溶けない名前 インタビュー ~歌謡シューゲイザーが呼び起こすノスタルジー~

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 「最近、良いバンドいない?」ともし問われたとするならば、僕は真っ先に彼等の名前をあげたいです。そのバンドの名は【溶けない名前】。80年代の歌謡曲、そしてMy Bloody ValentineやRideなどに代表されるシューゲイザーをミックスした”歌謡シューゲイザー”を看板に掲げて活動する4人組であります。2012年に名古屋で結成され、男女ツインヴォーカルや懐かしさを漂わすメロディを中心に聴き手各々の”ノスタルジック”を呼び起こす音楽性が反響を読んでいます。昨年に手にした自主制作音源『おやすみA感覚ep』と『おしえてV感覚』は挨拶代わりどころか、彼等に病みつきになるには十分な作品でした。

 そんな溶けない名前さんたちのメール・インタビューを弊サイトで掲載します。10月7日にリリースされた初の全国流通盤となった1stアルバム『タイムマシンがこわれるまえに』を聴き、是非ともインタビューしたいと思ってお願いしたところ、快諾いただいたことで実現。メイン・コンポーザーのイトウさんに1stアルバムのことを中心に、色々とお話を伺えました。まだまだ未聴の方は本記事で興味を持っていただき、ソーダ室へすぐ向かってください。

溶けない名前 ‐ Interview

―― ライヴへ足を運んだ際に元メンバーのニワさんから伺っている点もありますが、改めて溶けない名前の結成について教えて下さい。

僕とニワさんが2012年の春くらいにスタジオに入ってセッションしたのがきっかけです。ニワさんとは溶けないの前にも一緒にバンドをやっていたのですが、当時はお互いにバンドをやっておらず暇だったので、スタジオでも入ってみるかと軽い気持ちで。その後、色々と友達も呼んでセッションをしてました。そのセッション会のメンバーの中にソガベくんとうらんさんもいました。そのうち一番予定が合う四人でレギュラー化していったのですが、ずっとセッションだけじゃ退屈だから曲でも作ろうかとなったのが始まりです。あまり「結成」感はありませんでした。

 

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―― 溶けない名前といえば、自身で用いているキャッチコピー「歌謡シューゲイザー」という言葉が真っ先に浮かびます。最近では、「思春シューゲイジングJ-POP」と表現されていたりもしましたが、このような音楽性になったのはなぜでしょうか。

「歌謡シューゲイザー」を自称したきっかけは、溶けない名前で、一番最初に作った「刺したい」「ソーダ室へ行こうよ」の原曲が歌謡曲風のメロディだったこと。僕がギターをかき鳴らしたらシューゲイザーっぽいねとメンバーにいわれたことが始まりです。「歌謡シューゲイザー」という看板、キャッチコピーがあることで、逆に自由に曲作りができている気がします。「思春シューゲイジングJ-POP」は今年9月にライブイベントに出た際、ライブハウスのスケジュールの煽り文に載せていただいた文章なのですが、とても気に入ったので今後使わせて頂くかもしれないです。

―― 今年の春には、伊藤つかささんのデビュー曲『少女人形』のカバーをyoutubeにアップされています。バンドとしてはこういった歌謡曲側にルーツがあるのでしょうか。また、こちらの曲を選んだ理由はなぜでしょう。

80年代アイドル歌謡がとても好きで、中学生のときからよく聞いていました。作詞家の松本隆さん(元はっぴいえんど)を尊敬してます。男性の作詞家なのに少女のときめき感を出すのが天才的に上手いです。また、80年代角川映画が青春の原点かもしれないです。薬師丸ひろ子さんがとにかく好きでした。中でも「探偵物語」が好きで主題歌も何度も聞きました(作詞・松本隆、作曲・大瀧詠一。おかっぱの薬師丸ひろ子が度肝抜かれるほど可愛いのでぜひ見てください)。

「少女人形」を選んだ理由はタイトル、メロディの歌謡感はもちろんですが、「他の3人が原曲を知らない」というのが一番大きかったです。いつも弾き語りをメンバーに送ってスタジオでセッションして曲を作るのですが、それと同じ作り方ができたので。「セーラー服と機関銃」を一度カバーしようとしましたが、原曲に引っ張られて少しうまくいきませんでした。

タイムマシンがこわれるまえに

―― 続いて、1stアルバム『タイムマシンがこわれるまえに』の発売、おめでとうございます。これまでに発表した『おやすみA感覚ep』『おしえてV感覚』という2枚の作品を踏まえての1stアルバムになりますが、どういった作品を目指しましたか?

