【ライブ感想】2014/03/02 BABYMETAL「黒い夜 LEGEND “DOOMSDAY” ~召喚の儀~」 @ 日本武道館

 前日の天下一メタル武道会ファイナルを経て、”ホンモノのメタル”を手に入れて臨む、武道館2日目の「黒い夜」である。公演のサブタイトルは「LEGEND “DOOMSDAY” ~召喚の儀~」と題されているが、昨日のライヴではしきりに”何かが終わる”という事を明確に意識づけていたんで、開演前のドキドキ感とワクワク感は今日の方が強かった。

 緊張と興奮に包まれる武道館が、開演時刻から20分過ぎに暗転すると「”DOOMSDAY”、それはメタルレジスタンスの終焉を告げる鐘の音が鳴り響く運命の時。残された時間はあと僅か・・・」という意味深なアナウンスが流れ出す。そして、そのまま「BABYMETAL DEATH」へ突入。デスメタリックなサウンドに乗せ、メンバーの3人がステージ最北部の階段から一段ずつゆっくりと降り、ステージ中央→東西南の各配置の場所に陣取り、召喚の儀をスタートさせる。

 しかし、この日は前日以上に演出が凄かった。持ち曲が15曲前後と少なくて、2DAYSでも大半を同じ曲で挑むしかないんだけど、演出の凝り方がまるで違ってて、例の紙芝居アニメーションが入ってくるだけでライヴでグッとエンタメ性とストーリー性が増す。さらに昨日はやらなかった、メタルコア+ダンサブル+J-POPなカバー曲「君とアニメが見たい」が演奏されたことも嬉しい。

 「幸せのぶどうマン(武道館とかけてる)がホンモノのレゲエを見せてくれたら、ブドウをあげる~」という感じの紙芝居からは、BLACK BABYMETAL(YUI&MOA)の2人が「おねだり大作戦」「4の歌」をキュート&エネルギッシュなパフォーマンスを披露。

 昨日の事件の影響が心配されたYUI&MOAMETALだけど、影響を感じさせない元気な振る舞いをしてくれたので、会場も「今日は安心してノれる!」って気持ちになれて大いに沸いていた。ちなみに本日は昨日の事故を踏まえて安全に配慮し、ステージには新たに手すりがつけられていたようだ。

 そして、Xオマージュっぷりに拍車のかかったSU-METALソロ2連曲も非常に印象的だった。さながら「Endless Rain」~「紅」の展開を髣髴とさせるようなバラード調の新曲から「紅月 -アカツキ-」の流れは、問答無用で昂揚感に包まれてしまう。16歳とは思えない堂々とした振る舞い、胸を打つ伸びやかな歌声。昨日を踏まえてさらにパワーアップしたSU-METALがステージにはいたかと思う。も

 ちろんそれは、本日も素晴らしい仕事をした神バンドの活躍ぶりが縁の下にあってこそ。知り合いに聴いたら、これまでのライヴではそれほど前に出てくることは無かったと言うが、「Catch Me If You Can」や「悪夢の輪舞曲」における冒頭の各パートの超絶ソロ・タイムには昨日に引き続いて熱くさせられた。

 和物エレクトリカル・メタル・パレードな「メギツネ」を経て、本編ラストの「イジメ、ダメ、ゼッタイ」で会場は興奮の坩堝へ。昨日はアクシデント後ということもあって、騒然とした中での演奏となってしまったが、この日は冒頭の3人のナレーションの時点で、いくつかに小分けにされたスタンディングのブロックが真っ二つに割れていく。そして、SU-METALの叫びから、一揆に向かうが如しWall Of Death。あの光景は今思い返してみても壮観で、BABYMETALのライヴに欠かせない瞬間だなと改めて思った次第。最後は昨日と同じように「We Are BABYMETAL!」の連呼から「SEE YOU~♪」でキュートにはけていった。

 「メタルレジスタンスの終焉を告げる鐘が鳴らされる。その昔、キツネ様の母のマザーゴッドは言った。”あの銅鑼を鳴らすのはあなた”」という、ゴッドねえちゃんのパロディを挟んで始まったアンコールは、デビュー曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」でアイドルちっくな可愛さを振りまき、また「ヘドバンギャー」で昨日のリベンジを果たしたのであった。曲が終わるとステージ中央に銅鑼が突如として現れ、3人が這いつくばって近づき、「あの銅鑼を鳴らしたのはSU-METAL」というオチをつくって彼女達は消えていく。

 「今からメタルレジスタンスの全てを話そう」という振りからは、再び長いナレーションに入る。アイドルソング以外は敵とみなされる世間の風潮に対し、メタルの復権へ向けて新しいメタルの誕生を意味するBABYMETALを日本に降臨させたこと、彼女達の成長のためにサマーソニックやラウドパークといったアウェー試練に立ち向かわせたことなどを説明。

 幼いながらも懸命に闘うその姿に人々は胸を打たれ、ついにA-KIBAまでもがMステでキツネサインを掲げたということを盛大にネタにし、メタルレジスタンス第1章はいよいよクライマックスへ。天から降りてきた棺に3人が順々に入り、再び天へと召されていく。そして、”YUIMETAL聖誕祭 MOAMETAL聖誕祭 IN EUROPE”の文字がスクリーンに踊り、武道館2DAYSは幕を閉じたのだった。

 というわけで、”メタルは正義、カワイイは正義のトライアングル”は今年は海外を中心に突き進む模様。ここ1年ちょっとの信じられない快進撃で、最年少の日本武道館公演まで昇りつめた今、海外へと向かっていくのはある意味、必然なのかもしれない。この辺の判断の鋭さは、さすがにKOBAMETAL。あの人、絶対に終わりを逆算しながら彼女達をプロデュースしているのは間違いないけど、美しく華々しいクライマックスに向けて、今後の活躍に本当に期待したい。

 ある意味、ドラゴンボールに代表されるJUNP格闘成長系の漫画に近い感覚をベビメタちゃんには覚えたりするが、海外で行われるメタルレジスタンス第2章の続報を待ちたいですね。結論としては、僕はエンタメ性抜群だった彼女達の日本武道館2DAYS公演にとにかく感動したということです。

—setlist—
01. BABYMETAL DEATH
02. いいね!
03. 君とアニメが見たい〜Answer for Animation With You
04. おねだり大作戦
05. 4の歌
06. 新曲(SU-METALソロ曲)
07. 紅月 -アカツキ-
08. Catch Me If You Can
09. ウ・キ・ウ・キミッドナイト
10. ギミチョコ
11. 悪夢の輪舞曲
12. メギツネ
13. イジメ、ダメ、ゼッタイ

—encore—
14. ド・キ・ド・キ☆モーニング
15. ヘドバンギャー!!

—召喚の儀—

お読みいただきありがとうございました!
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