【アルバム紹介】Highness、90’sエモから重厚多彩なオルタナロックへ。

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Hold(2013)

 ex-Christie Front Driveのフロントマン、Eric Richterを中心とする5人組バンドの1stフルアルバム。90’sエモの代表格として、今もなおその存在感が揺らがないChristie Front Driveといえば、際立った叙情性とEricの繊細な歌声に一日の長がありました。およそ3年ほどの活動期間だったが、数多のバンド(Mineral等)に影響を与えたCFDの功績は大きいものです。

 その後にEricが参加していたというANTARCTICA、GOLDEN CITY等のバンドの音源は聴いてませんが、このHighnessのデビュー作は、意外にも曲調は豊か。馬力のあるサウンドと小気味良いドライヴ感で駆け抜ける#1、#3といった楽曲からヘヴィなミッドチューン#5、意表を突くようなアコースティックな牧歌的インスト曲である#4と様々な仕掛けがああります。

 エモっぽい幹の部分はさすがに引き継がれているにせよ、それほどエモ要素が前面に出ているわけではなく、割と武骨なオルタナ・ロック寄りといった印象。重厚でノイジーな#8といった隠し玉、アトモスフェリックな#7のような短尺なSEまでも用意されており、その中でも水面に美しい波紋が広がっていくような#2「 If You Found Out, I Would Stay」がリリカルかつ渋い味わい。

 全9曲35分と短めのランニングタイムですが、この新バンドなりに新しい表現への挑戦をしていることが伝わります。

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