SUMAC、終わらないヘヴィロック求道者の旅

 ISIS(the Band)の大頭脳であるアーロン・ターナー(現在は、Mamiffer、Old Man Gloomなどで活躍)を中心に、ブライアン・クック(Russian Circles)、ニック・ヤキシン(Baptists)と集結した3人組。無慈悲なスラッジメタルを信条にして聴き手を制圧する。

 本記事では1st『The Deal』、2nd『What One Becomes』の2作品について書いています。

目次

The Deal(2015)

 2010年6月に解散してから約5年、気づけばISISと言えない世の中になっていました、ポイズン…。アーロン総帥による久々のスラッジメタル・バンドは、6曲をかけて辿り着く着く暗黒大陸スーマック。様々なことに吹っ切れたかのような無慈悲で殺伐としたサウンドは、1st『Celestial』期までのISIS(the Band)っぽい感じであり、鬼神・GODFLESHのようにも感じ取れます。

 なぶり殺すかの如き重いリフを反復しながら、ドスの効いた咆哮を轟かせ、ブライアンやニックがリズムでコントロールしていく形。遅く重いを基本線にミニマルに展開する楽曲が主となっています。そういった中で怒りと重量感と血生臭さはかなりもので、長年温めていた構想がしっかりと具現化されている印象は強い。

 しかしながら、静から動へと単純に転移しない。縦軸・横軸ともに不安定なスラッジメタル曲線を描くような感じであり、寸止めにも達しない段階で半ば強引な形で曲の表情を変えていく。それは、突如のアンビエントなMamiffer風味であったり(実際に奥さんのフェイス・コロッチャが参加)、煉獄のドローンであったり、苛烈なハードコアであったり、即興であったり。しかも、ラストにはまるでギター演歌のような#6「The Radiance of Being」も用意。

 この多様な変質化はOld Man Gloomとも通ずる部分はあるにせよ、それを超える予測不能さで混沌を深めています。#3「Hollow King」にしろ、#5「The Deal」にしろ、相次ぐ転調と変貌ぶりに思わず嫌な汗が流れ落ちるもの。重厚なサウンドと奇抜な展開でどこまでもこじ開けていこうとする姿勢が伝わってきます。

 本作のリリースは、ヘヴィロック求道者の旅が終わってない事の証明といえそう。さらなる拡張を未だに成し遂げようと画策するアーロン総帥の野望が、このSUMACで再び見ることができそうです。

What One Becomes(2016)

 アーロン・ターナーを中心に、ブライアン・クック、ニック・ヤキシンという支配者級(クエストクラス)の3名によるゴリゴリスラッジ・バンドの2016年6月にリリースの2作目。昨年のleave them all behind 2015によるライヴは凄まじいものでしたが、古い教会にてCONVERGEのKurt Ballouがレコーディングを担当した本作も裏切りません。

 スタイルとしては前作の上積み。重圧的なスラッジメタル風ギター・リフの反復を主に、殺伐としたダークサイドに入り浸りさせるように肉体的&精神的に追い込みます。その中にエフェクトを駆使した幅のあるノイズ爆撃、インプロ的な怒涛のラッシュ、音数を絞った呪術・密教的な展開などのテイストを盛り込みながら、長尺ゆえの緩急/ダイナミクスで圧倒。

 前作同様に型に収まらない不規則な展開を信条とするSUMACですが、ブライアン・クックとニック・ヤキシンのリズム隊が前作にも増して強烈なプレイで支えます。そこにアーロン総帥を加え、さながら鬼神、風神、雷神による鉄壁のアンサンブルが繰り広げられるわけです。

 そういった多彩なアイデアが衝突しながら様々に轟く#2「Rigid Man」を中心に、平均10分を超える全5曲を収録。緊張感がゆるむ場面はないし、メロディなんて贅沢もさせてもらえません。水を飲ませてもらえない過酷な昔の部活動のレベルですが、この非情さとストイックさがSUMACの根幹にあるのは事実でしょう。

 全て聴き通すヘヴィさは、もちろんあります。ただ、彼等の生み出す新時代のヘヴィロックはかくも厳かですが、永遠に刻みつけるような衝撃がある。本作のハイライトとなる17分超え「Blackout」で鮮やかな暗黒が見えるはずです。

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