Butterfly Explosion、耽美と幻想の異郷

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 アイルランド・ダブリン出身のポストロック/シューゲイザー4人組。God Is An AstronautのTorsten Kinsellagiaがプロデュースを手掛けるそのサウンドは、ステンドグラスのような美しさとシューゲ・ファンにツボの幻想的なハーモニーが混じり合い、独特の麗しさと響きを持って世界中を陶酔させにかかっている。

 本記事は唯一のフルアルバム『Lost Trails』について書いています。

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Lost Trails(2010)

   1stフルアルバム。全11曲約57分収録。プロデュースをGod Is An AstronautのTorsten Kinsellagiaが担当。

 God Is An Astronautを思わす澄んだ美しいサウンドスケープ、My Bloody Valentineの遺伝子を受け継いだシューゲ風の物憂げなヴォーカルや轟音が緻密に重なる。それが音楽的特徴になります。麗しい叙情的なフレーズから驚くほどの音圧へと上昇するフィードバックまで轟かせるギター、曲に確かな輪郭と精微な躍動感を与えていくリズム隊、男性の囁きヴォーカル、女性コーラスの甘い響き。ポストロック/シューゲイザーらしい因子が散りばめれています。

 それはまるでステンドグラスのような気品高いハーモニー。slowdiveを髣髴とさせる部分もありますが、現代のポストロックと親和している部分は多い。メリハリをきっちりつけてドラマティックに作品を彩っていく辺りはEITSのファンにも訴えかけます。美しく均整のとれた全体像の中で備わった幻想性と浮遊感、冷やかな静謐の中に潜むエモーションにも心がなびく。

 その中でも箍が外れたかのようにMogwaiばりの猛烈な轟音が吹雪く#8「Carpark」による衝撃は飛びぬけて凄まじい。UK音楽誌 MOJOの”トップ10 プレイリスト!にも選出されたのも頷ける名曲で、圧倒的な音圧で持って景色を塗り替えてしてしまう。またギターが美しい静謐の波紋を広げながら、爆音へと発展し、聴き手の感情を巻き込み呑みこんでいく#5「Automatic」という本作の決定打ともいうべき名曲も従えている。

 様々な音が流麗に重ねられた壮麗な音絵巻は夢の中にずっと居続ける気分を与えてくれます。堂々たるデビュー作。

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