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異国情緒とプログレッシヴ La’cryma Christi

 キリストの涙を意味するLa’cryma Christi(通称:ラクリマ)は1994年に大阪で結成。TAKA(Vo)、HIRO(Gt)、KOJI(Gt)、SHUSE(B)、LEVIN(Dr)の5人組で2007年まで活動しました。めちゃイケの数取団でネタにされていたことからも名前だけは知っているかもしれません。ちなみにTAKAさんが笑っていいとも「テレフォンショッキング」20世紀最後のゲストであったりもする(リアルタイムで見ています)。

 わたしがラクリマを聴くきっかけはラジオです。1998年に平日23時~24時のどこかで毎日10分ほど放送していた「ラブパレード」は彼等がパーソナリティーを務めていました。しゃべりから入ったわけですが、ラジオ内で流れる曲が気になり、さらには98年ヴィジュアル系ブームの洗礼を受けたこともあって、ラクリマの音楽に魅了されていきます。解散までリアルタイムで追えたバンドのひとつです。

 90年代ヴィジュアル系四天王と呼ばれましたが、ハードロック、プログレッシヴ・ロックを下地にJ-POPの要素を加え、ハイトーンヴォイスが彩ります。その独創的なサウンドはヴィジュアル系にカテゴライズされながらもプログレ好きの琴線に触れるエッセンスが詰まったもの。変拍子を交えた展開やツインギターの巧みな構成は、音楽マニアをうならせました。

 特に初期3作『Sculpture of Time』『Lhasa』『magic theatre』は傑作と呼べる作品。異国情緒とプログレッシヴが芳醇に香る世界を堪能できます。以降の音楽性の変化は目まぐるしいものがありますが、初期3作は騙されたと思ってぜひ聴いていただきたい。

 バンドは2007年に解散しますが、2009年に早くも復活。その後は2013年までコンスタントに復活公演を行いましたが、その後は復活を果たしていません。

 その要因となっていると思われるのが、TAKAさん。彼は銀座の宝石商へと転身して現在は代表取締役を務めています。「(宝石を売る)TAKAを呼ぶ声が小さいなっ!」と言っていたらそれはそれで悲しいものがありますが、彼の選んだ人生なので仕方ないところ。検索すればするほど恐ろしくなってくるのでしないようにしています。

 楽器陣はそれぞれサポート活動をメインに、自身のソロやバンドで活躍。LEVINさんはレコーディング・スタジオ「lab.l」の運営も行っています。2021年はGacharic Spin(通称:ガチャピン)のサポートをしていますが、最近の動画見たらあの頃と全く変わってなくてビビった。もう50歳近いはずなのに。

 本記事は、La’cryma Christiのオリジナル・アルバム7作品と初期の重要ミニアルバム、シングル・コレクションの計9枚について書いています。初期・中期・後期と音楽性は変化していき、改めて2021年に聴き直したのと当時聴いていた時の気持ちを交え、わたしは率直に書きました。確実にいえるのは、ラクリマの音楽は偉大だったということ。本記事で彼等の音楽に触れる人が増えれば幸いです。

目次

Dwellers of a Sandcastle(1996)

    インディーズ時代に発表されたミニアルバム「Warm Snow」が完売したため、新たにレコーディングをし直して発売された5曲入りミニアルバム。

 「Warm Snow」= 温かな雪と題された1曲目からラクリマ・ワールドに引き込まれていきます。卓越した技術とセンスに裏打ちされた楽曲の見事な構成、特有の透明感を持つメロディ、異国情緒漂うエキゾチックな世界観は、単なるヴィジュアル系で片付けられないものでした。

 TAKAさんの特徴的なハイトーン・ヴォーカルには好みが分かれますが、初期の頃は声質がバンドが奏でる音楽にマッチしています。そして、幻想的でミステリアスな雰囲気を創造していく演奏隊には舌を巻く。演奏陣は難易度が高く、精妙に絡み合いうツインギターは、他のバンドには無い味わいをもたらしています。

 代表曲のひとつ#2「Forest」は神秘性と疾走感が秀逸。長らくバンドの代表曲として君臨する曲で、後に「IN FOREST」としてリメイクもされます(ただ、「FOREST」として演奏されることが多かった)。毒々しくハードでエッジィな#5「Poison Rain」も印象的。ハードロックやプログレを通ってきたバンドであることを伺わせます。

