O、ミステリアスな雰囲気からくる美と暗黒

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“O” と書いてcircleと読むらしい、ドイツ/ベルギー/オランダ人等を含む多国籍ポストロック集団。日本の樹海をテーマにした1stアルバム『Black See of Trees』で鮮烈な印象を残し、2014年には2ndアルバム『When Plants Turn Into Stones』を発表した。現在はおそらく活動していません。

本記事はフルアルバム2枚について書いたものとなります。

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Black Sea Of Trees(2012)

 ”O” と書いてcircleと読むらしい。ドイツ/ベルギー/オランダ人などの混成バンドによる全5曲入り1stフルアルバム。公式facebookの情報を読むと、アンビエント/ポストロックに彼等のルーツであるパンク/ハードコアのエッセンスを交えた音楽性とのこと。

 けれども主だった印象は、美麗インストゥルメンタル。切なげなトレモロやアルペジオ、力強く牽引するリズム隊、それに鍵盤やグロッケンが混じって透明感のある美しさを演出しています。冒頭の#1「Jesus Belong To Ghost」や#2「Sea Of Trees」は近年のインスト・ポストロックの影響下にある楽曲で、静かな立ち上がりから壮麗なる轟音が花開く展開。Explosions In The SkyやEf辺りを彷彿とさせる仕上がり。やがて眩い光に包まれるようなクライマックスのカタルシスは、先人達にも比肩します。

 とはいえ、そういった美に傾倒しただけのサウンドがAlerta Antifascista Recordsから発売されるわけがなく。#3「Interlude」を起点にしてからの後半の2曲では、一気に黒さや不気味さを増す。メロディは暗鬱な色を強め、ここまで隠していたハードコア譲りの猛々しい叫びが入ったり、爆走パートで破壊の限りを尽くしたりと、サウンドは急変してしまう。

 特に#5「Waiting For The Sun」の後半では一体何が起こったのか?と思うぐらいに暗黒の轟音を掻き鳴らす。全5曲を聴き通したあとの始めと終わりの印象はだいぶ違う。

 ちなみにタイトルの”Black Sea Of Trees”は松本清張の推理小説ではなく、富士山や青木ケ原等の樹海を指すようで、ジャケットもそれを意識しているようです。ただ美しい、ただ激しいだけにとどまらない。樹海であり、深海であるようなミステリアスな魅力をも持つ作品。

When Plants Turn Into Stones(2014)

 日本の樹海を題材にした1stアルバムで鮮烈な印象を残した、多国籍ポストロック軍の約1年半ぶりとなる2ndアルバム。前作では、透明感のある美麗インストゥルメンタル(後半の曲で激情系ハードコア系統の絶叫が入る)を鳴らしていたが、本作でもその作風から大きくは変わってない。さらにGY!BEや一時期のRed Sparowesに接近した印象で、廃墟の世界で奏でられている様な仄暗い寒色インストゥルメンタルを展開。

 クリーントーンのギターと淡い光をもたらすシンセに大らかに包みこまれていく#1「Entstanden im Schatten wie Wasser」は、それこそMONOを髣髴とさせるようでもあるし、子どもの語りのサンプリングやアンビエンスな音響の狭間に意識が揺られる#2「How Polished Boulders Carried Us Along」もまた、幻想的な雰囲気を醸し出しています。

 この2曲だけでなく全体を通しても、しんみりと暗鬱な轟音インストゥルメンタルに傾倒しているため、前作の一部で聴けた粗暴な表現はほとんどありません。この辺りは賛否分かれそうですが、本作の方がより統一感のあるダークな作りになっている。なかでも、ゆるやかな展開から暖かい光と轟音が降り注ぐ#4「When Plants Turn Into Stones」が白眉。

 1stアルバムほどの強烈な印象は無いにせよ、特有のミステリアスで神秘的な魅力は本作も同様に効力を持っているように感じます。

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