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【読書感想】フリオ・リャマサーレス『黄色い雨』、孤独を描いた名著

小説紹介

沈黙が砂のように私を埋めつくすだろう―スペイン山奥の廃村で、降りつもる死の予兆を前に男は独り身をひそめる。一人また一人と去り行く村人たち、朽ちゆく家屋、そしてあらゆるものの喪失が、圧倒的な孤独と閉塞の詩情を描き出し、「奇蹟的な美しさ」と評された表題作に加え、地方を舞台に忘れ去られた者たちの哀しみを描いた短篇「遮断機のない踏切」「不滅の小説」の訳し下し二篇を収録した文庫オリジナル。

名著を読んだという気持ちにさせられるのは、生の臭いを消すほどの圧倒的な孤独感、ならびに詩人としても活動する著者の哀切な表現力によるものか。

物語はスペインの山奥にある廃村・アイニェーリェにひとり残されて暮らす男の独白が延々と続く。既に村人はひとり残らず去っており、男は妻と犬と残される。

だが、妻は寂しさに耐えられずに自死をする。それ以降は主人公自身が抱える孤独、近いうちにある死を真正面に捉えながら、朽ちていく村を見つめ続ける。

その滅びゆく風景と比例するように老いていく自分。そして男の存在を圧倒的に矮小化していく自然の描写。孤独に抗いながらも、やがて肉体と精神が地に還っていくことに諦めを覚える。

死の雰囲気に支配される中で、詩情豊かな文章が消滅の美しさを浮かび上がらせている。滅びゆく、朽ちていくものに美を見出す。

圧倒的な孤独をこれほどまでに美しく描いた作品を私は知らない

死が私の記憶と目を奪い取っても、何一つ変わりはしないだろう。そうなっても私の記憶と目は夜と肉体を越えて、過去を思い出し、ものを見つづけるだろう

黄色い雨』 (p141より)
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