 中盤に置かれた#3「A.S.I.A」と#4「カリブで生まれた月」は後のLhasaのOURサイドに連なる異国情緒と複雑な展開を持つ曲。共に6分を超えながらも#3は陰りを持つ曲調の中で妖しげなギターソロが黒光りし、#4はコーラスワークを交えつつセンチメンタルな風情を強めています。

 当時から自分達の音色を確立。個性と実力を持ったバンドとして、他のヴィジュアル系とは一線を画していました。MALICE MIZER、SHAZNA、 FANATIC◇CRISISともにヴィジュアル四天王と呼ばれていたことが懐かしい。

Sculpture of Time(1997)

 オリコン初登場8位を記録したメジャー1stフルアルバム。インディーズ期のミニアルバムからスケールアップを果たした作品で、オープニングの#1「Night Flight」からラクリマ流・音で具現化した世界旅行に誘われます。

 シングル曲の#4「Ivory Trees」や#9「The Scent」のような流麗でポップな楽曲から、タイトル通りの風情に彩られた#2「南国」、あまりにもマニアックな構成と渋い哀愁を帯びた#3「Snaskrit Shower」、重苦しくダークな曲調とエキゾチックな雰囲気が融合する#5「Angolmois」、ラストを飾る#10「Blueberry Rain」まで全く無駄がありません。

 変拍子混じり、ツインギターのコンビネーションで随所にプログレ系譜の実力派としての片鱗を伺わせつつ、幅広い個性を持った全10曲が鮮やかな風景を奏でています。シングル曲のイメージからすると信じられないぐらいに複雑な構成の楽曲がほとんど。なのに、特有のオリエンタルな風情とミステリアスな輝きを増しながら、ここまでポップに構築できるのは彼等だからこそです。

 幻想的な美しさに満ちた代表曲#7「偏西風」が白眉。バンドの中核となっているHIROさんとKOJIさんが奏でるツインギターのハーモニーは、ギタリストにこそ聴いていただきたいもの。ラクリマを端的に表す1曲なら間違いなくこの曲だし、ラクリマといえばこの曲です。本記事を見た人は「偏西風」だけでも聴いてから帰ってください(笑)。

 イメージ先行で過小評価されがちな彼等ですが、本作を聴けば技術と創造性の高い次元での融合が堪能できます。高級ワインのような上質さとロマンチシズム、溢れる異国情緒。J-POPと融合しながらここまでのことができるのかと驚くことでしょう。最高傑作に挙げる人が多い名盤だし、奇跡とも呼べる1枚です。驚くのはこれが1stフルアルバムということですよ、みなさん。

Lhasa(1998)

 2作続けてオリコン初登場8位を記録した2ndアルバム。オリコン最高位3位を記録した「未来航路」、ラクリマの代名詞的ポップソング「With-you」収録。ラクリマ作品で一番売れたアルバムです。いやはやこんなマニアックな作品が売れるんですから、当時が絶頂期であったヴィジュアル系ブームとは凄いもの。

 本作はポップ/大衆性を意識した前半5曲の”Yours”、そしてラクリマ自身が追求すべき音楽を徹底追求して掘り下げた後半5曲の”Ours”という2面性をみせた作品となってます。ポップなところはさらにポップに。マニアックなところはさらにマニアックに。前作よりもこだわるところはこだわって、なおかつギリギリのバランスを保っています。

 ヒット・シングル#1「未来航路」や#3「With-you」で獲得した新たなファンへの迎合という意味合いが強いYourサイドでは、ポップで耳馴染みよい楽曲が並びます。前述のシングルに加えて#2「月の瞼」は爽快なドライヴ感があって心地よいもので、ライヴではYOKOHAMAという歌詞がご当地名に変わる。#4「SHY」はLEVINさんが初作詞した曲。

 儚い鎮魂歌#5「Lhasa」を機にバンドが隠していた独創性と創造性が爆発します。7世紀に成立したチベットの都市を曲名に冠しており、ラクリマ屈指のバラード曲として君臨。もの悲しげなギターとTAKAさんの超ハイトーンで綴られる世界が、ひどく胸に染みます。

