2014/04/18 いいにおいのするconcert dans un temple(Alcest & Vampillia) 京都編 @ 法然院

 alcesttour 140418_4

 ”いいにおいのするconcert dans un temple”と題された、法然院での特別公演である。歴史ある建造物でのライヴということで、Alcest、Vampillia共に通常公演とは趣が違うアコースティック公演になると事前にアナウンスがあり、また、ネット上では寺とAlcestをかけて”寺cest”なる呼ばれ方もして反応は非常に良かった。東京では圓能の方で公演が開催されたが、京都は法然院を舞台にツジコノリコさんがゲストとして参加するという。先日に堪能させてもらった名古屋公演とは全く別物になるようなので、今回は僕もこのスペシャルな公演を体感しに京都まで足を延ばしてみた次第だ。

 当日は、19時15分ぐらいに暗闇と静寂に包まれた法然院に無事に到着。すると、Vampilliaの木こりさんがひとりで受付をやっていて、ちょっとびっくりした。出ないのかよ(笑)。案内に従って、コンサートが行われる”間”に入ると、そこには既に大勢の人で埋め尽くされており、名古屋の倍以上といえる人数に驚かされる。しかも神聖な寺でのコンサートとのことで、みなが座って観賞しているではないか。少しの物音すら許されない、静寂と緊張に包まれており、確かに特別な公演である事を実感する。

 vampillia

 まずは、Vampillia feat ツジコノリコ。というよりは、ツジコノリコ with Vampillia的な感じ。名古屋の編成からはギタリストが違う人になっていて(名古屋公演に出演してたギターの人に「京都は出ないです」って聞いてたけど)、チェロが追加されていた。また、座っての演奏となり、本日の彼等を一言で題するなら”ふざけないVampillia”といったところ。ふざけだしたら、ツジコさんから裏に呼び出されて鉄拳制裁がありそうだけども(笑)。

 序盤からストリングスと鍵盤の響きを最大限に生かした美しい音響が広がり、ツジコさんの歌声が楽曲に新しい血と生命を吹き込んでいく。ギターやドラムはかなり抑制されていて、添え物といった感じだったが、そのアンサンブルからは静/聖なる寓話が披露されていくようで、これまでと違ったVampilliaの音楽に思わず聴き入ってしまう。この振り幅もまた、ブルータル・オーケストラとしての多様なエンターテイメントの形なのだろう。

 曲単位でいうならば、『the divine move』に収録されている「dizziness of the sun」や「endless summer」が印象的だったかな。特に前者は、ツジコさんが途中から立ちあがって力を込めて歌いあげる姿が眼に焼き付いている。後者にしても苛烈なブルータルな・パートは控えめで、彼女のヴォーカルによって楽曲の物語性や幻想性がさらに引き出されていて、感動的であった。そして、最後はツジコさんの「white film」でしっとりと締めくくる。本当にふざけないVampilliaであったが、濃厚な豚骨ラーメンから塩ラーメンとして変わったような味わいがあり、こういった彼等のステージもまた興味深い体験であった。ちなみに東京では、お坊さんがコーラスしてたとか見たけれど、京都では無かったです。

 いいにおいのtwitterから拝借させていただくが、セットリストは以下の模様。

‐‐‐setlist‐‐‐
fenghuang / my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness / mersum / dizziness of the sun / endless summer / von / white film


alcest

 続いては、フランスから法然院にお越しのAlcest様御一行の登場である。アコースティック・セットというと、前回の来日時に大阪にあるレコード店のTIMEBOMBで、NeigeとZeroの2人で披露しているが、本日はAlcestのライヴメンバー4人にVampilliaからバイオリンと鍵盤のお姉ちゃん達、それにチェロの男性も加わった形でのライヴとなった。

