【アルバム紹介】mudy on the 昨晩、自由で衝動的なインストゥルメンタル

 愛知県名古屋市を拠点に活動するインスト5人組。2006年結成。名古屋の某大学のサークルで結成され、トリプルギターとスリリングな展開を武器に注目を集める。2007年11月にはEXTREME THE DOJO VOL.19の名古屋公演に抜擢される。

 その後に残響レコードと契約し、作品をリリース。FUJI ROCK FESTIVAL ’08のROOKIE A GO GOステージに出演も果たしています。活動中、一時的にメンバーチェンジを含みますが、現在はオリジナルライナップで活動中。2023年に約12年ぶりとなる3rdアルバム『An Instrumental』を発表。

 本記事はこれまでに発表されているフルアルバム3作、ミニアルバム3作の計6作品について書いています。

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アルバム紹介

VOI(2008)

 1stミニアルバム。全6曲約31分。焚き火している中でひとり水遊びしている謎ジャケ。そのアヴァンギャルドさは音にも表れています。当時に大学生バンドとして残響レコードが認めてリリースした実績は確かです。

 冒頭のギターフレーズに耳を引きつけられ、騒擾と静謐の狭間を小刻みに行き交う#1「パウゼ」から楽しませてくれます。変則的な展開を持ち、インテリな部分はあるにせよ小気味良さと勢いが何より良いですね。メロウなパートもとっかかりやすい。

 曲のタイトルからしておかしい#2「ヒズミ・タカコ」は自由なノリを許してくれますし、哀感あるムードから暴れ狂うパートへの転換が印象的な#3「ニュータイプ理論」、変態的な進行をみせる#5「kau’s」と個性は十分。

 ポストロックというよりはマスロックの方が彼等の音楽をよく表していますが、トリプルギターの関係性であったり、アンサンブルの巧みさは新人らしくない(笑)。変拍子使いであっても聴いてて自然と体が動くノリの良さ、これが何よりも効きます。

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Kidnie(2009)

 2ndミニアルバム。全7曲約36分収録。既にライブで披露している楽曲が多く、収録曲の半数はすでに聴いていたり。また前年にはFUJI ROCK FESTIVAL ’08のROOKIE A GO GOステージに出演と実績を重ねています。

 3本のギター、ベース、ドラムから繰り出される鮮やかな旋律と炸裂する轟音、多彩なコンビネーションを駆使して描かれる自由な音絵巻。前作の延長戦上にあるものですが、コロコロと表情を変えるマスロック的展開を軸にメロディが切なさを掻き立て、轟く爆音が所狭しと力強く暴れまわります。

 前作では荒削りの初期衝動を感じさせましたが、本作は複雑な展開をなめらかに滑走している印象あり。メロディがキャッチーになっている点もその影響でしょうか。とはいえ5人のベクトルがひとつつとなったときに牙を向く衝動にはシビれますし、予測不可能な展開の連続はスリリングです。

 程よい疾走感を保ちながら所々で衝動を炸裂させる#1「Ozis」と#7「ZITTA」、どんどんと表情を変えていく千変万化の如し#4「ASAI」辺りは好み。決して派手ではないですが、ツボをつくような楽曲が揃っており聴き応え十分。

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Pavilion(2010)

 1stアルバム。全11曲約40分収録。本作からギターが1名交代し、新体制でのスタートとなっています。基本的に路線は変わってない。マスロックを軸に変態的に組み立てられたスリリングで衝動性の強いインスト・ロック。

 複雑に絡み合う三本のギターがささくれ立った荒々しさを伴いながら鳴り響き、変拍子をものともせずごろごろと転げまわるドラムが加速力を与えていきます。プログレ的な構築性すらも見せ付けるなかで、残響親分であるte’譲りのロックとしての衝動を強く感じさせるスタイルを継続。

 はじまりの#1「Moody Pavillion」~#2「YOUTH」の流れはまさにmudyらしい。変則的な展開や不協和音を鮮やかなコンビネーションでまとめ上げ、緊迫した空気の中を火花散らしながら突っ走って行くような感じ。しかも今までと比べるとどの曲も組み立てに静・動のメリハリがつけられている印象を受けます。

 時にメロディアスな旋律が凪いだ瞬間を与え、歌心のあるフレーズが懐っこく絡んで、センチメンタルな風景すらも脳裏に焼き付けることに成功。ただ、#6「夕日の」や#9「夜が入ってくる」といった聴かせるタイプの曲がやや弱い印象があり。

 それでもハードロック調のギターが妖しげにうねる#3「レダロ」、各種のポストロックを取り込みすぎて混沌としすぎた#7「deltal」、少しコーラスを取り入れた#8「Sarliban」等でフルアルバムとしての振り幅を示しています。メンバーチェンジから”再構築”を掲げた作品。ですが、変わらずにバンドの勢いと好調さを感じさせてくれます。

