【ライブ感想】2011/09/04 leave them all behind 2011 @ 渋谷O-EAST

 2年半前に行われたleave them all behindに受けた衝撃は未だに強く残っています。昨年に解散してしまったISISを始めとして、SUNN O)))にGrowingといった海外勢、そして本日2回連続の出演となったBoris、envyが6時間にも渡って繰り広げたステージ。

 それはひとつの芸術に至るまでの過程を内包していたかのようでした。会場に集まった全ての人々に痕跡を残す。強烈なイベントだったのです。

 約2年半ぶりに開催される第2回目は、海外アーティストこそいません。しかしながら結成してそれほど間もなく海の向こうを意識し、自己鍛錬をストイックに重ね、多くの人々に認められてきた国内の強者がそろいました。

 荘厳で気高いインストを奏でて人間の核心に迫るMONO、ハードコアを長きに渡って昇華し続けるenvy、様々なジャンルを横断しながらノイズを探究し続けるBoris。三者三様の音楽ですが、世界で活躍する点を含めても共通項は多い。そんな全3バンドが共に70分超のフルセットで渡り合う一日を体験してきました。

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ライブ感想

Boris

 先陣を切ったのはBoris。3月から5月にかけて連続発表された3枚のフルアルバムは、意表を突く巧妙さとジャンルの振れ幅の広さにこのバンドに対する認識の甘さをひしひしと実感していました。

 しかしライヴではやっぱりBorisだといえる大音響。オープニングの「決別」で凄まじい轟音が打ち鳴らされた瞬間から違う空気に包まれます。妖しさを助長するスモークと共にサイケ度がぐんぐんと増していく。

 ライヴ自体は新作3枚が中心となって進む。意識的に向き合ったポップな表現力が目立つ異色の「Party Boy」やファンの度肝を抜いた「フレア」の存在が光り、10分を軽く超える「Missing Pieces」では静謐から発展していく重厚なサイケデリック世界に眩惑される。

 まるで同じバンドとは思えないこの幅の広さがまさにBoris。ジャンルという垣根や制約を取り払いながら自らの音を探究し続けています。また、中盤から後半にかけては轟音ロックンロール・チューンの「Statement」や「Pink」といった曲も飛び出してフロアを揺らし、ラストの「Aileron」ではたそがれた哀愁を醸し出しながらもヘヴィ・ドローンにズブズブ。一筋縄ではいかない魅力、多様性を十分に見せつけた75分超のライヴでした。

—setlist—
01. 決別 -Farewell-
02. Attention Please
03. フレア
04. Party Boy
05. Statement
06. Missing Pieces
07. Riot Sugar
08. 1970
09. Pink
10. Aileron

メインアーティスト:Boris
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MONO

 続いてはMONO。国内屈指のインストゥルメンタル・バンドとして君臨する彼等の日本公演は、昨年4月に行われた滋賀公演以来で1年半ぶりです。しかしながら、人間の一番深い部分にまで届く重みと深みを感じさせるライヴを今日も体感させてくれました。

 セットリストは09年に発売した5枚目のアルバムからわずかな変化。ただ、いつ体感しても独特の緊張感に包まれ、胸が張り裂けるほどの哀しみと歓喜が押し寄せてきます。静と動の中でたゆたいながら、ドラマティックに綴られ、心を鷲掴みにする壮大な楽曲の数々。孤独の果てを知っているかのような旋律が刻まれ、慈愛のメロディが鳴り、様々な感情が渦巻く大轟音が凄まじい音圧で響く。

 「Ashes In The Snow」から揺るがない個を感じさせるライブ。生きる事を力強く肯定するエネルギーの増幅、そして生命の尊さを訴える様な重みを公演中に何度感じた事か。月光が照らすような美しさと勇ましさが同居する珠玉の「Moonlight」による締めくくりは、余計に感動的。

—setlist—
01. Ashes In The Snow
02. Follow The Map
03. Burial At Sea
04. Pure As Snow
05. Sabbath
06. Halo
07. Moonlight

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envy

 トリがenvy。わたしも参加した先頃のフジロックでのライヴは素晴らしかった。だから今回も大いに期待したましたが、当然のようにそれに応えてくれる内容でした。

 奇しくも偶然か第1回目のltabと同じ「歪んだ先に」で幕を開け、続く「千の痕」で眩いばかりの光と轟音が会場全体を包み込む。力強さと繊細さ、その両方を織り交ぜながらのダイナミックな曲展開にはグイグイと引き込まれ、激しく胸を震わされました。

 幾度対峙しても心身を突き動かすエネルギー、envyのライブにはそれがあります。中盤では初期のハードコア曲「左手」に煽られ、待ってましたとばかりに会場が暴れ出す。「擦り切れた踵と繋いだ手」「終わり行く夢」が畳みかける様に演奏された時もまた尋常ではない狂騒。

 ラストの「0 and 1」では巨大な岩石の落下を思わせる非情で重い音が炸裂し、茫然。演奏頻度の少ない曲だけに衝撃的な結末でした。

—setlist—
00. Guidance / 先導
01. Further Ahead of Warp / 歪んだ先に
02. Thousand Scars / 千の痕
03. A Cage It Falls Into / 堕ちてカゴへ
04. Left Hand / 左手
05. As Serenity Calls Your Name / 安らぎが君の名を呼ぶように
06. Scene / 風景
07. Worn Heels and the Hands We Hold / 擦り切れた踵と繋いだ手
08. Dreams Coming To An End / 終わり行く夢
09. Light and Solitude / 灯と孤独
10. Go Mad and Mark / 狂い記せ
11. 0と1

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おわりに

 第1回目と並んで濃密な時間が集まった人々には刻みこまれたことだろう。今回集まった3バンドに主宰者が『leave them all behind』の冠を託した想いを理解できたはず。三者が高い次元で共鳴し合うことで成立した本イベント、素晴らしかったです。ということで京都も向かいます。



お読みいただきありがとうございました!
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