 この流れを受けたOurサイドでは、まるで異郷の地へ足を踏み入れたかのように世界が一変。サイケデリックな#6「Green」、妖しくダークな疾走曲#7「Psycho Stalker」、複雑なアンサンブルで魅了する#8「Frozen Spring」、壮大な大陸サウンドをオーケストラとの共演で表現する#9「鳥になる日」が並ぶ。前半の曲はなんだったのか、と思えるぐらいにマニアックです。

 #10「Zambara」なんてどういう思考回路したら創れるんだ?と思えるぐらいです。こちらもTAKAさんの想像を絶するハイトーンが凄まじいのに加え(ライヴでは原曲キーではあまり歌ってない)、全く読めない展開とサイケデリックな雰囲気が神々しさをもたらす7分越えの名曲。

 表層的にはポップでありながらも、角度を変えれば様々な要素が溢れ出る。大衆性と独自性の二面を限りなく追求したラクリマでしか成し得ない名作。V系ブーム最盛期とはいえ、セールスも両立していたと思うと恐ろしい。

magic theatre(2000)

 1stアルバム『Sculpture of Time』と並んで最高傑作に挙げられる、2000年にリリースの3rdアルバム。ここからV系ブーム衰退もあって、セールス的に下降を辿ることになります。本作については、ラクリマ流プログレワールドを突き詰めてしまったがゆえに、ついていけなくなった人も多いかもしれません。マニアックさと音楽性が濃くなることに比例するようにメイクが濃くなるHIROさんは、バンドの象徴です。

 11分11秒で幕開けを飾る表題曲#1「Magic Theatre」を聴いてもわかる通りに、前作『Lhasa』のOurサイドを更なる高みに引き上げています。”魔法の劇場”と題された本作は、魔法のかかった至高の12曲が次々とスクリーンで上映されるかのようで、最終的に一本の大作映画を見た気になる。それが空前絶後のカタルシスにつながります。

 象徴となるのが#1「Magic Theatre」。12弦アコースティック・ギターや壮大なコーラスを絡めながら、圧倒的なスケールで生命の誕生を表現する曲です。特に7分過ぎからの怒涛の展開には悶絶。音楽は国内外問わず数多く聴いてきましたが、若かりし頃に聴いたこの曲以上に”生命/生誕”を感じさせる曲に、わたしは未だに出会っていません。

 その他にも彼等らしいオリエンタルな情緒に溢れた楽曲や切ないラヴソング、カントリー調の軽やかな曲、ダークでシリアスな疾走曲と曲調はバラエティに富む。1stアルバムほどのポピュラリティは無いにしても、ポップス、プログレ、ハードロック、カントリー、ジャズ等々のエッセンスを凝縮して、独自の美意識で巧みにまとめあげています。ここにおいても違和感のない軽妙な#8「GUM」の懐の深さがまた良い。

 #1の他にもう1曲あげたいのが、直後を彩る#2「イスラエル」。異国情緒溢れる疾走曲でなおかつポップに落とし込んでいる楽曲。でも、楽器陣が凄まじい。HIROさんの異才ぶりが発揮された曲で警告音みたいなのをエフェクターで表現し、KOJIさんとのユニゾンリフで畳みかけたり、ヘヴィに揺さぶったりと数多の展開をしていく。中間では例の呪文が耳に残り、終盤はベースのタッピングまで出てくる始末。誉め言葉という意味合いの変態はこの曲にこそふさわしい。

 各曲はバラバラといえるほどに個性的ですが、不思議と統一感があるし、進行するごとにドラマティックな流れがある事に気付きます。ラストを飾る儚い美しさを持つインスト#12「Dear Natural」まで、究極のラクリマ・ワールドが堪能できるはず。わたしにとっては本作が彼等の最高傑作。

 3回ほどライヴに行ったことはありますが(KOJI脱退前の2004年に1回、以降は脱退後が2回)、惜しむらくは「magic theatre」を生で体感できなかったことは人生で後悔することのひとつ。

Single Collection(2000)

   メジャー・デビューシングルの#1「Ivory trees」から8thシングル「永遠」までのシングルとカップリングを収録したシングル・コレクション。それゆえに”永遠までの道のり”とでも題せそうです。

 これまでのオリジナル・アルバムは、単なるヴィジュアル系で片付けられない美意識と実験精神に溢れた作品でした。少々とっつきにくさ(『Lhasa』の後半とか『magic theatre』は特に)があるのは事実。

 そのような方々には、「With-you」や「未来航路」のようなヒット・シングルが収められた本作は、入門編にはもってこいです。表層的にはポップでありながらも、豊かな表現力と緻密なアンサンブルを堪能できる作品であることも彼等らしい。