 公演の方はまず3rdアルバムの「Autre Temps」からスタート。冒頭からNeigeの奏でるアコースティックな音色が冴えわたり、厚みのあるベースラインと柔らかなリズムがそれに呼応する。さらには、ストリングスが大陸的な響きを加えていて絶品。楽曲にこれまでに無かったスケールを加味していて、楽曲からはまた違った味わいが生まれていた。続いては、通常公演では本編ラストに演奏していた大名曲「Souvenirs d’un autre monde」を早くも披露。あの哀愁の旋律が流れだし、NeigeとZeroの美声のコンビネーションが来ると”お涙、頂戴します”と言わんばかりのこの曲の磁力が発揮され、アウトロのアコギとヴァイオリンの共鳴がなんともエピックな終わりを告げる。序盤のこの2曲だけでも、本当に来て良かったなと実感させられるぐらいの説得力があった。

 そして、新作の中でも特に温かみに溢れている「Shelter」が、優しい光を注いでいく。続けての「Sur L’ Ocean Couleur de Fer」は、この日に聴いて特に感動した曲で、ストリングスが入る事でここまで化けるのかと痛感。終盤にかけてゆるやかに盛り上がり、訪れた荘厳なクライマックスには強く胸を打たれた。誰からの共感も得られないと思うが、聴いている時は、La’cryma Christiの名曲「Lhasa」がフラッシュバックしてきて、お互いに通じるものがあるよなあとちょっと思ったりも。また、通常公演同様に「Delivrance」も素晴らしかった。

 最後はVampilliaのオペラを招き入れて、この日のために制作されたっぽいコラボ曲「never forget」を初お披露目。静を基調にネージュのコーラスと鍵盤の音色が強調されているのが特徴で、優しく想像力をかきたてる。その優美な物語に聴き入っていると、いつの間にか終わってしまっていた。静かな余韻に浸る間もなく演奏後は、AlcestとステージにいるVampilliaのメンバー全員が中央に集まって、深々と一礼。そして大きな拍手に包まれる中、ゆっくりと退場していった。

 個人的には、1stアルバムから「Printemps Émeraude」や「Tir Nan Og」辺りも演奏して欲しかったところだが、通常公演よりも短かったにせよ、非常に感動的であった。どれぐらいかといえば、これまでの楽曲の中からセレクトとして、アコースティック・ヴァージョンによるアルバムを1枚作って欲しいと感じるぐらい。繰り返しになるが、本当に素敵な公演であった。

 「Honenin temple is one of the most magical places we ever saw(法然院は我々がこれまで見た中で、最も神秘的な場所のひとつだ)」という言葉をAlcestの公式Facebookにて確認できるが、神仏が祭られた寺院での公演というのは、彼等にとって非常に大きな体験となったと思う。それは、会場に集まった人々にとっても同じだろう。また、珍しくセーターっぽいものを着て歌うNeigeの姿に、LOVEずっきゅんとなったファンはいるかもしれないし、いなかったかもしれない。

‐‐‐setlist‐‐‐
01.Autre Temps
02.Souvenirs d’un autre monde
03.Shelter
04.Sur L’Ocean Couleur de Fer
05.Delivrance
06.never forget(Vampillia Collaboration Songs)


 140418_2

 メンバー退場後、アンコールを求める拍手が鳴りやまなかったが、Vampilliaのミッチー氏が登場して「僕が出てきたという事でガッカリしたと思いますけど、本日はこれで終わりです。」と丁寧に終わりを告げた。一発盛り上げて帰るのかなあと思ったら、神仏を奉る法然院を前にして、さすがに自粛した模様(笑)。今回はやっぱりこれが一番綺麗な終わり方だったんじゃないかなとは思いますけど。

 ちなみに本日の公演は、撮影隊が入っていたので、今後に何らかの形で世に出るかもしれないし、出ないかもしれない。ただ、こういった特別な公演は滅多にないので是非とも、多くの方々に触れていただける機会を欲しいところ。僕としては自分が足を運んだ公演として、記念に見直しいって欲求が強かったりするので出して欲しいですね。

140418_3 140418_5

 最後に、夜に包まれる法然院の様子でございます。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!