2012/05/09/ Mark McGuire @ 代官山UNIT

CA3F2553 個人的に去年にようやくその存在を知って、かなり愛聴したのがMark McGuireになる。USオハイオ州クリーヴランドの音響トリオ・Emeraldsの一員として知られ、Pitchforkなどを始めとした専門誌で高い評価を獲得。そこから数多くの音楽愛好家に拡がり、日増しにその存在感を高めている。マニュエル・ゲッチングよろしく!なギターにテリー・ライリーやス ティーヴ・ライヒ等からのミニマル・ミュージック、さらにはアンビエント~ドローンに現代のインディーロック~チルウェイヴまでが舞う彼の音楽は、昨年末 に『Get Lost』が国内盤発売となったことからもわかるように、ここ日本でも徐々に盛り上がりの様相を見せてきたなかでの今回の来日である。まあ今年辺り、来日 しそうだなあと予想してましたが、本当に来日するとはね。そんなわけで名古屋飛ばしにはあいましたが、東京まで高速バス往復で見に行って参りました。そし て、ミーハー丸出しで1.5列目ぐらいで見てました(笑)。

 1番手にDMBQ, Boredomsの増子さん。お綺麗な女性ベーシストを引き連れての情念のサイケデリック・ドローンを30分近く展開してビビる。ソロは全く知らないので (DMBQもちゃんと聴いたことないけど)、まさかこんなことしてたとはねえ。サイケデリックな触感のギターから突如として魔物のような轟音が降臨して、 世界がまるっきり切り替わる。そこに加わる太いミニマルなベース、そして情念のこもった男女の声。まるで新しい感覚の扉を開くような儀式の様でもあり、一 瞬の静寂すらも身を引き締めるように響いてくる。初っ端からディープな体験させられたという気持ちは強く、この轟音ドローンは客層にはあって無かったかも しれないけどインパクトは大きかったはずだ。

 そして、青葉市子さん。まだまだお若い1990年生まれの女性でございます。白いワンピースのような衣装をまとってお人形のような印象だけど、仕草を見 ていると萌えという言葉が結構似合う感じ。そんな彼女が軸に据えているのは、涼やかなアコギとふんわりとした歌による弾き語り。クラシック・ギターの要素 が強いとのことだが、確かに普段耳にする様なギター弾き語りとはちょっと違う。スパニッシュ的なフレーズも出て来たように感じたし、綺麗な運指から繊細な 音がこぼれてくる。声も繊細だが芯の強さを感じさせるもので、目を瞑りながら歌う中で、その中で眼をあけて歌っている時には感情が一層強く乗っているよう にも感じた。こちらも30分ぐらいで5曲ほど演奏。「青葉市子です」とMCの紹介や笑顔、そして前髪パッツンと萌えポイントは潜み、始まる前にカメラマン に撮っちゃダメって仕草をした時は反則でした(笑)。ちなみに今回はストイックな選曲と言ってたけど、「ええ!? これでストイック!?」と思ったのは内緒です。あと、後ろのバーカウンターの方がとても騒がしくて残念だった。

Get Lost Living With Yourself A Young Persons Guide

 21時15分ぐらいから待望のMark McGuireの登場。ステージには足元にわけわかんない数のエフェクターを準備し、ギターだけでなくベースと椅子も用意されてた(椅子はすぐに後ろの方 にどかしたけど)。そして、自己紹介と今回の来日への感謝を軽く述べてから、演奏を開始。

 やはりマニュエル・ゲッチング先生を思い出さずにはいられないギターを軸足に据え、多重録音で様々な美しいフレーズを重ねていく。エフェクターを自在に 操りながら川のせせらぎのように滑らかな音色から、ディレイのかかったギター、それにサンプリングも交えながら往年のジャーマン・ロックからの影響を垣間 見せるも独自の美学を基に音を積み重ね、増幅させていくような感じ。それがやがては大河のように巨大な存在となっていく中で、聴かせどころでは感情の迸る ようなギター・ソロを展開。ミニマル・テクノにも似た陶酔感と昂揚感に加えて、ギター弾きらしい”泣き”の要素が人々の心に深く染み渡っていく。1曲目か ら20分を超える演奏にも関わらず、驚くほど劇的でダイナミックな展開が時の流れを全く忘れさせていた。

 次の曲では、シンセサイザーや声のサンプリングに加えて(iPodみたいなので流してたみたいに見えたけど)、かなり様になっていたベース・プレイも披 露。こちらも変わらずに多重録音で次々とフレーズが重なっていくが、こちらの曲の方が使用した楽器も多いせいか表情がより豊かに感じられ、曲の終盤では自 らの声を音響の一部として響かせていたのも印象的であった。アンコールではようやく知ってる曲だ!の「Get Lost」を披露し、煌びやかなシンセと幽玄なギターがあまりにも鮮やかに会場を包み込んで終演。丁寧におじぎをし、ステージを去っていく様には清々しく も逞しいものを感じたのであった。Mark McGuireの千紫万紅のギターが奏でる目眩く世界。遠くからはるばる足を運んで良かったと心から思える素晴らしいライヴであった。

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