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アルバム紹介
To Destroy A City(2011)
シカゴを拠点に活動する3人組。本作は名門のn5MDからリリースされたデビュー作となります。全8曲約41分収録。
エレクトロニカ、ポストロック、シューゲイズ、アンビエントなどの混合で形どった音像は、American Dollar辺りを思わせます。繊細な電子音と生音の共鳴が軸足になっており、それがオーロラのように煌き、感傷的に揺らぐ。
生ドラムと打ち込みを交えたゆったりとしたリズムにギターやキーボードが重なり、大らかに拡がっていくインストが核となっています。
レーベルメイトになるLights Out Asiaが引き合いに出されますが、ゆるやかな起伏とメロウネスは全体を通してスキのない美麗さを保っているように思う。適度な緊張感を保ちながらまどろみの中へ連れて行く。
デリケートなタッチでつづられるアンビエント調の#1に続き、ウルリッヒ・シュナウス辺りに影響を受けた様な#2は、メロウなキーボードの旋律の中でシューゲ風のギターで眩惑し、終盤にかけてはダイナミックな展開も見せる。
優美かつノスタルジックに聴かせることもそうだが、機械的な冷たさや生楽器の温かみの寒暖の生かし方も上手い。聴いているとエレクトロニカ色の方が強く感じるのだが、Efを思わせるエモーショナルの泉に放り込まれます。
また、舞台の語りのようなサンプリングを用いた#3やダンス方面の躍動感を滲ませた4つ打ちトラック#6も用意してきており、色々な方面に色気を見せているのもおもしろい。心地よい安らぎを覚える美麗エレクトロニカ系の良作。
ポチップ