よりメロディや歌詞が強調されるような作品作りを目指しました。
『A感覚、V感覚』 → 歌謡:シューゲイザー = 4:6
『タイムマシンがこわれるまえに』 → 歌謡:シューゲイザー = 6:4のイメージ。

―― アルバムの収録曲は、1年以上前から既にライヴで披露されている曲が並んでいます。まだまだ曲のストックはたくさんあるそうですけれど、今回の8曲はどのようにして選んだのでしょうか?

時系列です。『おやすみA感覚ep』『おしえてV感覚』はバンド結成(2012年3月)~2013年はじめ頃までの曲。『タイムマシンがこわれるまえに』は2013年春~2014年春頃までの曲です。A感覚、V感覚の時代にライブでやったけど音源に収録されていない曲が1曲だけあります。「睡眠抄」はボツになりかけましたが生き残りました。

―― 上記のことを掘り下げるために少し脱線しますが、楽曲制作のサイクルが早いですよね。ライヴへ行ってみたら聴いたことのない曲があったりしますし、youtubeSoundCloudにも練習段階の新曲をどんどんアップされています。この意図を教えて下さい。

楽曲制作のサイクルが早いのは、セッションから始まったバンドだからかもしれないです。自分が歌詞とメロディだけの弾き語りを作成し、それをスタジオにてメンバー全員で繰り返し合わせて曲を完成させるスタイルでずっと曲作りを行ってます。

初期の頃は「せーの!」で合わせたら曲がほぼ完成形になることも多かったです。また、セッションでピンと来ない時に原曲をボツにするスピードも早かった。最近はたくさん曲を作って、各々の要求精度が上がったのか、苦労しながら曲を作ってます。練習音源をアップするのは単純に聞いてくれたら嬉しいなと(笑)。 正式な音源にするまでにはタイムラグがありすぎるので。

 

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―― 作品の話に戻ります。聴いているとやっぱり「思春期へのノスタルジー」を大事にされているなあと思います。歌詞に関してもそういったテーマが多いように感じますし(女性視点というのはありますが)、メロディが懐かしい気持ちをもたらしてくれますし。

レトロ感、80年代歌謡感は非常に意識したので、そう言ってもらえると非常に嬉しいです。自分の好みとしてどうしてもノスタルジックなものに惹かれます。

―― 本作においては、男女ツインヴォーカルやメロディがさらにまろやかで柔らかく、情緒的になっているように僕は感じました。洗練されたという表現もできると思いますが、サウンド面ではどういった点を意識しましたか?

歌メロ、ヴォーカルをちゃんと聞かせようという意識はありました。ただ、それだけだと本当に歌モノになってしまうので、シューゲ的な要素をどれだけかけあわせるかというところは、メンバーとエンジニアさんと共に苦心しながら制作しました。

―― ちなみに楽曲の制作において大事にされていることはなんでしょうか。

歌詞とメロディとキーボードのフレーズ。80年代感。レトロ感。いい意味でダサいかどうかですかね。歌詞は文字として目に入ったときの雰囲気にもこだわっています。一度で良いので、歌詞カードを読みながら曲を聴いて欲しいです。

―― 基本的に作詞作曲はイトウさんが手掛けられていますが、そのインプットやアイデアはどこからきているのでしょうか。

歌詞は、読書(小説、詩集、短歌、漫画)。他人との会話。夢日記。そこから思いついた言葉を携帯に断片的にメモして、作った曲と組み合わせることが多いです。曲のアイデアはセッション内でバンドメンバーにかなり任せてるところが大きいです。特にキーボードフレーズのキャッチーさはすごいかなと。

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―― そして毎回思うのですが、曲名にしてもアルバムタイトルにしても独特のネーミングをされています。例えば、『タイムマシンがこわれるまえに』で言えば「√2匹」や「カルピスちゃん」など。文学チックでもあり、シュールな感じもしますが、タイトルに関してはどう考えてつけているのですか。

