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重厚なうねりとエモ Shiner『Lula Divinia』

 カンザスシティのポストハードコア/エモ・バンドの1997年発表の2ndアルバム。これが素直に感服する内容です。深々とした青空のように晴れやかなメロディ、重いリフワークのコンビネーションが気持ちイイ#1「The Situationist」からしてカッコイイ。Jawboxの変則性、Sunny Day Real Estateの刹那のドラマティックさなどを引き継ぎつつ、グランジの要素を乗算して重厚なうねりを獲得。そのギターリフやリズムの力強い主張に加え、この渋い哀愁のある歌声がやたらとサウンドにフィット。”エモグランジ”としての開眼ぶりが本作からは十二分に伝わります。

 #2「Christ Sized Shoes」や#8「Sideways」、#11「Cake」におけるナイーヴなヴォーカリゼーションには、胸打たれる場面が何度かあります。変拍子を交えた展開の妙技も冴えていて、Drive Like Jehuも脳裏を霞める#3「My Life as a Housewife」の変則ドライヴは見事の一言。この辺りを聴いていたら、わたしとしては名古屋のDOIMOIを思い出すのですが、おそらくはShinerをお手本にしている部分もきっとあるのでしょう。

 90’sエモにも括られるバンドとはいえ、ナヨナヨしているどころか重心の低いサウンドと渋い歌心を見事なまでに融和させていて、その表現センスに唸る事多し。それに加えて、リマスター再発盤に追加収録されている#12、#13のボーナストラックは、コーヒー豆を挽きすぎて贅沢な苦みと哀愁を醸し出す始末。この味わい、なかなかでっせ。

 彼等もどちらかといえば、隠れた名バンドのような立ち位置にいるのだが、もっと知られてもいいはずだ。ポストハードコア、グランジ、エモ界隈をここまで密接にする存在はなかなかいないわけだから。03年に惜しくも解散という形になったが、ヴォーカルのAllen Epleyは、stiffslackから国内盤をリリースしているThe Life And Timesで活動しています。

 彼等もまた復活組のうちのひとつ。2020年に復活作『Schadenfreude』をリリースしたのも記憶に新しい。

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