台湾のインスト・マスロック3人組、Elephant Gymのライヴへ。今年のフジロックで見てから4カ月弱での再来日。平日であろうと休日であろうと海外アーティストにとっての辺境地・名古屋を飛ばさずに来てくれただけでまず感謝。世界がこういう状況だけに、名古屋公演がどんどん少なくなっているのは仕方ないことですが、ありがたいことです。客入りも十分でしたし。
技巧派の音楽であってもElephant Gymのライヴは楽しさと喜びに溢れる。フジロックでは演奏を楽しむ、人々と音楽を分かち合うというのが如実に伝わってきました。今夜はステージがより近くなった分もあるし、演奏時間が倍になっていることもあるしで彼等の魅力はさらに増す。全21曲約2時間というのは地元・台湾でライヴする時でもなかなか無いらしく(途中のMCによる)、それほどに盛りだくさんだったわけです。
ライヴ本編
この日は全員が赤を基調とした服装で身を包む。序盤は「Frog」~「Shell」で軽快にスタートし、「Ocean In The Night」がTellとKTの歌声を生かして温かい風を運んでくる。
「みなさん、ありがとう。エレファント・ジムです」という挨拶から始まったMCは、フジロックと同様にカンペを頼りに全て日本語で話す(メンバー3人全員が話してくれる)。”来年でバンド結成10年”、”私たちは日本の音楽、アニメ、映画など影響受けています”、”日本のみなさんの音楽への愛は世界のお手本です”など内容は様々ですが、来てくれた人たちへのリスペクトと楽んでもらおうとする姿勢が何よりも伝わる。ほんと、メンバー3人とも親しみやすく距離感が近い。
ライヴを見ているとベースのKTにやはり目が持っていかれます。「Finger」でのタッピングの嵐(しかもあんな複雑なことやりながら歌もこなす)、「Dreamlike」では苦手というわりにはとても優雅にキーボードを弾き、「Shadow」ではあえて日本語Versionで歌い、その合間にはサッポロ黒ラベルで豪快に水分補給する(この日は計5本飲んでたらしい)。兄であるギターのTell、普通の友達であるドラムのChia-Chin Tuは高い技術で屋台骨を支えます。
フジロックの時のようにアニメーション、台湾からのホーン隊といった演出は無し。とはえ、中盤から後半に向かっていくあたりで日本の女性シンガーソングライター・YeYeさんがゲストとして登場。2ndアルバム収録の「Moonset」を生披露し、YeYeさんの曲をカバー(TellのSpotifyで一番聴いているアーティストらしい)。最後に「Dear Humans」でこの編成はお別れ。澄んだ歌声で魅了したYeYeさんは中国語を勉強しているらしく、ステージで3人と丁寧にコミュニケーションしていたのも印象に残りました。
ラスト前の「Galaxy」ではKTが客席の方に乱入して、曲の終わりまで移動しながらずっと弾き続ける。その影響で次々と歓声があがる。最後は「春雨(Spring Rain)」で心地よいインストゥルメンタル~歌へと移行して終わりました。拍手は鳴り止まなかったので、KTが最後に一度出てきて感謝の声を届けて大団円。
フジロックでは「お金欲しい!」と言っていたKTが、今回は終わりがけのMCで「彼氏欲しい!」と言っていたのには笑いました。また近いうちに来てほしいですね。
セットリスト
- Frog
- Shell
- Ocean In The Night
- Underwater
- Witches
- Finger
- Half
- Go Through The Night
- Midway
- Anima
- Games
- Deities’ Party
- Happy But Sad
- Moonset(with YeYe)
- 暮らし -Cover Song YeYe-(With YeYe)
- Dear Humans -Japanese Version- (With YeYe)
- Dreamlike
- D
- Shadow
- Galaxy
- Spring Rain