2013/06/22 cali≠gari “caliversary in YAON 2003-2013 「死せる青春」” @日比谷野外音楽堂

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『10年前の今日にここで一度終わりまして。活動休止とかいいながら、実質終わったようなもんなんですけど。10年経った今、青春狂騒曲をまたこの4人で演奏できてうれしいです。』

青さんの言葉通りに、cali≠gariは10年前に一度は終わった。それから10年経った今、こうして何かと縁の深い野音に同じ4人で立っている。また多くの人々に夢を見させてくれている。10年前には、こんな未来が待っていたなんてにわかに信じがたい。でも期間限定で4年前に一度復活し、それから本格的に活動を再開。そして、10年後の同じ日・場所でライヴが現実に行われるとは嬉しいものですね。

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というわけではるばる日比谷野外音楽堂まで、cali≠gariのライヴを観に来ました。去年、ようやく初めて見たcali≠gariのライヴはムック、lynch.をゲストに迎えたイベントであり、ワンマン公演を見るのは今回が個人的に初(ついでに言うと野音も初)。

10年前に活動休止公演を行った場であり、そして同じ日にちということ。さらに【黒服限定】という特殊な条件が揃った本公演は、『死せる青春』と題されていて、驚く様なライヴになるのではないかと期待は大きかった。チケットもソールド・ アウトで立見席まで出る盛況ぶり。しかし、会場内に入ると入場口のそばにBUCK-TICKのお花だけが(他バンドは無かったと思う)、ぽつんと飾ってあったのはなぜか(笑)。

見事に黒で染まった、葬式のような会場の中でライヴは定刻より15分ほど過ぎたところでスタート。いきなり誰しもの意表を突いた「その行方、徒に想う・・・」が演奏された時は、本気で驚いたし、途中までは何の曲?というぐらいアレンジされていて、そっけなくちょっと突き放した感のある原曲にニューウェーヴ色が強まっていて非常に印象的であった。

そして、『いくぞ、やおーんっ!!』という青さんの煽り、そして石井さんのシャウトが冒頭に炸裂する「踏」からライヴは熱気が一気に高まっていく。「マス現象」の一部がドッキングして進化した「ギャラクシー」でさらに加速し、電子音と対峙する研次郎さんの強烈なベースラインが映える「コック ア ドゥードゥル」と進む。

それにしても相変わらずメンバーは凄い格好で、和製レディ・ガガ的な石井さんに、ファンがデザインした衣装を着ている研次郎さんのインパクトは、最後尾から2列目で見ていたわたくしの位置からも、その派手さが伝わってきた。「みんなで歌おうというコンセプトのもとに俺が作った」という石井さんの「ウォーキング!ランニング!ジャンピング! フライング!」とライヴは続く。

またまたアレンジされていた「フラフラスキップ」はかなりの盛り上がりだったかな。実はこの辺りで一度目の雨が降ってきたんだけど、この曲の歌詞にもある通りに雨が降ってくるんだから、天気は味方をしているのか悪戯をしているのかよくわからないとこ(笑)。

途中では一旦停止して研次郎さんのMCが入る。「最近やっている曲と格好がだんだんに合わなくなってきたぁー!」「野音だから「君が咲く山」などのかわいい曲をやったらどうか?と青さんに提案したら、あえなく却下されたぁー!」「40過ぎたヴィジュアル系にキツイ曲が増えてきた、よって本日をもって「フラフラスキップ」は封印する」と煽りまくった(封印するかどうかは定かではないが)。この後には、雨が降ってきたこともあって「誠に髪の毛をリアップ!」という謎のコール&レスポンスもあり。全然知らなかったけど、いつから誠さんは頭皮に問題を抱えていたんだ(笑)。

この後も「さよなら、スターダスト」「暗中浪漫」「吐イテ棄テロ」といった楽曲が続き、再結成後の曲を中心に本公演は進んでいく。個人的に『死せる青春』というタイトルやcali≠gariにとって縁のある野音ということで、昔の曲が中心になるのかと思っていたので(それを期待した部分も当然あった)、彼等自身も今のモードというのを大切にしているのが伝わってくる。また、あえて前に進むためにそれを選んだのかもしれないなと。そんな中、青さんがまたこの場所でこの4人で演奏できて嬉しいと語った「青春狂騒曲」には様々な想いが交錯した人も多かったことだろう。

