【アルバム紹介】deadman、00年代前半の名古屋ヴィジュアル系

 2000年に解散したkeinの元メンバーを中心に名古屋で結成されたヴィジュアル系ロックバンド。ヴォーカル・眞呼、ギターのaieを核にグランジやオルタナティブロックの性質をV系のサウンドに投下。幻想、ゴシック的な様式をも踏まえて、00年代前半の名古屋系と呼ばれるヴィジュアル界隈をザワザワとさせます。結成から2006年5月の活動休止までに3枚のアルバムをリリース。一時代を彩りました。

 2019年から活動を再開。 眞呼とaieの2人にサポートメンバー2名を加えた形となります。cali≠gariとの共闘ツアー、かつて行われたlynch.とのツアー「デビッドリンチ」の再来など新時代を駆け抜けている。本記事は2枚のアルバムを振り返ったものです。

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no alternative (2003)

 2003年リリースの1stフルアルバム(2nd?)。わたしが聴いたのはギターや歌などを一部録り直して音質を向上させた『no alternative 2.0』として再発されたものです。しかしながら、no alternativeのタイトルに似合わず、凄くオルタナティブな音楽だと思います。グランジ成分もかなり濃厚。それでいてゴシック寄りの耽美なメロディが有機的に絡み、詩が編みあげる世界観もヴィジュアル系特有の雰囲気。

 中心となっているのは、ロウからファルセットまでを優雅に歌いこなすVo.眞呼様。重たい闇を一心に背負って解き放つようなそのパフォーマンスは、deadmanとしての個性の強さに寄与しています。また、アヴァンギャルドな展開で目まぐるしく曲調を変える中で、いい意味のコミカルさや猟奇性がフォーカスされているのもポイントです。重い闇と悲壮感に取り込まれているような感覚も凄い。

 かと思えば、ポップな部分にもフォーカスを当てることも忘れてない。妖しげな毒味と切ないメロウさが両立する#2「盲目の羽根と星を手に」や#6「ドリスからの手紙」など前半は聴かせる曲を配置し、#9「lunchbox」や#12「alice」を中心に後半はエンジンかけてアグレッシヴに攻める流れの良さも本作の特徴。

 まるで救いが見えない#14「蟻塚」のラストに至っては、しんみりと重い重いどん底へ。ヴィジュアル系と呼ばれる中でも、稀有な個性を発揮した傑作でしょう。ちなみに再発盤では歌やギターソロに一部録り直しあり。

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in the direction of sunrise and night light (2005)

 ベーシストの交代をはさみ、約2年ぶりとなる2ndフルアルバムにして現時点でのラスト作。前作と比べると非常に渋味が増していて、さらにソリッドで枯れた音色へ。ツインヴォーカルの掛け合いとヘヴィなリフがのたうつオープニング#1「star baby」で90秒間ぶっ飛ばし、妖しくも煙たいミディアムチューン#2「rip roll soil」にてアダルトな陶酔を誘います。

ヴィジュアル系的な側面とオルタナ/グランジ側面のバランスが良かった前作から、ここまで後者に比重を置いた作品になるとは驚く(ガレージっぽさもあり)。眞呼様のヴォーカルを除くと、砂埃舞うギターリフを中心に洋楽色を強めているのは明らか。また、全体を通すとメロディアスな部分を削いでおり、毒味と渋味が渦巻きながら身体と精神にピリッとした痺れをもたらします。

 しかしながら、#4「when the saints go marching in」や#6「additional cause for sorrow」の温かいメロウさ、また#7「follow the night light」の陰鬱でロマンティックな曲調は彼等でしか成し得ない。シンプルに聴かせるように落とし込みつつ、deadmanの個性はより強固になっています。

 全てを悟ったかのようにも感じられる物憂げなバラード#11「This Day. This Rain.」での壮大な締めくくりは、ヴィジュタナティヴ(V系+オルタナ)な最終到達点。わたしとしては本作の方が好みです。

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