【アルバム紹介】BABYMETAL、世界を駆け抜けるメタルダンス・ユニット

 「アイドルとメタルの融合」をテーマに2010年に結成された日本の女性3人組メタルダンス・ユニット。読みはベイビーではなくベビーメタルで、通称:べビメタ。

 SU-METAL、MOAMETAL、YUIMETALのオリジナルメンバー3名で2018年10月まで活動。YUIMETALが脱退後は2人体制が続きましたが、2023年4月からMOMOMETALが新メンバーに加入して3人体制へ戻りました。

 KOBAMETALプロデュースによるサウンドは、ヘヴィメタルとJ-POPの融合にとどまらない幅広さを持っており、国内外を通して高く評価されている。

 現在の日本のアーティストとしては最も海外で知名度が高い存在であり、3rdアルバム『METAL GALAXY』が全米アルバム・チャート「Billboard 200」で初登場13位を記録したことはその証明。

 海外の大型フェスティバルへの出演も続いています。

 以下、オリジナルアルバム3作品、コンセプトアルバム1作について書いています。

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アルバム紹介

BABYMETAL(2014)

 1stフルアルバム。2011年のデビュー曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」から最新シングルとなる「メギツネ」までの既発10曲+新曲3曲を加えた全13曲約55分収録。

 ”メタルは正義、カワイイも正義”を体現するアイドル×メタルの使者は、最高級のエンターテイメントを提供してくれます。

 いにしえのメタルから王道のメロスピ、日本のヴィジュアル系、さらにはミクスチャーやピコリーモ、ダブステップ、Djentといった近年のトレンドまでを丁寧に抑えたバラエティに富む楽曲群で作品を構成。

 さながらメタル博覧会の様相を成していますが、モダンな視点からの再構築、リスペクトを込めた引用もあり、随所に興味深いアプローチやフックが効いています。どの曲も強烈なインパクトと一級品の魅力があります。

 鋭い切れ味やメタリックな重厚さは、アイドル・ソングとは到底かけ離れてるレベルですが、遊び心満載のアイデアやSU-METALの伸びやかな本格派歌唱、YUI&MOAの愛らしさによって、絶妙に中和されています。

 KAWAiiの衝撃も加わったエクストリーム・ポップ、これこそが他にはない味。「アイドルとメタルの融合」と言葉に表すのは簡単ですが、それが驚異的なバランスで成り立ってるのは単純に凄い。

 決して正攻法ではない。でもだからこそ、こんなにもあらゆる境界線を鮮やかに突き抜けていけるを証明した名盤。

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METAL RESISTANCE(2016)

 2ndフルアルバム。全12曲約52分収録。名刺代わりの前作が前例のないレベルで世界に波及したとはいえ、本作でポップには寄せずに密度濃く。

 ドラゴンフォースとフュージョンを果たした#1「Road of Resistance」から始まるメタル~ラウドロック系のサブ・ジャンルの横断は、さらに広く深いところへと向かう。

 質実剛健のメタルにハイパー柔軟剤であるKAWAiiをぶち込んだサウンドは、とんでもない角度からズバッと切れ込みます。ただ、KAWAiiやPOPの要素が前作より薄め。

 ただ、その分は世界を駆け巡った中での経験から来る自信、彼女達の心身の成長に合わせてアーティステックな面を押し出しています。

 日本の武士道精神をDjentコアに乗せてセイヤ!ソイヤ!して世界に”和”を叩き込む#2「KARATE」、V系メタル風に駆け抜ける#7「シンコペーション」、ドリーム・シアターばりのプログレッシヴ・メタル組曲#11「Tales of The Destinies」~#12「THE ONE」などインパクト大の曲多数。

 メタルを最適化しているわけでは決してなく、やっぱりBABYMETALらしいOnly Oneを追求していると感じます。ズッキュンとくるKAWAiiのフックと重低音は変わらずに素晴らしい。

 このチームがもたらす幸せな興奮は、本作においても国内外問わず波及していくことでしょう。

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METAL GALAXY(2019)

 3rdアルバム。全16曲約59分収録。YUIMETAL脱退後、2人編成になってから初のアルバム。”メタルの銀河を旅する”をテーマに製作。

 B’zの松本氏、Arch Enemyのアリッサ、Polyphiaのギタリスト2名、タイ人ラッパーのF.HERO、Sabatonのヨアキム・ブローデンと多数ゲスト参加しています。

 メタルを軸としたジャンル横断型アミューズメント音楽は変わらず。DISC-1ではワールド・ミュージックの要素が顕著に出ており、ユーロビートからインド音楽、フォークメタル、ラテン等がユニークに落とし込まれています。

 #2「DA DA DANCE」のガンガン鳴るユーロビートに松本孝弘氏のギターソロが覆いかぶさっていく様は痛快ですし、#8「Night Night Burn!」にはラテンの情熱と共にメタル・パーティを生んでいます。

 DISC-2にはF.HEROとともにアゲアゲ大天国#3「PA PA YA!」というギミックはありますが、こちらの方がオーセンティックなメタル寄り。

 終盤3曲は特に魅力的で、締めくくりのメロスピ・チューン#8 「Arkadia」には神々しさをも感じさせます。

 kawaiiとメタルのオーケストレーションは、新旧ファンに対してアピールし続けるクオリティの高さを有す。なお、本作はビルボード200で13位にチャートインする偉業を果たしました。

 ベビメタクエストは世界征服に向けて進行中なのです。

THE OTHER ONE

 初のコンセプト・アルバム。全10曲約41分収録。ヘドバンVol.39のKOBAMETALのインタビューによると、「10周年までのBABYMETALを”シーズン1″とすると、次の”シーズン2″に向けたプロローグ的なものであり、4thアルバムではなく移行期のアルバムである」と話す。

 Rolling StoneのインタビューではSU-METALが「『THE OTHER ONE』はBABYMETALの本ストーリーではないんですよ」と答えていることからも外伝的な立ち位置の作品なのは確かです。

 本作は写真や神話をモチーフに楽曲が制作され、これまでで最もストレートな作風。シリアスでダークという表向きの意匠はあり、1曲1曲で完結しているのに全編で統一感のある仕上がりです。

 逆に「ギミチョコ」のようにKAWAiiメーターが振り切れる曲がなく、ゲスト参加もなし。そしてギターソロがかなり減っています。遊び心は少なくしてあえて本格派的な味わいにしている印象。

 それでもSU-METALが凛としたヴォーカルを取り、MOAMETALがキュートなガヤを入れる本分に変わりなし。メタルにEDMやポップスなどのフレイバーをかけ、BABYMETAL色に染めて広範囲を巻き込める力は示しています。

 SU-METALの初作詞曲#2「Divine Attack -神撃-」という新トピックを出し、#3「Mirror Mirror」や#7「METALISM」がBABYMETALたらしめ、サックスソロまで飛び出すパワーバラードの#10「THE LEGEND」が壮大に締めくくる。

 別軸にあるからこその魅力とこれから始まる新章への期待。メタル・アドベンチャーは続く。

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プレイリスト

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