「ヴィジュアル系の貫禄を保つために、今後はアダルト・ヴィジュアル系、略して”AV”ですね。これからその時間を設けたいと思います。」と次への準備に取り掛かりながら語った青さん。二人のゲスト・プレーヤーであるキーボードの秦野さん(今日は同日開催の筋少を蹴ってこっちに来たとか)、サックスのYUKARIさんを紹介して「東京、43時00分59秒」を演奏。一気にシティ・ポップ感が増し、陽が暮れてより抑え目だった照明が派手な色合いにシフトしたこともあって、夜のムードに傾いていく。

それから、雨が止むというお天道様の粋な演出も手伝った「続・冷たい雨」「冷たい雨」のシリーズをしっとりと聴かせ、「オーバーナイト ハイキング」ではお客さんが持ってた懐中電灯やペンライトが美しい光景を作り上げる。サックスが入るということでやっぱり演奏した「ゼリー」では確実に盛り上げてくれて、本編ラストはまさかのジャジーな一撃「東京ロゼヲモンド倶楽部」。躍動感と華やかさが格段に増したライヴ仕様は、意外と好評で最後までその展開に引きつけられっぱなしだった。でも、AVタイムで本編が終わるとは誰も予想していなかったと思う。個人的にも第一部終了みたいな捉え方をしてた(苦笑)。

10分ぐらい経過した後にアンコールがスタート。ここからはAVタイムとはなんだったのか?と思うぐらい別人のような激しい楽曲で固められ、「ギロチン」から狂う狂う。サックスのYUKARIさんはこの曲の途中まででお役御免。

その後は、「失禁」「-187-」「クソバカゴミゲロ」「37564」と続き、何十個の赤色回転灯と耳を劈く様なサイレンの音が象徴的な「サイレン」へ。この曲がライヴで聴くとびっくりで、あの遅いテンポのリフレインが普通にドゥーム・メタルみたいだったし、狂ったシャウトは鼓膜に痛々しいしでかなり強烈だった。最後はメンバーがそっけなく戻っていき、そんな中でスモークが不気味にステージを包み、回転灯は会場を赤く染め、サイレンは最後まで鳴り続けた・・・。今、思うとこのアンコールはいよいよ発売になるセルフカヴァー作『1』を再現していたんだなあ。

でも次の瞬間、「以上を持ちまして 本日の公演は全て終了となります」という残酷な女性アナウンスが流れた時は耳を疑ったし、会場中の「えーっ」という落胆の声はとても大きかった。これで終わるなんて誰も予想もしてなかっただろうし、すぐにアンコールを叫び始めるお客さんが多かったが、なだめる様に今度は男性がアナウンスが流れ、その声はすぐに消えていった。ああ、無情。あの野音でエロトピアもマグロもブルーフィルムもグッドバイも無いなんて・・・。

今のcali≠gariのモードはこれということで潔いといえば潔いし、実際は25曲約2時間ちょっとライヴをやってるんだけど、少し物足りなさはあるかなあと。まあ、これが彼等なりの「死せる青春」だったのでしょう。特別なライヴに立ち会えて感謝しています。

— setlist —
01. その行方 徒に想う…
02. -踏-
03. ギャラクシー
04. コック ア ドゥードゥル
05. ウォーキング!ランニング!ジャンピング! フライング!
06. ミッドナイト!ミッドナイト!ミッドナイト!
07. フラフラスキップ
08. マッキーナ
09. さよなら、スターダスト
10. 暗中浪漫
11. 吐イテ捨テロ
12. トレーションデモンス
13. 青春狂騒曲
14. 東京、43時00分59秒
15. 続、冷たい雨
16. 冷たい雨
17. オーバーナイト ハイキング
18. ゼリー
19. 東京ロゼヲモンド倶楽部

— encore —
20. ギロチン
21. 失禁
22. -187-
23. クソバカゴミゲロ
24. 37564。
25. サイレン

お読みいただきありがとうございました!
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