

 とはいえ、ポストロック/シューゲイザー的な爆発やエレクトロニックなビートの心地よさが後半の曲では目立ち、動の部分におけるアクセントも光る。その静と動が極端に対比された構造もまた味わいのひとつといえるだろう。ポストクラシカルのように静かで厳かな立ち振る舞いとシューゲイズのくぐもった質感が絶妙にマッチする10分越えの#7は惹かれる点が多いし、以前の彼等らしいドリーミーな音づくりと立体感のあるハーモニーが感傷を撫でる#9も随一の美しさを放っている。もちろん、自分が期待していた作風とは違うが、無垢に感傷を掻き立てる純白のエレクトニカゲイザーから、木星を巡るアンビエント宇宙紀行となった本作にはまた新たな可能性が見える。夢幻的なテクスチャーは何度も心を洗い流してくれます。


Eyes Like Brontide

Eyes Like Brontide(2008)

    “夜空に輝く悠久の極光、感涙の旋律”

 約1年ぶりとなる3rdフルアルバム。前作ではエレクロニカ・シューゲイザーを地でいく余りにも優美なサウンドに酔いしれた。本作でもその基本路線は変わらないが、心の奥底に積み重なっていくキラキラとした音粒子がさらにドリーミーでメランコリックな深みを増している印象だ。

 優しく流れるサンプリングノイズ、トレモロの美麗な旋律、シューゲイズ寄りのフィードバック、滑らかなピアノ、光り輝くシンセの煌き、緩やかなブレイクビーツ等々がゆっくりと調和しながら流麗で立体的なハーモニーを奏で、感傷と昂揚を掻き立てる美徳に富んだ音響空間を創生する。重層的でありながら、クリアであるその音に一度触れさえすれば、体の芯から恍惚とさせられる。それはひどく儚さと郷愁に満ちた壮麗なる音のヴェール、かもし出される幻想的な美しさに涙腺を強く刺激されるからだろう。個人的にはどうしようもなく惹かれてしまう要素が多い。どことなく落ち着いたトーンや翳りが表されているのが前作との違いだと思うが、それすらもこの柔らかな音の中にまどろんで溶けていく。また、インスト主体の中で風景に溶けるような霞がかった歌声で陰陽のアクセントをつけるところが本作でも見事。この隠し味が他には無い独特の味わいとなって効いている。やはりその辺りもこのバンドの醍醐味の一つといえるだろう。

 ジャケットの通りに夜空を神々しく彩るオーロラに見惚れ、美麗な音響空間に聴き惚れる素晴らしい作品に仕上がっていると思う。結局は、”美しい” その一言に収まる。こういうタイプの作品を聴くと、どうしても右から左に流れていくだけって感じるものも多いのだが、Lights Out Asiaに至っては個人的には別格なのです。


Tanks and Recognizers

Tanks and Recognizers(2007)

   “満月から滴り落ちる美しい雫が郷愁のさざなみを立てる”

 ウィスコンシン発のスリーピースバンド、Lights Out Asiaの2ndアルバム。彼等のサウンドはニューウェイブを現代的に再編成し、シューゲイザーの要素を見事に両立させて「エレクトロニカ・シューゲイザー」と謳われている。どこまでも深みにはまってしまいそうな程の美徳が詰まった白銀の世界。ひたすらに美しいシルクのカーテンが優しく我々を覆う。荘厳なストリングスが生み出す叙情感、エレクトロニカサウンドが立体感のあるハーモニーを奏で、均整の取れたサウンドに不思議な陰影を加える霞がかったヴォーカル。辺りの空間全てが真っ白な魔法をかけたように幻想的世界へと変わっていく。綺羅星の如き力強い光を放つ楽曲の数々。なかでもラストの#9「Spiti Elefas」はコスモに広がる美しいパノラマが約10分間繰り広げられる名曲です。時計の短針が進むにつれて、濃密な音の粒子が大地を憧憬の白で包み込んでいく見事な作品だ。

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