2014/05/25 黒夢『地獄の三夜 ~第二夜「脱皮」~』 @ ZEPP NAGOYA

20140525_1

 10年前と8年前に清春のソロ・ライヴには出向いたことはあるが、この年になってようやく初体感する黒夢のライヴが、まさかこんな特別公演だとは・・・。なんという巡りあわせだろうか。というわけで、デビュー20周年を記念してのライヴ・シリーズ「The second coming of 1994『地獄の三夜』」に参加した。インディーズ時代の作品である『中絶』『生きていた中絶児』『亡骸を…』 そして、メジャー1stアルバムである「迷える百合達 ~Romance of Scarlet~」の楽曲が三夜に渡り、年代別に披露されることで話題となったものである。「1994年の再生」という主題が掲げられているが、当時8歳だった自分としてはもちろん未知の領域であり、こうして20年前を追体験できるというのは、信じられなくもあり、嬉しくもある。

 そんな特別公演であるわけだが、今回は、インディーズ時代唯一のフルアルバムである『亡骸を…』を主体にした第二夜「脱皮」へと向かった。チケット代の9600円というのがネックで、行くなら一日しか無理だなあと感じていたが、DEAD ENDのカバー曲を披露していること、またメジャー・デビュー直前のより完成された黒夢が体験できると思い、ここに懸けて行ってみた次第だ。しかし、会場へ入ってみると、やたら暗くゴシックな女性の歌ものがBGMで流れていたが、その中でChelsea Wolfeの「Mer」がかかった時は少し驚いた。

 定刻から待つこと約25分。教会の鐘のような音が鳴り響くと、ゆっくりと幕が開いていき黒夢のメンバーの姿が露わになっていく。注目のオープニングは「亡骸を」で静かな立ち上がりを見せるが、タバコをくゆらせながら、優雅に妖しく歌いあげる清春が抜群の存在感を放つ。黒ハットに黒服を纏う中で、鮮烈なぐらい真っ赤なルージュは、遠方で見ていた自分にも強烈な印象を与えた。また、人時にしても普段のライヴからはかけ離れた黒い衣装とメイクで、当時を再現しにかかっている。その割にサポートのK-A-ZさんとGOさんは、いつも通りだったけれども(笑)。ステージは中央奥に大きな白い十字架と棺桶っぽいものが鎮座し、ろうそくを使用したシャンデリアに、絵画も飾られ、当時もこんなに金かけてたの?ってぐらいに豪華であった。

nakigarawo 序盤は「DANCE 2 GARNET」でエンジンをふかして、少しアドレナリンを出しつつも、特有の耽美さを持つ「JESUS」や歌詞にも出てくる「慰めよう」という言葉の連呼から始まった「讃美歌」といった楽曲が続く。妖しい魅力とメロディアスな効力のある曲を序盤に揃えた感じだが、言えることは原曲をわりと忠実に表現しつつも、全体的にモダンな形でアップデートされていること。スタジオ音源を聴く限りでは、若干の軽さも目立ったが、ライヴでは現在進行形のヘヴィさがプラスされているので、更に楽曲が引き立った印象を受けた。清春が血の着いた包帯を両手から垂らしながらパフォーマンスを続けた「終幕の時」にしてもまるで余念が無い役者ぶりをみせる。”20年前の清春”を演じているのは明白であるにせよ、壮絶な舞台を見ている様な感覚とバッチリのライヴ感がきっちりと同期している辺りに、今ここで地獄の三夜が蘇っていることの意を感じる。

