【アルバム紹介】Boris、ノイズを合言葉にしたボーダーレスな音楽

 1992年に結成されたTakeshi、Wata、Atsuoによるロック・トリオ。バンド名はMelvinsの曲名に由来。ロック、ノイズを中心にドゥームメタル、スラッジメタル、アンビエント、パンク、メタル、ポップスに現代音楽までの要素を交えた実験的ロックを追求。作品ごとに音楽性を大きく変えながら、ボーダーレスで自由に自らの音を表現し続けている。

 現在は『Absolutego』~『Heavy Rocks(2002)』までの4作品について書いています。作品を順次、追加予定。

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アルバム紹介

Absolutego (1996)

 自身のレーベル”Fangsanalsatan”よりリリースしたフルレングス・シングル。表題曲はシングル表記に騙されるなの”1曲約60分”。再発盤にはボーナストラックとして#2「Dronevil 2」が追加されています。

 バンド名の由来となったMelvinsに敬意を表したヘヴィロック、さらにはEarthに敬意を表するドローン・メタル、その両方がバンドの礎となっています。デビュー作から極端なものであり、以降の小文字”boris”名義に連なるスローで長尺な重音絵巻を繰り広げる。

 ビリビリと振動を巻き起こすベースが悠然と鳴り、数分経った後に巨大なフィードバックが主役を奪い、ゆったりとした進行を堅持するドラムがある時に慎重である時に爆発。そして、忌々しい唸り声が入ってくる。ドローンというにはわりと展開がある方ですが、ノイズを追及する容赦ない大音量は時間を無効化するかのよう。

 極めて実験的な内容にも関わらず、バンドには欠かせないヘヴィもサイケといった要素が初期からブレずに存在していることを示しています。

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Amplifier Worship(1998)

 1stフルアルバム。全5曲約63分収録。1stシングル『Absolutego』の流れを汲んだ遅くて重いの追及。耳が裂けそうになるほど音量がデカイ。そして曲も変わらずに長尺。15分近い&超える曲が計3曲(#2、#4、#5)もあり、短くても7分半(#3)。

 #1「Huge」こそ9分とコンパクトに収めた「Absolutego」といった印象が浮かび、キャンパスにひたすら色を塗り重ねるように重厚なリフを続け、やがてリズムと絶叫が加わっていく。

 しかしながら、それだけではありません。#2「Ganbouki」は不気味なサウンドスケープから民族的なリズムの活用、禅という言葉が似合う雰囲気まで16分の中で変化する。#3「Hama」にはHeavy Rocksに開眼していくロックンロールなノリが、#4「Kuruimizu」には小文字borisに続いていくアンビエントなアプローチがあります。

 最後を飾る#5「Vomitself」は地獄の重低音で一時期のライヴで最後を飾る曲でした。Borisにはリミットも境界も存在しないことを本作で示唆している。

アーティスト:Boris
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flood(2000)

 2ndフルアルバム。初の小文字boris名義の作品。トラック分けされた4つのセクションから成り立つが、”1曲70分”という大作。これまでは危険度の高い重低音でゴリゴリと鼓膜と精神をズブズブ侵攻してきましたが、本作ではアンビエント~ミニマルの要素が強くなりました。

 #1はシンプルに哀感のあるギターフレーズを重ねていく序盤10分を過ぎると、天変地異でも起こったかのようなノイズの海にたどり着く。#2にてメランコリックなスタイルへと移行し、優しさを感じる歌とギターを中心に綴られていく。20分にもわたる#3は最も起伏ある領域を進み、静と動のダイナミクスを堪能させます。

 轟音を鎮めた後の#4は静けさの中で内省に浸るような20分間。前2作と比べてもっとオーガニックな質感があり、海と空を思わせる雄大さがある。何よりも感じるのは優雅さと艶やかさ。ここまで感情的な音楽を奏でる人たちだったとはと驚かされます。本作はFACT MAGAZINEが2015年に発表した”ポスト・メタル・レコード TOP40″の第9位にランクイン。

Heavy Rocks(2002)

 3rdアルバム。全10曲約47分収録。結成10年目。以降に約10年周期で発売されるタイトル『Heavy Rocks』の初作です。音楽雑誌 “ヘドバン Vol.35“のインタビューによると「ロックと公言できるところに、ここで突入した。”YEAH!”って言えるまでに10年かかってます(笑)」とAtsuo氏は発言しています。

 アンダーグラウンドな領域で戦い、ドローンメタルや長尺の構成など特異な音楽スタイルで活動。その反動からきただろうロックンロール~ハードコアへの解放。根底にあるのは”ノリの良さ”であり、口ずさめる歌メロとYEAH!!がもたらす繋がりと興奮です。

 #2「korosu」~#4「ワレルライド」における3曲のスピード感は今までにないもので、頭空っぽにして騒げるロックを掻き鳴らされている。メタル~サイケデリック~アンビエント~ノイズも飲み込み、秋田昌美氏や山崎マゾ氏といった面々がゲスト参加。

 「”Heavy Rocks”というのは、その時々の僕らの思ってるヘヴィロックの理想型」とのことですが、ここまで突き抜けたヘヴィロックに至るとは驚かされました。

アーティスト:Boris
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