 前述のヒット曲はもちろんのこと、1stシングルのカップリングであった「偏西風」、大陸的な響きと民族音楽特有のノスタルジックさがより出てる「Lhasa」のアンプラグドVer、「FOREST」の再録である「IN FOREST」も収録。アルバムに収録されていない#13「Without You」や#15「永遠」等のオリコン初登場TOP10入りしたシングルも入ってます。

 シングル集とはいえ全15曲に彼等の魅力は十分に凝縮しています。V系ブーム終焉に伴って変化せざるを得なくなっていく手前。前述したようにポップ要素が強めなので入門編には向いています。

 ちなみに#15「永遠」は、テレ朝ドラマ『天国のKiss』挿入歌。同ドラマにTAKAさんがミュージシャン役として出演していた。わたしは当時に全話みていますが、内容を全く覚えていない(汗)。

&・U(2002)

 2年ぶりの4thアルバム。ヴィジュアル系ブームの終焉の影響もあってセールス的に下降線をたどっていく中で、”売れる”はどうしても意識せざるを得ません。本作はどうしてもそれがチラつきます。

 何よりもHIROさんが、インタビューでも絶対に髪切らないしメイクを落とさないと言い張ってどんどん濃くなっていった方なんですが、髪を切ってKOJIさん寄りの風貌になってしまって・・・。POP JAM(NHKの音楽番組)で姿を観たときはビビりましたし、当時・高校生でラクリマをずっと聞き続けてきたわたしは勝手にショックを受けました。そうした変化をした理由はなぜか。それが音楽性にも関係していると思うのです。

 発売から20年近く経った2021年10月に本作について書いているわけですが、改めて聴き直してもバンドのジレンマを感じます。2000年11月にシングルリリースした#8「Life」はマイナー調でラクリマっぽさと新機軸を目指したのを感じさせる疾走曲なのですが、約1年後にリリースしたシングル#5「JUMP!!」は明らかに違うポップさで覆われている。

 アルバムからプログレ要素は大きく減退。異国情緒も少々の味わい。#6「Ash」や#7「カメレオン」、#10「Screaming」辺りは前作に収録されていてもおかしくない、彼ららしさがある。でもやっぱり主張が強いのはポップさ。耳障りの良い方のです。

 ポップにすることは別に悪いことではありません。むしろ歓迎されることが多い。ただ、本作におけるポップは別にラクリマが演る必要がないことだと強く感じます。なぜかといえば、本作のポップ曲は率直に言ってラクリマっぽさが感じられないから。「Ivory Trees」や「The Scent」、「月の瞼」だって彼等らしさという基盤の上でポップが乗算された曲なわけだから。疑問府がどうしてもつく。

 情熱の風を吹かせましたが、セールス的には振るわず。本作のこの曲は良いよと紹介できても、本作自体を良いよと他者に勧めることは20年近く経ってもやっぱりできないなあ。「Life」のカップリング曲である「Down to Earth」こそ収録すべきだったのではと強く思うところです。

DEEP SPACE SYNDICATE(2003)

 1年8カ月ぶりとなる5thアルバム。シングルリリースされた#9「HIRAMEKI」で「風林火山な恋の行方も~♪ キラメク愛のひらめき FOREVER♪」には悪い意味で鳥肌が立ちましたが、セルフプロデュースの本作は、前作の売れ線を継続したポップスと次作以降の火種となるハードロック要素が混じった1枚。あとは歌詞が四字熟語ブーム(笑)。

 タイトルにもあるスペーシー&グルーヴィな感覚の意識。シンセサウンドを以前よりも取り入れている。また、ベーシストのSHUSEさんが作詞・作曲でイニシアチブを取っています(全11曲中彼の作曲が7曲を占める)。ポップな曲調でもひねりが効いてる。けど、どうしてもポップに焦点はあたってしまう。

 ラクリマはHIROさんの曲を中心に作品全体を肉付けしていった方が、このバンド然とした幻想的な世界観が深まり/広がりがある。それは前作と本作を通じて強く感じたことです。彼作曲の「HIRAMEKI」のカップリング曲「Missing Pieces」がオリエンタルな雰囲気を醸し出していてとても良かったので、本作にぜひ入れて欲しかった。