 約20分ほど続いた人時のベースソロ・コーナーだけは、時間軸が2014年にタイムスリップしていたが、ここを抜けた先には、DEAD ENDのカバーである「DECOY」が待っていた。印象的なベースラインを軸に展開していくこの曲では、先ほどと衣装チェンジをし、バンダナを巻いて戦闘体制に入った清春が、MORRIE氏へのリスペクトを掲げながら見事に歌いあげてみせる。続けての「If」を終えると一気に空気が変わり、初日から引き続いての演奏となる「In The Sky」で、ヴァイオレンスな空気と熱気を帯びていくステージ。ここまでほぼ定位置で演奏していた人時も上手の方に進出するようになり、K-A-Zさんも規制が溶けたように暴れ始め、自然とモードが攻撃的な方へと切り替わっていた。右手を使って大きく十字を切るパフォーマンスが伝染していった「十字架との戯れ」も強力の一言である。

 「ボクはキミを抹消したー」のセリフから始まったメロディアスかつ妖艶な「MISERY」は、一時の安息をもたらしていたが、リフにしてもギターソロにしても非常にかっこよくなっていた「狂い奴隷」から再び抑え切れない熱気に包まれる会場内。そして、「S・A・D」~「狂人~MISSING GLORY~」で決死の爆撃を打ち込み、「ナゴヤァァ!ナゴヤァァ!」と何度も何度も煽り続け、マイクを地面に叩きつける清春。狂ったように叫び歌う彼は、何かに取りつかれているようで、その姿からは鬼気迫るものを感じる他なかった。

 そして、ついにその瞬間はやってくる。「ナゴヤァ、皆殺しぃーっ!!」から「親愛なるDEATH MASK」という名の最凶の劇薬の投下。放送禁止用語の連発に高速ビートで止めを刺しに来る様に、ダイバーが抑え切れず飛んでいき、ヘッドバンギングで乱れ、拳が振り上がる。単なる20年前の焼き直しでは説明できない、狂乱と混沌はもはや言葉にできないぐらいの衝撃があった。こんなにも凄いのかと。だからこそ、彼等は後続に大きな影響を与えてきたという事も実感できた。

 アンコールは、もうこれしかない「UNDER…」を演奏。脳味噌が揺れる様なイントロから一気にスピードアップして畳みかけ、所々で客席に歌わたりもしながら、激しく激しく突っ切っていった。そして、最後はSEの「開花の響」が鳴り響く。物悲しく鳴り響く。冷たく鳴り響く。その音に合わせながら、清春が中央でパントマイムというかクララが立った的なというか不思議なパフォーマンスを繰り広げながら、静かに幕が閉じていく。次週に行われる第三夜「誕生」への布石を残し、第二夜は終わりを告げたのだった。

黒と影 (通常盤) ただ、最後は『KINGDOM』が流れ出してから、幕がもう一度開く。ステージ上には、清春と人時の姿があり、清々しさと充実感に満ちた顔をしていたのが何とも印象的だった。そのまま上手、下手と移動しながら感謝を表していく2人。サポートメンバーのK-A-ZさんとGOさんも後から合流して、最後はステージ中央で4人で深々とお辞儀。大きな拍手に包まれながら、大団円となった。

 正直、予想以上だった。過去を懐かしむ、ビジネス興行、確かにその側面は有しているが、前述したように20年前の焼き増しではないアップデートされたライヴ内容からは、黒夢というバンドの凄みを感じる他なかった。清春の言う「三夜、全てを見てこその内容」になっているのは間違いないため、全部見れない後悔は大きいが、この第二夜「脱皮」だけでも見られて本当に良かったと思う。個人的には、これまでに黒夢に感化された人間は、「地獄の三夜」のいずれか一日だけでいいので、絶対に見ておいた方がいい。なぜなら、20年前の追体験以上の衝撃と感動が詰まっていますからね。

‐‐‐setlist‐‐‐
01.亡骸を
02.DANCE 2 GARNET
03.JESUS
04.讃美歌
05.終幕の時
06.Bass Solo(人時)
07.Decoy(DEAD END)
08.If
09.IN SKY
10.十字架との戯れ
11.MISERY
12.狂い奴隷
13.S・A・D
14.狂人~MISSING GLORY~
15.親愛なるDEATH MASK

‐‐‐encore‐‐‐
16.UNDER…
-開花の響-

20140525_2 20140525_4

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!