2016年ベスト・トラック20

今年は久しぶりに曲編とアルバム編を分けることにしました。ということで2016年に発表された作品の中から20曲選出しています。特に順位付はしていません。


■ BABYMETAL – Karate

METAL RESISTANCE(初回生産限定盤)(DVD付)

ひたすらセイヤ・ソイヤ戦って世界戦線で結果を出し続けるベビメタさま。日本古来の武士道をテーマに、メタルコア~Djentを経由したヘヴィなサウンドで武装しつつ、キャッチーさをも併せ持った曲。発表以降、瞬く間に彼女たちを代表する1曲となりました。世界の名だたるバンドたちとの共演という夢物語を現実に変えていってる活躍、素晴らしい限りです。

 

■ THE NOVEMBERS『美しい火』

ハレルヤ

活動11周年目に発売した6thフルアルバムより。様々なジャンルを取り込みながら、独自の耽美性でもって再編していく彼等。本曲では普遍性を保ちながら、小林さんの艷やかなファルセットと祝祭のようになるトランペットが美しさを際立てます。歌詞にある「あらゆる美しいものが僕の世界を変える」という一節がまた好きなところ。

 

 

■ Overhead, The Albatross 『Big River Man』

ota16

アイルランドのインスト・バンドの1stフルアルバムより。この曲は静から動へというよりかは、立ち上がりから重厚なグルーヴで牽引し、時間をかけて多種多様な楽器を伴いながら紡ぐ轟音シンフォニー。ゆえに最上のカタルシスを提供してくれます。インスト・ポストロックの名曲認定に推したい楽曲です。

■ Savages『The Answer』

adore life

UKガールズ・バンド4人組の約2年半ぶりの2ndアルバムより。ダークな雰囲気をまといながら猛々しく突き進む勇ましさがあり、そこに乗る艶めかしいヴォーカルが新鮮でした。女性の握りこぶしは強さの象徴である、という格言を学ばせていただいた気分であります。MVはポストパンクでパーリーピーポーする好例(笑)。

 

■ sora tob sakana『広告の街』

sora tob sakana

4人の少女とハイスイノナサ・照井さんの挑戦。少女たちの無垢であどけないヴォーカルとマスロックで聴き手をふるいにかけます。下の動画見ていただけるとわかると思いますが、こんな狂った曲をアイドル・ソングに落とし込むんだから恐ろしや。アルバムでは#2「夏の扉」と#4「夜空を全部」、そしてこの曲が群を抜いて質が高かったです。

■ D.A.N.『Native Dancer』

D.A.N.

“いつの時代でも聴ける、ジャパニーズ・ミニマル・メロウを追求すること”をバンドのテーマに掲げる東京出身の3人組。生楽器と電子音が有機的に結びつき、ゆとりのある空間を紡ぐ。ゆらゆら揺れる系の音楽ではありますが、夜の海に自然と溶けていくかのようなムードが上手く作れているなあと感心します。歌謡性のあるファルセットもまた滋味深い。長澤まさみさんもイチオシカラダにピース!な音でありますよ、みなさん。

■ Alcest『Je Suis D’ailleurs』

KODAMA

ブラックメタルへの揺り戻しがあった5thフルアルバム、タイトルは「Kodama=木霊」。『もののけ姫』にインスパイアされたり、山本タカト氏風にしたというアートワークなど日本からの影響が強い作品です。レビューでは#1「Kodama」が特に印象的と書いたのですが、聴き直すとポストブラック要素を復興させ、幻想的な世界を紡ぐこの曲を推したい。5分以降の展開なんてまさしくNeige君の魂の場所・フェアリーランドへの旅立ち。ただ、やっぱりジブリの影響が全くわからん(汗)。

■ Touche Amore『Skyscraper』

STAGE FOUR

DeathwishからEpitaphへ移籍しての4thフルアルバム。鉄砲玉のような疾走感とメロディの同居、そしてヴォーカルが青筋立てながら叫び続けるのがバンドの肝でしたが、本作においてはもっと大きなフィールドへ立ち向かおうとする意志が感じられます。アルバムを締めくくる本曲は、女性若手SSWのJulien Bakerがゲスト参加。悲哀をこれでもかと積んだレクイエムのようですが、しっとりとした歌ものから後半では叫びを入れてくるのが彼等らしい。

■ BiSH『オーケストラ』

KiLLER BiSH

BiSH史上最高とも言うべき楽曲でしょう。別れを惜しむような歌詞とストリングス、アイナのハスキーな歌声が濃厚に引きたて、美しい瞬間を次々と映し出す。これまでと違った形でBiSHらしいエモさが惜しみなく表現された壮大な1曲であり、新たな代表曲。

■ Deftones『Prayers / Triangle』

Gore

オルタナティヴ・ロック界の重鎮の新作から。要所でヘヴィな波動を紡ぎ出してはいますが、引き込むようなギターの音色とチノのヴォーカルが美しさ/儚さ成分を存分に提供してくれています。格別の浮遊感に大人の色気みたいなのも感じられて、長年に渡って一線級でやってきている人達だなあと実感。極上空間これまさに。