 シングルは3曲収録されていますが、インパクトがあるのが#3「Groove Weapon」で横ノリ主張でこれまでにない印象を与えます。さらには表題曲#4や#5「Vampire Circus」辺りは次作以降のハードロック路線への下地になっています。初期のラクリマらしさが感じられる#11「REVERSE」が終盤に収まり、手前にはアンビエントに手を染めた#10「HAVEN」が彩る。

 これまで通りのバリエーションの広さの中に#10のような新しい試みもあります。以降、強くハードロック化していきますが、それがメンバー間の亀裂にも繋がってしまう。ということでKOJIさん在籍時5人編成としては、ラスト作品。

ZEUS(2005)

 04年の結成10周年記念公演、その祝事から叩き落とされるようにギタリストのKOJIさん脱退という大事件。4人編成となって制作された約2年ぶりの6thアルバム。冷やし中華じゃなく、「ハードロック始めました」がコンセプト。

CDの帯コメントが東海林のり子さんで「4人のHARD ROCKERが鮮やかにプレイする。凄くかっこいい!!」と書いています.。音楽性以外に大きな変化として本作から作詞・作曲のクレジットがLa’cryma Christi名義に統一されています(それまでは個人名)。

 2004年に発表したシングル#3「Hot Rod Circuit」や#7「CANNONBALL」で既に変化は顕著でした。思い切ってハードロックをやってやろうと。ただ、アルバム全体でここまで振りきれるとは驚きです。前述の#3は目玉となる楽曲で、疾走感と熱さが同居するハードロック/LAメタル調で支配され、中盤のツインリードはバンドの技量を再認識。痺れるようなカッコよさがあります。

 ラクリマが他と違うなと感じるのが、当時に流行していたニューメタルに走らずにハードロック/LAメタルをプレイしていること。モトリー・クルー、ガンズ・アンド・ローゼズに加え、ディープ・パープルやレッド・ツェッペリン等も名前としてあがってきます。自身のルーツに立ち返り、自分達なりに表現する。あの幻想系バンドが、#8「Don’ t Tell Me Lies」や#10「Same Old Shit!」みたいな暑苦しい曲で燃え上がらせるんだから、バンドっておもしろいものです。

 ラストはロック・バラード#11「yesterdays」で締めくくり。歌詞では内田裕也氏よりもロックンロールを連呼しているので、少し気になるところではあります。本作のハードロックぶりにこの雑誌もほっとけなかったのでしょう。BURRN!!誌にてインタビューが掲載されました。

WHERE THE EARTH IS ROTTING AWAY(2006)

 ラストアルバムとなってしまった1年3カ月ぶりの7thフルアルバム。大まかには前作の流れを引き継いでハードロックしております。ただし、前作ほどのマッチョイズムと暑苦しさは削ぎ落とされています。その分はメロディアスな情緒で補完。憧れだけではない自分達なりの昇華があり、スマートな聴かせ方をしてくれています。

 先行シングル#2「Breaking」はハードロック調をメインに据えつつ、のど越しは爽やかな仕様。といっても、ギターソロでは圧倒するようなインパクト。#3「Heartbreaker」はイントロからしてLOUDNESS臭がすごい。大先輩に最敬礼している曲といえるもので、本作において熱さを最も感じさせる曲。

 さらに#4「Long Distance」や#6「Soulful Day」といったロック・バラードが渋い味を出している。もう少し初期風味を加算できれば良かったと思うのですが、そこまでいかないのはKOJIさんの脱退が効いてるのか。前作は異様なまでにハードロックへの執着がみられましたが、本作はもっと風通し良くてアップテンポな曲調も多い。柔らかさとメロディが心地よい。

 特に好きなのがラストを飾る#11「Fly to the moon」。爽快感とメロディが充実した疾走曲が、ラストにあるのは頼もしい。初期・中期・後期と音楽性が変化していき、4人になりながらも最後となった本作へ着地。志半ばなのか、やりきったのかはわかりませんが、未来航路はまだあって欲しかったのが本音。

 わたしは本作のリリースに伴った解散ツアー・名古屋公演に参加しました。2006年12月上旬のこと。2度目のアンコールが終わり、解散前にみれてよかった!と思い帰路に着いたその裏でトリプルアンコールをやっていたという・・・(曲はPSYCHO STALKERでした)。思い返してもあの時の自分を今でも悔いています。

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