2015/12/05 The Life And Times 「JAPAN TOUR 2015」@ 今池HUCKK FINN

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 元SHINERのAllen Epley率いるロック・バンドのThe Life And Times、9年ぶりの来日。(一応の前身バンド)SHINERにしろ、このThe Life And Timesにしろ完全に後追いなわたくしですが、90’sEMOから円熟したサウンドへの歩みを感じるべく、見てきました。この先いつ日本に来るのかわからんということもありますしね。招聘したStiffSlack店主はMCで「今ツアー動員がアメイジング(涙)」と述べていたと思いますが、名古屋にお店を構えていることもあってハックフィンはわりと埋まっていました。

 初っ端からDOIMOIの熱いステージ。僕は昨年のISOLATE/Hexisのツアー@今池ハックフィン以来、約1年振りに見ます。毎回カリフォルニアからお疲れの来日(仮)となりますが、いつも通りにドイモイしておりました。あのカタカナでしゃべってるような外人訛り調MCとか特に(「ゼンブノシーディー、ニショクノティーシャツ」は吹いたw)。演奏はタイトに引き締まっててその中で鋼鉄フレイバーがあり、汗臭いところを感じるのが彼等の味。それに杉山さんのギタープレイと二村さんの歌っている姿がやっぱり目を引きます。覚えている範囲だと「オリンピック」、「スチフナー」、「TXOX」などを序盤~中盤までに披露し、終盤が「円群」~「1535」~「小鳥」にラスト「遺跡」。約45分のわりと長めのセットで、トップバッターとしてこれ以上ない働きだったかと思います。ちなみに9年前の名古屋場所もThe Life And Timesと共演している。

 2番手にStiffSlack店主のバンドであるベースレス・トリオのSLAVEDRIVER。なんでもこの名前は、12、3年前のShiner来日ツアー福岡からあまり休憩いれずに十数時間かけて帰ったそうですが(名古屋へ戻ったときでしょうか?)、そこでAllenから「お前はSLAVEDRIVERだ」みたいなことを言われたのがきっかけになっているとか。

サウンドはShellacやHoover辺りを思わせるオルタナ系、そこにマスロック要素が茶茶を入れてくる。そして、日頃の鬱憤のようなものを3人が叫ぶスタイル(基本はフロント2人のツイン・ヴォーカル)。ヘルニアに負けない中年の底力を見せつけます。SS店主のもうひとつのバンドのkmkmsは昨年に見ていて、あちらは刹那の激しさと瞬発力に身を任せる形のハードコアでしたが、こちらはバッチリの90年代オルタナ感に減ポップ加渋味というところでしょうか。急がずにひねくれた構成で攻め、焦らしながらグイグイと引き込む。その上で自分たちのバックグラウンドは、包み隠さず音に乗せてるってのは感じるところでしたね。そして、おもしろかったのが半裸のドラマーは、客にいじられると弱いところ(笑)。

 21時過ぎからトリのThe Life And Timesの登場です。前回の来日から約9年が経過。その間に人間が熟成、エモも熟成。オジサン達の果汁たっぷりのステージを3人でつくりあげていきます。見た目からも玄人感というか、アメリカン・コメディに出てる感じあるというか。

 それはさておき。最新作である4thアルバム『Lost Bees』を中心としたセットで約70分。経験値からきてそうなキレイな出音にまず驚いたけど、3人の調和が絶妙です。いい年の重ね方をしてきたから、こういった角のない丸みのある音になるのでしょうか。Vo&GtのAllenのギターを弾いて少し揺れながら歌う姿が印象に残りましたけど、ファルセットも交えた艷やかな歌声は、聴き手の胸のうちにじわーっと浸透していく感じ。支えるリズム隊も快調で、メロディアスなフレーズを多用してたベースがギターをしっかり支援してたかと思います。

 基本的にはミドルテンポでじっくり聴かせるエモシズムな曲が多め。見ていて、柔よく剛を制すなんて言葉が浮かんだりもしましたかね。それに静から動へとモードを切り替える曲や蒼さのある疾走曲もあったりして、バンドの多彩な面が見れるライヴではあったかと。メンバーの充実感も伝わってくる、そんな名古屋公演でありました。次はあるのか。

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