2007年結成のヴィジュアル系メタル・バンド5人組。”現代的なものと伝統美の融合”をコンセプトとし、シンフォニックメタルを基調としたサウンドで人気を獲得。またVersaillesとのカップリングツアーを始め、海外公演を多数こなしている。
2010年12月にメジャー・デビューし、メンバーチェンジを挟みながらも精力的に活動中。これまでにフルアルバム9作を発表。ヴォーカルと作詞を務める中心人物・苑氏はテレビ番組『THEカラオケ☆バトル』への出演を果たしています。
本記事は2nd~4thアルバムの計3作品について書いています。
アルバム紹介
ANOMIE(2009)
1stアルバム。インディーズ期唯一のフルアルバム。
JUSTICE(2012)
2ndアルバム。全13曲約62分収録。Versaillesと並ぶヴィジュアル系シンフォニック・メロスピの刺客。それをヘヴィにチューンアップした楽曲はインパクトが大きいです。
安定したプレイで屋台骨を支えるリズム、その上で獰猛耽美にツインギターが咲き乱れ、Within Temptationばりの荘厳なオーケストレーションやストリングスが壮大に盛りたてていきます。序盤からド派手なクワイアとツーバスがリードし、弾きまくりのギター・ソロが炸裂するメロスピ#1「Justice」からして強烈すぎ。
多様なヘヴィメタルの因子を所々で撒き散らしながら、コンセプトでもある耽美世界をしっかりと描き出しています。華やかで美しく、かつ激しさを伴って聴き手を魅了。苑氏のヴォーカルは艶やかさと伸びやかさがありますが、あちこちでいわれてる通りにハイトーンでは稲葉浩志氏がよぎるほど。
J-POP/歌謡曲センスが冴えていて、技巧派のサウンドの中でキャッチーさを保っています。楽曲によってはラウドロックにも転じてモダンなイメージを与え、かと思えば70~80年代辺りのハードロックのリフが飛び出てきたりもする。
シングルでも切られた#4「Helios」では瑞々しいキーボードを効果的に使いつつ、哀愁のシンフォニック・ロックを展開。SIAM SHADEを中世ヨーロッパに連れていったインスト・チューン#9「Just Be Myself」まで飛び出す始末。さらに3.11の震災で傷ついた全ての人達に届ける懐の深いバラード#12「絆」の温かさには涙腺が緩みます。そ
ドラマティックな展開を持つシングル#3「落とし穴の底はこんな世界」、耽美にエキサイティングに飛翔し続ける#10「アポトーシス」といった疾走曲がとにかく本作では強力だ。メタリックなアグレッションや壮大さに拍車をかけるなどバンドの幹を太く逞しくしつつ、それを音楽性の拡張にも生かしているのは見事。
喝采と激情のグロリア(2013)
3rdアルバム。全12曲約58分収録。昨秋からタイトルにある”喝采と激情のグロリア”をテーマに掲げて制作されたコンセプト作。本作でも様式美HR/HMが基軸。あるがままの自分たちを貫き、シンフォニックなアレンジで豪華に楽曲を彩り、よりオペラチックな合唱を取り込むことでさらにスケール豊かに聴かせてくれます。
往年のメタルファンをも魅了するだろうツインギターの音色、瑞々しいキーボードの旋律、そして荘厳なクワイアやオーケストレーション。お腹がいっぱいになりそうなぐらいの厚みと派手さを備えたサウンドの上に、本作では合唱をフィーチャしていますが、それも堂に入っている。
攻撃的なリフと爽快なまでの疾走感でアルバムの幕を開けるシングル#2「GLORIA」は、アルバムのクオリティを確信する良曲であるし、いい意味でのヴィジュアル系臭さとヘヴィさがメロスピ系と混じり合う#3「Plastic Lover」、シタールっぽい音で意表を突く#5「Freesia」、バラード調の#10「永遠のブルー」までバラエティの豊かさもまた聴き手を引きつけます。
そんな本作でハイライトとなるのが、ソナタ・アークティカ+RPGなインスト#11「Midnight Fanfare」からラスト#12「喝采と激情のグロリア」の流れ。スピーディな展開と勇壮かつシンフォニックなサウンド、アカペラの力強い歌唱で最後を締めくくるこの楽曲は、摩天楼オペラの実力を十二分に感じさせる内容です。
バンドとしても自信作とのことですが、さらなる磨きのかかった充実作に仕上がっています。メタルフェスにうってつけの存在ですよ、ホント。
AVALON(2014)
4thアルバム。前作『激情と喝采のグロリア』の時点でコテコテの濃ゆいメタルでしたが、本作ではさらに伊藤賢治氏や小林智美氏の助力を得てロマサガ化も果たすコッテリ具合。どんどん味と脂を濃くした壮大シンフォニック・メタルとなっております。
そもそもの発端が伊藤賢治氏とのコラボ曲となるオープニング#1「journey to AVALON」。スタートからクリアまで凝縮したようなRPGサントラっぷりは単純に凄いの一言です。『AVALON』という物語の始まりを告げるはずが、正直なところ2分47秒でロマサガを全クリした気分に浸れちゃいます(笑)。
それ以降はお得意のシンフォニックメタルを展開していきますが、卓越した技術と練られた構成による楽曲群は、「輝きは閃光のように」や「クロスカウンターを狙え」などの中二病臭いタイトルを冠することで、恐ろしいインパクトを持つまでに昇華されています。
特に、#2「天国の扉」の勇壮なスピード・メタルぶりは会心のガッツポーズをあげたくなるほど。苑氏のヴォーカルが変わらずの迫力とビブラートで濃厚な味付けを施し、過剰なオーケストラ・アレンジも作品を優美壮大へと拍車をかけています。
もちろん疾走曲だけでなく、バラード調の曲でもその濃さは変わりない。#5「3時間」にしろ、#10「友に捧ぐ鎮魂歌」にしろ、#11「Orb」にしろ、あの手この手で涙腺崩壊状態をつくりだす。まるで劇的選手権でも繰り広げているかのように。
極めつけはラストの#12「天国の在る場所」でX JAPANに比肩しようとする豪華絢爛銀河系メタルで終幕。もはやトッピング全部乗せな勢いのサービスすぎて血と汗と涙が同時に出てきます。”壮大で劇的なメタル”はここまで実を結ぶものかと。
地球(2016)
5thアルバム。
PANTHEON -PART 1-(2017)
6thアルバム。
PANTHEON -PART 2-(2017)
7thアルバム。
Human Dignity(2019)
8thアルバム。
真実を知っていく物語(2022)
9thアルバム。