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MUDY IN SQUALL(2011)

 2ndアルバム。全10曲約36分収録。初のセルフプロデュース作。タイトルは”集中豪雨のような困難な状況の中でも、着実に前進を続ける彼ら自身を表している”とのこと。

 初っ端を飾る#1「PERSON! PERSON!!」からLOATAGEの五味さんのコーラスを用いる変化球。でも変わらずにmudyは1曲の中にスリルもメロディも凝縮しています。リスナー・フレンドリーなとっかかりやすい部分とテクニカルな部分とのバランス感の妙。

 さまざまギターの旋律が重なっては飛び交い、それでもなおバンドのアンサンブルとしての塊感をしっかりと提示。#2「ユアイへ」の縦ノリと横ノリ対応型のテンション、#4「秘密」の中間部のダンサブルな躍動感、#6「lookilus」の跳ねるリズムと惹かれるポイントは多数あります。

 さらには#9「メッセージとは」にてギターを6本重ねるという新境地もあり。mudyの降らすスコールは小雨から豪雨までさまざまな降雨量でもって示され、その雨の中に悔し涙も嬉し涙も内包する。

 #10「this squall」の瞬発力と爆発力で駆け上がるのもmudyはこれからだという決意が表れています。

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Zyacalanda(2012)

 3rdミニアルバム。全8曲約24分収録。タイトルの読みはジャカランダ。9mmParabellum Bulletのギタリスト・滝氏をプロデュースに迎えて、”バンドの解体”をキーワードに二人三脚で制作。

 でも解体というほど刷新されているのか?とはいうのは思いますね。以前よりも攻撃性能は高まっているのは確かですが。冒頭から猛烈なスピードと音塊が飛び込んでくる表題曲#2「Zyacalanda」、9mmが憑依したかのようなメタリックなサウンドとダンサブルな躍動感が加わる#6「Hard/」でそれは感じられるはず。

 相変わらずテンションは高く、残響系らしい突然変異性と衝動性を兼ね備える。そこに加えて#3「エゴ・ダンス」のように小刻みに変化を続けてノせていく曲もあれば、140秒の中でフリーキーに暴れまわる#4「PANIC ATTACK」のような曲もある。

 mudyは色とりどりの旋律と重ね方、変幻自在のリズム隊を駆使しながら自分たちの色をどんどんと生み出します。実質のラスト曲#7「ダブル・プゥル」はTere Melosがストレートなハードロックやっているかのようで、おもしろいですしね。

 しかし、活動は好調だったのに本作後に10年も新作が発表されないとは・・・。

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An Instrumental(2023)

 3rdアルバム。全11曲約38分収録。mudy帰還。”時間の経過”をテーマに制作され、コロナ禍もあいまってスタジオでの演奏を主体とした作曲をリモートに変更し、それが上手くハマったことが付属のセルフライナーノーツに書かれます。

 フルアルバムとしては実に12年ぶりですが、変わらずにmudyですし、新しいmudyでもあります。トリプルギターが歌い、急ハンドル急ブレーキを乗りこなしながら衝動性の高いインストゥルメンタルを届ける。

 #2「THE SHINING」や#4「SUPER!!!」のように変則的かつ刺さるようなギターフレーズで体を揺らす。そして#7「Carnage」の爆発的なテンションに、めちゃLITEじゃないかと思うマスロック#8「ヴィジット」。そんな彼等お得意の楽曲が安心感を得る。

 一方で、メロウに咲き乱れる#3「メイン・テーマ」や少ない音数でしんみりと締めくくる#11「エンドマークはうたない」が幅を広げています。以前と比べてもメロディアスな旋律が増え、全体のアンサンブルへの意識が高まったことがギターマガジンのインタビューで語られている。変拍子で衝動を爆発させるからは一歩も二歩も先へ。

 また本作には初のヴォーカル曲となる#5「なななのか」を収録。österreichとの共演となる同曲では、歌と語り、ブラス・セクションも重なる豊潤なハーモニーの中で希望と絶望が隣り合わせに表現されています。

 タイトルは訳すと”あるインスト”になりますが、自身でインストバンドであることを再認識したという本作。残響レコードに所属していた縁、10年を超える月日がもたらした人間としての成長が刻まれており、”メロディで引っ張っていけるようなバンドでありたい(再びギターマガジンのインタビューより)”という決意も示されています。

 ちなみに「メイン・テーマ」のMVが名古屋特盛。

我々の約10年間の情念、心してお聴きください。

An Instrumental』セルフライナーノーツより引用
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