2010/11/10 VOLCANO CHOIR / COLLECTIONS OF COLONIES OF BEES @ 名古屋今池HUCK FINN

volcanochoir

 シングル『Blood Bank』がビルボード初登場16位を記録し、アルバムはロングセールスを記録、そして最近ではKanye Westの新作にヴォーカリストとして全面参加した売れっ子シンガー、Bon Iver(ボン・イヴェール)と90年代を代表するミルウォーキーのインスト・ポストロックバンド、Peleのメンバーが結成したCollections of Colonies of Beesの合体ユニット、Volcano Choir(ヴォルケーノ・クワイアー)が急遽、来日することになった。完全にリリース・オンリーのユニットであったそうなのだが、コロちゃんの新作リリースに伴った来日公演を交渉した際にBon Iverも一緒にどうだ?と話したらあっさり来日が決まったらしい。なんじゃそりゃあという感じなんだけども、世界でもめちゃくちゃ貴重なライヴがここ日本だけで見れる!というわけでVolcano Choirのツアーの名古屋公演に足を運んできた。そんな価値あるライヴを見てみようと会場の今池HUCK FINNもかなり盛況だったご様子で多くの人が訪れていた。

  
Giving toe:COLLECTIONS OF COLONIES OF BEES (SPLIT) Birds

 まず、19時10分ぐらいからCollections of Colonies of Bees(コロちゃん)の演奏がスタート。昨年もtoeとのスプリット・ツアーでライヴを拝見したが、これぞポストロック!と評すべき、ミニマルなギターを軸に、叙情の揺らぎとアグレッシヴで強靭なサウンドがパズルのように組み合わされたインスト・サウンドを展開。1曲がどれも10分近くあるけど、エッジの立ったギターで切りこんだり、ラップトップからの緻密なエレクトニクスが絶妙に空間を彩ったり、幹となってしっかり根をはるドラムの精微な組み立てであったりが見事に噛み合い、駆動しながらラストの凄まじい爆発へと繋がっていく。

 モグワイやMonoのように叙情→ドカーンの轟音って感じではなく、算段されたマスロックっぽい構成を取りながらも、最後に爆発していく感じって表現したらいいか。わかりやすくいえばtoeなんだけど(ってか、toeは売れる前まではPeleに似てるといわれてましたので)、曲によってはジャズっぽいニュアンスがあったり、ポップスにも接近した表情を見せたり、エレクトロニスの空間性やドローンっぽい部分もあるのが面白い。特に、今ツアーを最後に脱退を表明してるドラマーJon Mullerの精微なドラミングには目を奪われ、強弱のコントラストはもちろんのこと、ダイナミックなドラムさばきは素晴らしく、さすがの実力を示していた。

 何気に本日が誕生日だったというメタボ体系のギタリストChris Rosenauは、バカテクで楽曲を美しくリードしてたのに加え、ほぼ眼をつむり口を半開きにした恍惚とした表情で演奏している事が多かったのも印象に残っている。多分、新作からの曲含めて4曲40分ぐらいのステージでしたが、美しいメロディラインが共鳴を呼び、加熱していくアンサンブル、昇天のグルーヴが一気に轟音をなだれ込ませたラストは本当に素晴らしかった。昨年、見た時は存在すらろくに知らなかったのだが、今晩は十分に楽しむことができたし、Mullar氏の最後のツアーに恥じないライヴだったと思う。

UNMAP Repave

 バンド・セットはそのままで(バックの演奏はコロちゃんなので)Bon Iverが使うエフェクターみたいなのが転換中に用意され、20分程の時間を挟み、お待ちかねのVolcano Choirが登場する。Chrisがアコギをおもむろに弾き出し始まったのは現在唯一のアルバム『Unmap』に収録されている「Hucks And Shells」。灯火のように繊細に揺れ動くような静かなサウンドにBon Iverが声をエフェクトで加工しながら情感を吹き込んでいく。Bon Iver、左の靴に穴あいてんじゃねえかと不謹慎な事を思いつつも、声で完全に場の空気を支配したのは見事の一言につきる。エフェクターで巧みに処理しながら自由自在に操られる歌声は、加工されているにもかかわらず、なぜか人的な温もりを感じさせる不思議さがあった。

 カントリー調~ゴスペル、フォーキー、アヴァン・ポップというべきものまで七色に姿を変えていく楽曲からは、間違いなく密教のような雰囲気があったし、異郷ともいうべきものが眼前に広がる。だが、喜怒哀楽の感情がしなやかに表現されていて、踏み込んでいくとホロリと胸を打たれてしまう。コロちゃんという素晴らしいバックグラウンドはあるにせよ、この豊穣な音色には確実に心を掴まれた。時にはささくれて激しく、時にはしっとりとしめやかに、どこの場面でも巧みにコントロールされた演奏、そして歌の噛み合わせは生でこそより鮮明な魅力を発揮していたように思う。「And Gather」では、コロちゃんのドラムと下手にいたラップトップ奏者を覘く4人がいきなり手拍子(しかもそれが全員別々の拍を取っていたのが興味深い)で盛り上げたり、しめやかなコーラスワークで風を送り込んだりしていたのも印象深い。また、どの曲にも陰陽の立体感が出ており、叙情のふくらみも陽性のヴァイヴも儀式的雰囲気もひっくるめて彼等の世界をより深いものにしていた。おそらく『Unmap』の曲を全部やった本編は約50分程かかって終了した。

 アンコールではコロちゃんの曲かPeleの曲かはわからないけど演奏。そのコラボレートがまた素晴らしいもので、バンド全体のエネルギーが螺旋を描きながら天へと昇り続け、Bon Iverの感情一杯に絞り叫びだした声(もちろんエフェクターを巧みにいじってる)と混じり合いながら繰り出された最後の轟音には体全体で歓びを表現したいぐらいに感動した。貴重な体験、まさしくその通り、いやそれ以上の言葉にならない感覚に陥るものを感じた次第。これが最初で最後と言われているけども、「また絶対に戻ってくるよ」みたいなことをMCで言っていたので、最初で最後ってことにはならないと思っている。もちろん、この世界は一度のツアーで永眠させるのにはもったいないのは言うまでもない。とりあえず、今はVolcano Choirの初めての公演を日本で見させてくれた関係者に感謝を述べたい。

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