【アルバム紹介】At The Soundawn『Shifting』

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アルバム紹介

Shifting(2010)

   イタリアのポストメタル5人組による2ndアルバム。全7曲約45分収録。音楽性を例えるならCult of LunaとKayo Dotを合体させた感じでしょうか。

 鈍色の重厚なラウドネスとハードコア譲りの紅い激情を、ポストロック・エレクロトニカとミキシングさせて叩きつけます。

 ポストロック/メタルらしい静と動の対比を生かした曲作りを心情としつつも、トランペットを艶やかに響かせたり、トライバルなリズムの導入、シューゲイザーめいた響き、精度の高い緩急の落差や空間の奥行きを巧みに利用。

 楽曲自体もしっかりと1曲としてのストーリー性を担保。そして各曲が章として成り立ち、それぞれを連結・補完し合い作品全体としてもひとつの大きな物語を築き上げています。

 そこにはPelicanにも似た轟音風景、Neurosisに通ずる深遠さ、Kayo Dotのエクスペリメンタルな姿勢、レディオヘッドのような内省と実験精神までもが垣間見れる。

 様々な工夫を凝らして曲調の変化を繊細に行い、エクスペリメンタルな精神を発揮。慎重に慎重を重ねるサウンドスケープは、哀しみや憂いなどを拾い上げながらドラマティックに肥大化しており、実に計算高い。

 静と動の大胆な交歓を壮大なスケール感へと昇華させたラスト#7「Prometheus Bring Us The Fire」はその極みともいえる楽曲です。

メインアーティスト:At The Soundawn
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