■ Nocturnal Bloodlust『Malice against』

ZeTeS

筋肉の向こう側へと突き進むヴォーカルが率いるラウドロック5人組のミニアルバムからのリード曲。えげつない演奏と展開力、1曲にどれだけの情報と熱量を込めるんだってぐらい凝縮してある。ヴォーカルは異様にマッスルだし。デスコアというかエクストリーム・メタルというかもうわからんけど、とにかく他を圧倒する力があります。彼等ってまだ本気じゃなく、余力残してるように感じるのが末恐ろしいところ。

■ きのこ帝国『愛のゆくえ』

愛のゆくえ(初回限定盤)(DVD付)

映画「湯を沸かすほどの熱い愛」の主題歌として書き下ろされた1曲。年々、歌ものとしての側面を強めていますが、この曲ではシューゲイザー要素を復活。愛する人との別れを経て、”生きてくの”と決意する詞世界ですが、それを慈愛を込めて表現する佐藤さんのヴォーカルがただただ切なく胸に響きます。

■ Bon Iver『33 “GOD”』

22, A MILLION

5年ぶりとなる3rdアルバムより。グラミーを受賞するまでのアーティストになった彼ですが、本作ではかなり実験的。その中でも声を重ねながら立体感のある美しいハーモニーを聴かせる「33″GOD”」に神を感じた次第。

■ OVUM『Nostalgia』

Nostalgia

国産インスト・バンドが10年目にして大きな変革があった3rd EP。”Metal oriented instrumental rock”と自身で評したように、メタル要素を取り込んだインストを展開しております。「無骨でタフで生々しい表現をしたかった。」と語るこの曲は、メロディアスなパートを盛り込みつつ、重厚なリフとツインペダルを用いてゴリゴリに攻めてきてカッコいい。そして、弊サイトのインタビューにご回答いただき、ありがとうございました。

■ NOTHING『Vertigo Flowers』

Tired of Tomorrow

各方面への◯ァック発言で問題を起こしてしまった人を要する、オルタナ~ハードコア+シューゲイザーな4人組の2ndアルバムより。わかりやすいぐらいにメジャー感を伴った疾走系シューゲ曲。UKへの憧れが本曲ではよく出てるかなと思います。しかしながら、このMVでの無邪気さは一体(笑)。2017年1月にはまさかの来日を果たします。

■ LiSA『Brave Freak Out』

Brave Freak Out(初回生産限定盤)

キャッチーで疾走感があって弾けるようなロック。近年のLiSA印的な曲調だと思うのですが、彼女が曲を出すごとに歌唱がパワフルに進化しており、さらに突き抜けるエネルギーを感じさせるのかなあと。それにこの曲はベースラインがカッコいいと思いますし、中盤の鍵盤の使い方も良いですね。

■ 星野源『恋』

恋

説明不要の2016年を代表する曲。例のドラマを見てないわりにかなり聴いています。ラジオでも恋洗脳かというぐらいかかってたのを聴いてたし(笑)。とてもキャッチーだし、アレンジもすごい凝ってて、二胡やマリンバ等もユーモラスに響く。「SUN」に続いて楽しくなる1曲かと思います。そもそもバックがギターに長岡亮介、ベースにハマ・オカモト、ドラムが河村智康で振り付けにMIKIKO(-METAL)という盤石さですしね。忘年会で恋ダンスさせられなくてよかった。

■ Oathbreaker『Needles in Your Skin』

RHEIA (レイア)

おっかねえちゃんねーこと女性Vo.Caro Tangheを要するポストハードコア・バンドの3作目より。Chelsea Wolfe姐さんのような艶めかしいヴォーカルを序盤で披露したかと思うと、急激に加速してドラマティックな爆走劇と痛烈なシャウトを浴びせる。体中の血が煮えたぎる体験をあなたに、そんな7分15秒。

■ Jambinai『They Keep Silence』

世界の名だたるフェスに出演している韓国の男女混成インストゥルメンタル・トリオ。韓国の伝統音楽である「国学」をポスト・ロック~ドゥーム・メタル~フュージョンといった要素と融合させて、世界的に評価されています。300人近い死傷者を出したセウォル号沈没事故について書かれたこの曲は、政府に対しての怒りを壮絶な演奏に乗せて解放。クライマックスのアンサンブルは本当に凄まじいものです。

■ 陰陽座『愛する者よ、死に候え』

迦陵頻伽

妖怪ヘヴィメタル・バンドの13作目から。自身最大のヒット曲である「甲賀忍法帖」と関係の深い本曲は、歌謡性抜群の男女ツインヴォーカルの情緒、ドラマティックなストーリー展開で魅了。魂を喰らう熱さがここにあります。


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