MIYAVI ‐‐Review‐‐

「サムライ・ギタリスト」として世界で活躍する日本のギタリスト。スラップを多用したプレイを特徴に世界各国で名を馳せている。

レビュー作品

>Fire Bird > The Others > MIYAVI > WHAT’S MY NAME


Fire Bird (通常盤)

Fire Bird(2016)

  1年4ヶ月ぶりとなる9作目。“NEW BEAT, NEW FUTURE”をテーマにしたそうですが、これまた大胆な変化だこと。本作ではスラップギターにこだわってなければ、自身の歌にも固執していませんし、BOBOさんがドラムを叩いてない曲もある。

 EDMを取り入れた前々作『MIYAVI』が近い作風ですが、女性ヴォーカルを過剰気味に投入。そしてMIYAVI自身はギタリストに比重を置き、テレキャスターを鳴らしまくっています。歌を重視せず、ギターで自由に歌ったり叫んだりというインパクトは確かに強いです。全体的にはダンス・ミュージックとしての機能性が近作でも一番に高く、電子音とギターの絡みはグルーヴィで情熱的。表題曲#2「Fire Bird」はMVで手塚プロダクションとコラボしていますが、本作の特徴が集約した1曲になっています。

 快楽的なビートは心地よく、それにブラック・ミュージックやR&B的なテイストがクールに表情を整える。#6「Afraid to Be Cool」はその辺りが顕著かと。ラストトラックの#10「Hallelujah」はいい意味で和洋折衷の味。世界を相手取るために変化を続けるミヤヴィズム、決して立ち止まりません。


The Others(初回限定盤)(DVD付)【特典なし】

The Others(2015)

  世界を股にかけるサムライ・ギタリストの約2年ぶりとなる作品。前作から再び変化。本作はグラミー受賞のプロデューサーを迎えてのLA録音と、「世界で戦えるカッコいい音楽」を模索して形にしていこうという変わらない意欲に溢れています。

 今回で言えばダンス&グルーヴィなロック~パーティ・チューンの炸裂。シンセを控えめにして、その分をR&Bやファンク等の要素で補強し、 テレキャスターに持ち替えて攻める。#1「Cruel」から#4「Alien Girl」までの流れだけでも変化が著しい。グラミー感のあるロックに照準が合っているような感じで、#5「Let Go(2015ver)」もアメリカンな装飾とグルーヴで盛り上げます。彼の代名詞であるスラップはあえて登場回数を減らしたようだけど、シンプルに体を揺さぶるサウンドは、新しいMIYAVI流オレ様スタイルをしっかりと刻む。特にその傾向が表れた表題曲#9「The Others」は、テレキャスの鳴りとメッセージ性の強さが感じ取れますね。

 それでも元The MusicのVo.ロブ・ハーヴェイが参加した#8「Unite」は、踊れる要素を押し出しているけれど、サウンド的には一番これまでのものに近いかも。#6「Odyssey」で久々に日本語詩が飛び交うのも新鮮。ただ、やっぱり前作に続いて『WHAT’S MY NAME』ほどの衝撃は無いと感じるのが本音です。ボーナストラック的な位置づけの電気グルーヴの「Shangri-La」のカバーにしても、もっとギターでバキバキして欲しかったなあという思いがあったりします。


MIYAVI (通常盤)

MIYAVI(2013)

 本格的に世界デビュー進出作となるセルフ・タイトルの7作目。BOBO氏(54-71)との2人編成で血沸き肉踊るようなサウンドが印象的だった『What’s My Name』から、KREVAやYUKSEK等の対戦型コラボレーション・アルバム『SAMURAI SESSIONS vol.1』を経ての本作、大胆にEDMを取り入れた作風となり、改めて世界を意識していることを感じさせます。

 先行シングルとして発表した#9「Ahead of The Light」や#10「DAY 1」は、ダンサブルな躍動感を増したことやエレクトロの煌いた装飾が、新たなファンを掴む武器になりうる感じでした。けれども、本作は全体の印象から言えば、エレクトロ要素が目立ちすぎてて以前ほどのグルーヴ感が無くなった様に思えます。MIYAVIのスラップ・ギターは健在でリズミカルに昂揚感をもたらしているし、さらにこれまでよりもワールド音楽、プロデューサー(Janet Jackson、Rihanna等を手掛けた経験がある方らしい)の影響からかR&Bっぽい新しいアプローチが機能しているのは確か。#4「Secret」や#5「Cry Like This」辺りはブラックミュージックっぽいしね。

 ただ、個人的にはBOBOさんのドラムが引っ込み過ぎじゃないかと思えてしまって。2人の掛け合いが最高の興奮を生んでいた前作から比べると、体に直に訴えかけてくる感じではないかなあと。それでも、サッカー応援ソングっぽい#2「Horizon」の躍動感は強烈だし、本作ではかなりのインパクトを誇る#7「No One Knows My Name」等の楽曲を収録。世界で戦うために彼は挑み続けます。


What's My Name?

WHAT’S MY NAME(2010)

   通算6枚目。いつの間にか、グッド・シャーロットとコラボもしていることに驚かされたり。聴く前に驚いたのがあの敏腕ドラマーBOBO(54-71)、そして、プロデュースにヨシオカトシカズ(ストロークス、8otto)を迎えています。

 この作品で久しぶりに聴きましたが、スゴくかっこいい。エレアコとドラムと声(たまにキーボード)という限られた資源のみで構成したパッション溢れるロックです。エレアコをベースのスラップ奏法で叩き奏で歌も兼務するMIYAVI、鋭くも重量感を備えた正確無比なドラミングのBOBOさん。彼等がぶつかり、重なり、結合して問答無用の破壊力と物凄い熱気を連れてきます。2人の火花散るギリギリの攻防がどの要素をとっても一級品にまで錬金している。

 灼熱のセッションを思わせる強烈な楽曲(シングルとなった#2,#14等)が本作のイメージを決定づけていますが、ヒップホップやファンク色を独自の視点で切り取った曲、ちょいと過去を思わせるスロウテンポのバラード等を挟むなどで幅を広げています。一発録りによって予想以上の勢いをもたらしているようにも感じますし、ヒリヒリとした焦燥感も伝わります。

 これまでのキャリアから己を見つめ直す、と同時に音楽家としての飽くなき探究心が、シンプルながらもリアルな衝動をもたらしてくれる渾身の作品。型を逸脱する事を恐れぬ心・凄まじい情熱にも頭が下がるし、”日本人がやるべき音楽”を意識・追及した本作はジャンルやシーン、それに国を越えて聴かれてほしいものです。

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