アメリカのテキサス州リオ・グランデ・バレー出身のインディーロック/シューゲイザー5人組。2017年から始動。フルアルバムはリリースしていませんが、Spotifyの月間リスナー数は50万人を超える。
本記事は1st EP『Heavenly』、初期音源州集となる『Into You / Void In Blue』の2作品について書いています。
作品紹介
Heavenly(2021)
1st EP。全5曲約14分収録。リリースはテキサスを拠点とするインディペンデント・レーベル、Sunday Drive Recordsから。
USシューゲイザー新世代として名が挙がることの多いGlareは、”甘美で幻想的”という枕詞がつくシューゲイザーを本作で体現しています。御三家でいうとslowdive寄りではありますが、オルタナ/グランジといった影響も垣間見える。
リバーブやディレイを使用した重層的なテクスチャーの中に涼やかな透明感と甘美さを反映。デビュー当初にあったヘヴィさは洗練されており(Into You / Void In Blueにて後述)、このジャンルらしいレシピを忠実に守っています。
オープナー#1「Bloom」からまどろみを誘うぼやけた音像に揺れ、続く#2「Floating」ではマイブラを思わせる瞬間もあり。タイトル通りのソフトな聴き心地を追求した#3「Soft」からラスト#5「Ghastly」のどっしり感まで。
全5曲約14分と1曲平均3分に満たないのですが、シューゲイザー特有の浮遊感や幻想性、気だるさが追及されています。
Into You / Void In Blue(2023)
初期音源の編集盤。全4曲収録。先述のEP『Heavenly』よりも先にリリースされている作品で『Into Me』が2017年、『Void In Blue』が2018年に発表した共に2曲入りのシングルです。この2作品を合わせて2023年リマスターを施してSunday Drive Recordsからリリース。
結成初期のデモ音源的な側面はあるにせよ、シューゲイザーを基点にグランジやインディーロック、エモに針が振れていくスタイルを提示しています。『Heavenly』と比較するとダークな色合いが目立ち、WhirrやNothingに通ずるヘヴィな音圧がところどころで耳を覆ってくる。それでいて骨太の中に澄んだ美しさを両立。
おぼろげに揺れる抽象的な歌、ツインギターから奏でられるメロディが陶酔に導いてきます。#1「Into Me」で轟音のうねりに巻き込まれ、#2「Blank」は重厚シューゲイズの海峡をクリーントーンを頼りに渡り歩き、ラストを飾る#4「Void In Blue」ではJesuが切り拓いたヘヴィなポップ・ミュージックへと接近。
Bandcampにて”バンドのキャリアにおける重要なマイルストーン“と紹介されていますが、初期からポテンシャルを十分に示しています。