一応、自分の中での規則として「ネット検索して同じものがほぼ出てこない」タイトルをつけるようにしてます(引用除く)。あとは俳句、短歌でいう「二物衝撃 (注釈:異なるイメージをもつ具体的な二者を対峙させることにより、一句を成立させる方法。「ロボットと詩集」「感じる計算機、二十一歳」などが該当すると思われる)」を用いてみるなど。何とか一目見た時に引っかかりのあるタイトルを付けようと模索してます。

―― これまでの作品のアートワークは、一貫してセーラー服の女子高生となっています。これは歌謡シューゲイザー、ノスタルジックな音楽というところから自然にジャケットにも表れていることなのでしょうか。

単純な好みもありますが、歌詞や曲のイメージとして使いたいなと。セーラー服も色々ありますが、襟にラインが入ってて、赤いスカーフのレトロ感のあるセーラーが至高ですね。

―― アルバムからは#4「カルピスちゃん」のMVが先行して公開されました。監督はホラー映画「骸 ‐MUKURO‐」を手がけた佐々木勝己さんで、モデルとして野村明里さんが出演(1stアルバムのジャケットも彼女を起用)。この曲をチョイスした理由、そして佐々木勝己さんに依頼した理由を教えて下さい。

佐々木監督とは、「骸 ‐MUKURO‐」の中に収録されている「SWEET HOME INFERNO」という作品において、溶けない名前の「こわいせいめいたい」を使用させて欲しいというDMを頂いたのが知り合うきっかけでした。その際、編集途中の作品を見せてもらったのですが、作品&野村さんの狂気と美しさに惹かれました。曲のチョイス理由なんですが、実はあまり覚えていないです。依頼当時、ミックスが仮段階だったので、最も完成度の高かった曲を複数送付したと思います。

―― 最後にアルバムのレコ発ライヴとなる、11月21日(土)の京都公演、12月19日(土)の名古屋公演について伺いたいと思います。これまでの活動のひとつの区切りになると思いますが、言える範囲で構いませんので、どういったライヴになりそうですか。

A感覚、V感覚、タイムマシンからも曲やりますが、最近さらに曲を作ってるので、新曲もどんどんやりたいと思ってます。対バンも素敵なバンドさんばかりなので、ぜひ見に来てください。詳細まだ発表してないですが、東京レコ発finalの対バンもとても素敵です。

溶けない名前 ‐ Information

 

全国初流通音源となる1stアルバム『タイムマシンがこわれるまえに』が発売中。amazon、DISK UNION、Tower Records、FILE-UNDER、ototoy等で入手可能となっています。アルバムからは「カルピスちゃん」、「感じる計算機、二十一歳」、「少女の官能基」のMVが公開中。

 

 

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【タイムマシンがこわれるまえに レコ発 京都編】

  2015/11/21(土)  京都Annie’s Cafe

  OPEN:17:30 START:18:00
  ADV:2,000円 DOOR:2,500円

  出演
  ・me in grasshopper
  ・Whisper Voice Riot
  ・ダイナソーパーティ
  ・チルコ

【タイムマシンがこわれるまえに レコ発 名古屋編】

  2015/12/19(土)  名古屋新栄Lounge Vio

  OPEN:18:00 START:18:30
  ADV:2,500円 DOOR:3,000円

  出演
  ・POLTA
  ・Float down the Liffey
  ・headache
  ・APPLE LIGHT
  ・コルカロリ(ライブペイント)

【タイムマシンがこわれるまえに レコ発 東京final 「17歳で死んだ少女の名前」】

  2016/02/13(土)  渋谷LUSH

  出演
  ・死んだ僕の彼女
  ・少女スキップ
  ・17歳とベルリンの壁

※ 来年1月に東京・大阪でのライヴを予定しています。詳しくはオフィシャル・サイトにて。

溶けない名前 ‐ Links

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OFFICIAL SITE : http://tokenainamae.tumblr.com/
Twitter : http://twitter.com/Tokenainamae
FACEBOOK : http://www.facebook.com/溶けない名前-257538537697806/
SoundCloud : http://soundcloud.com/tokenanamae
Bandcamp : http://tokenainamae.bandcamp.com/

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