Cloud Nothings、ポジティヴな変化を刻み続ける

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 2009年に結成されたアメリカ・オハイオ州クリーヴランド出身のインディー・ロックバンド。ディラン・バルディによって宅録プロジェクトとしてスタートするも、バンド編成へ移行。インディーロック、ポップパンクからスティーヴ・アルビニのプロデュースによるヒリヒリとしたサウンドまで、作品ごとに変化は激しい。コンスタントに作品を発表し続けている。

 本記事では2nd~4thアルバムの計3枚について書いています。

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Attack on Memory(2012)

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   #1「No Future/No Past」からピリピリと張り詰めた空気に圧され、その中をやるせない感情を吐き出すかのように叫び、硬質なギターが一閃。90年代のオルタナティヴ・ロックやポストハードコアに通じそうな生々しい感触がここには存在します。鬼才スティーヴ・アルビニが手掛けたことで激変を遂げた(らしい)、この2ndアルバムは本当に驚きです。

 前作はほぼ未聴。ソリッドな音に鼓膜はヒリヒリ、胸はゾクゾク。そんな本作の象徴となっているのが#2「Wasted Days」でしょう。性急な序盤から激しいギターの応酬、そして終わりなきインプロが火花を散らしながら怒涛のクライマックスへ。全身が感電するほどのスリリングさと昂揚感に満ちた約9分のこの曲には本当に痺れました。さらに#6も硬質で尖った質感を持った音色が空気を裂き、アルビニ・プロデュースの影響を如実に感じさせます。

 しかしながら、1stからの流れを汲んだであろうメロディセンスが冴えていることも証明。ポップパンク的な爽快感がある#3や陽気で明るい疾走チューン#4、そしてラストを締めくくる#8は単純に耳を引きつけ、曲毎の陰陽のタッチを上手く使い分けています。若者らしい情熱やあどけなさも武器につけており、引き込んでいけるメロディは強み。アルビニの錬金術の恩恵は自らの音楽の幅を広げ、いい意味で振り切れたことで核を一回りも二回り強力にしています。

Here & Nowhere Else(2014)

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 約2年ぶりとなる3rdアルバム。プロデューサーにスティーヴ・アルビニではなく、グラミー賞ノミネートの敏腕プロデューサー、ジョン・コングルトンを起用して制作。プロデューサーを変えたとはいえ、基本的には前作の延長線上にあるオルタナ・パンクといえるものです。初期衝動に任せた勢いや騒がしさは本作でも健在。

 「もっとポジティヴな作品になる」というのがディラン・バルディの言葉ですが、序盤を飾る#1「Now Here In」や#2「Quieter Today」等でもわかるように特有のメロディセンスや若手らしい蒼さを随所に発揮しつつも、腹をくくって疾走曲のみで固めているのが大きな特徴。掻き鳴らされるソリッドで鋭いギター、スピード感をどんどんと加速させていくリズム、半ばヤケクソ気味のヴォーカル・・・etc。アルビニ・プロデュースの前作と比べても全くひけをとりません。それどころか、前作よりも攻撃的に振る舞っている印象すらある。まさか、ここまで力強く騒々しいロックを掻き鳴らしてくれるとは。

 カラッと晴れやかでキャッチーな序盤から、ドタバタ劇を繰り広げての爆走で荒野を駆け抜ける#3「Psychic Trauma」にしても、憂いのメロディも織り交ぜる疾走オルタナロック#6「No Thoughts」にしてもただただ興奮させられるもの。一片の迷いも無く刻み続ける彼等のサウンドが持つ生々しい勢いや衝動性は、滅多に味わえるものでは無く、高校生の時に聴いてたらその後の人生に凄く影響を与えそうな気さえします。

 最長の#7「Pattern Walks」では、息が詰まる様なノイズを轟かさせる新機軸で目先を変え、彼等の王道といえるキャッチーさを伴ったエモーショナルなロック#8「I’m Not Of Part Me」で締め。火の玉のような勢いで潔く突っ走り続ける全8曲約30分に、ロックンロールの醍醐味が詰まっています。

Life Without Sound(2017)

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 約2年10ヶ月ぶりとなる4thアルバム。ギタリストが再び加入し、4人編成へ回帰しております。以前よりもミドルテンポを主体として構成。やたらと感傷的な鍵盤からスタートする#1「Up to the Surface」には驚かされましたが、歌を聴かせようという意図は感じます。#3「Internal World」や#7「Modern Act」のように軽快なテンポを持つギターロックが爽快。歌メロが親しみやすく、ついつい聴き入ってしまいます。

 ただ、抑えきれずにギアが上がってくるのはご愛嬌。前作の面影を残す疾走曲#4「Darkened Rings」や「Sight Unseen」はまさしくそうでしょう。焦燥感に駆り立てられるように走る、走る。それはやっぱり彼等の持ち味です。#8「Strange Year」では声を荒げながらエモーションを絞り出し、ラストを飾る#9「Realize My Fate」では頭に血が昇って爆発したかのように、重く歪んだサウンドと絶唱が響き渡ります。

 どこか寂寥感に締め付けられながらも、最後にリミッター外して1番重い核をぶつけてくる様は痛快。同じような作品は残さないというポリシー通りに、バンドの懐の深さを思い知る1枚となっています。

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